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7.44点(レビュー数:9人)

作者清水玲子

巻数12巻 (完結)

連載誌MELODY:2001年~ / 白泉社

更新時刻 2009-11-25 06:42:00

あらすじ 近年急増する凶悪犯罪。その犯人検挙及び全容解明のため、警察庁は死者が生前に「見ていた」映像をMRIスキャナーで再現し、それを基に捜査を行う、MRI捜査を開始した。その専門機関である、科学警察研究所・法医第九研究室、通称「第九」。死体の脳を取り出して被害者や加害者の記憶を覗くこの部署では、捜査員たちは常軌を逸した映像と日々向き合い、多くの者が慣れることも正気を保つこともできずに辞めていった。そんな中、青木は自ら志願し、第九に配属された。だがまっすぐで誠実な青木に対し、室長・薪警視正は「君は第九に向いていない」と言い放つ……。変死を遂げた米大統領、自殺した連続殺人犯…。彼らの脳に遺された映像が語る「秘密」とは…!?

備考 1巻につき1話から3話収録のオムニバス。事件の解決まで収録される為、各巻ごとに厚さが大きく異なる。2008年に日本テレビ系列にてテレビアニメ化された。

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秘密 −トップ・シークレット−のレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全9 件

8点 とろっちさん

死後一定時間内に取り出した無傷の脳をスキャナにかけると、
生前に見た過去数年分のすべての眼の記憶をスクリーンに再現できる。
その技術を凶悪犯罪の捜査に駆使し、事件を解決していく、というオムニバス形式のサスペンス。

簡単に書くとそういうことですが、本当に恐ろしい話です。プライバシーも何もあったもんじゃないです。
自分が普段どのような生活をしているのか、どういうものを眼で追っていったのか、
誰のことを見続けたのか、何を見てしまったのか…。
人間の頭の中を直接覗く行為。
秘密。どんなに隠しても逃れられない、秘密。

再現される映像は客観的な事実ではなく、あくまで主観的な眼の記憶。
自分というフィルターを通したあとで脳に焼き付けられたものが映ります。
麻薬中毒なら実際に幻覚が見えてしまうし、Aさんのことが好きなら実際よりも可愛く(格好良く)見え、
Bさんに対して強い強迫観念を抱いていれば、疑心暗鬼から周りの人がすべてBさんに見えてしまう。
そしてその映像には一切の音が無い。眼の記憶ですから。
その他諸々の技術的・倫理的・政治的制約もあり、いろいろと考えさせられてしまう深さを持ち合わせた
本当に上手い設定だと思います。

主に猟奇的な殺人事件を扱うこの作品。
連続殺人犯の頭の中も覗くわけで、その狂った世界に捜査員の精神が影響を受けない訳がない。
いま自分が見ているものは、他の人にも見えているのだろうか…。
いま頭の中にある記憶は、本当に自分自身の記憶なのだろうか…。
彼らは闇の世界、狂気の世界に引きずり込まれそうになりながらもなんとか正気を保ち、
事件解決のために奔走します。
主人公たちのそういうせめぎ合いもこの作品の見所の一つです。

ベテラン作家による綺麗でスマートな絵柄のため、決して見苦しくはないのですが
かなりエグい、グロい、重い作品です。
人体解剖なんて普通に出てきますし、大量虐殺のシーンとか、自分が惨殺されるシーンとか、
手を抜かずにしっかり描き込んであります。
「羊たちの沈黙」や「セブン」(っていう昔の映画です)なんかが苦手な人にはお薦めできないかも。
物語が単なるハッピーエンドで終わらず、時に残酷で、もどかしく、やるせなく。
それでも、息を呑むほどにとにかく面白い。良作です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-09 22:38:37] [修正:2010-05-09 22:41:04] [このレビューのURL]

6点 torinokidさん

面白いというよりは非常に恐ろしい作品。

保存状態の良い大脳ならば
その記憶を映像として見ることができるという設定は恐ろしすぎる。
自分の身で考えた日にゃあ、ホントにたまったもんじゃないですわ。

内容的には関係ないけど、清水氏はあんなに絵が上手いのに、
なんで白骨死体を描くのが下手なんだろう(温室内のあのコマね)。
大事な場面なのに、なんか力が抜けてしまった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-25 20:32:30] [修正:2013-11-26 15:15:45] [このレビューのURL]

8点 ToriToriさん

[ネタバレあり]

人の脳に残った記憶を映像にしてリピートすることができる、というストーリーは、非常に珍しく、すごい発想だな、と感心しました。

私的には、自分が子供がいるせいか、犠牲者が子供の話や、ぼけた父親を世話しつつ精神世界に浸ってしまう女性の話とか、そういう、現実味のあるエピソードにハマりました。特に、何十年も前に誘拐されて殺された息子の記憶を見た、今は老女になってしまったお母さんが登場する話は、胸が苦しかったです。殺される最後の最後に、お母さんの笑顔を記憶に残していた息子。とても切なくて、何度読みなおしても、涙が出ました。

深刻なだけじゃなくて、思わず吹き出すようなユーモアの要素も時々ありますが、全体的に、とても重いストーリーでしたが、とても綺麗に描かれていますし、SFものやファンタジー物が好きな人にはおすすめだと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-10-28 12:57:05] [修正:2013-10-28 12:57:05] [このレビューのURL]

7点 fooさん

強引で頭のキレる美しい警視庁第9課、エリートの蒔を中心に
起こる猟奇殺人事件を死体の脳を取り出し
映像化することによって事件解決の手助けをするが

蒔には様々な過去があり、事件と同時に蒔の過去も明らかになって行く。

最大のトラウマ同僚の鈴木を引きずる蒔に、新たに信頼を寄せる同僚
青木が登場し、青木も蒔を絡む事件に巻き込まれていくのですが

私はどうもこの青木が好きになれません、正義感ややさしさも、気持ちが悪いですBL好きには良いのかもしれませんが

他人の脳を覗く行為で事件の解決のヒントになるシーンを発見できると
やった!これで事件が解決する!と一瞬思いますが

他人のプライベートな家庭の中、その人が大切にしている物などが視線から
感じる事が出来ると、見てはいけなかった、と複雑な気持ちになります

過去のトラウマと友情、犯人との確執や世間からのバッシング、蒔に近づく不穏な影など、様々な問題を抱えて小さい蒔が戦っていく

面白いですが、輝夜姫が好きな私には物足りなく感じてしまいます
と思っていましたが

秘密、スピンオフの蒔の過去編が出ましたね!
こちら、とっても面白かったです!

やっぱ青木より鈴木ですよ鈴木!蒔の過去にも凄く驚きますよ。
読んでない人は、こちらの普通のほうを読んでからスピンオフを読んだほうが
楽しめると思います!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-08-30 01:46:59] [修正:2013-09-01 13:11:12] [このレビューのURL]

9点 kuroneko3298さん

「何故死んだのか。何故こんな風に殺されなければならなかったのか?
 これからは すべてがわかる---!」
しかしその歓喜は疑問へと変わる---。
それは死者の思いを、秘密を 覗き見ることだったからだ。

人としてそれは許されることなのか--。苦悩する捜査官たち。
しかし彼らは、猟奇事件犯のおぞましい思考や 歪んだ怒りや憎しみまでをも
映像化してしまう・・MRI捜査の本当の恐ろしさを知ることになるのです。

第九捜査全てはトップシークレット---。
そしてその全てを抱えるのは少女のように美しい室長 蒔さん。
様々な事件の中で、過去に起こった猟奇殺人が、そして彼の中だけに眠るトップシークレットが 彼にどんな「悪夢」を見せているかが明らかとなり・・私たちの心を直撃(涙)

単なる犯人探しと謎解きにとどまらず、人の心に棲む様々な闇に挑む、
少女マンガにとどまらないシビアかつ大胆な作品!

文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞---。
まさにハリウッド映画になって欲しいほどの力作です。
本誌では完結--訂正します。過去編が始まったようです。
是非お手に取ってみてください。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-24 12:34:55] [修正:2012-10-27 22:56:31] [このレビューのURL]

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