ホーム > 不明 > 刑事 > 漫画家残酷物語

6点(レビュー数:2人)

作者永島慎二

巻数4巻 (完結)

連載誌刑事:1961年~ / 朝日ソノラマ

更新時刻 2009-11-25 00:46:36

あらすじ 自らの身を焦がす程の、漫画への熱い情熱と人生への不安。作品に登場する漫画家たちの生きざまが著者永島慎二とオーバーラップして、深く心に突き刺さる。
真剣に漫画家という職業について考え抜いたこの作品には、「生きる」ためのヒントが隠されている。

備考 2003年にふゅーじょんぷろだくとから完全版が全2巻で出版された。

シェア
Check

漫画家残酷物語のレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

5点 朔太さん

その筋では、レジェンドとして語り継がれる作品でした
ので、今回読むことにしました。
一話読むごとに、とてもエネルギーを消費して、疲れます。
まるで、太宰治の「人間失格」や「斜陽」を読むかのようです。

60年前、昭和の半ばでは、漫画家さんも市民権を得ようか
という黎明期だったと想像されます。
漫画家という職業だけが特別ではないのですが、小説家に
通じるような人間に対する考察をし続けるべき職業として、
永島先生は極めてストイックに考えられた感があります。

絵は個性的ではありますが、可愛くも思える一方で、
とてもモダンで見やすく、ピカソのような芸術性すら感じます。
1960年代に活躍された永島先生の他の作品も、もっと
読んでみたい気持ちになりました。

因みに「刑事」という漫画誌があったのですね。
初めて知りましたが、なんで「刑事」なんだろう?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-11-11 08:50:52] [修正:2021-11-11 08:50:52] [このレビューのURL]

7点 ジブリ好き!さん

この短編集の各話が発表されたのは「まんが道」より先ですが、なんだかまんが道に対するアンチテーゼのような印象を受ける程、漫画家というものを辛く残酷な星の下の職業として描いています。
かつて乙武氏の「五体不満足」がベストセラーになった後、他の障害者の方が「笑え!五体不満足」という、乙武さんの障害者論に反論した作品を出していましたが、それに似ています。

漫画の黎明期…
漫画に魅せられ、子供たちに夢と希望を与えるんだ!と一流の漫画家を志す者たち。
しかし今も昔も、求められる漫画は良い漫画ではなく売れる漫画。商品価値がなければ出版してもらえない。
そんな現実に、かつての夢を枯らし、描きたい漫画を捨て、生活のため望まない内容の漫画を描く者。それでも諦めず、食に困りながらも、自分が信じる漫画を描き続ける者。
彼らは確かに、かつて漫画を愛し、高い志を持っていた。そしてその志の高さ故に、漫画に溺れ、現実を嘆き、残酷な運命に呑まれていったのだった…

「T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る」という似たように漫画の辛さ・残酷さを描いた強烈な別作者の作品がありますが、そっちは自らの能力や考え方にも問題があったというラストを迎えるのに対し、これに登場する漫画家は才能者ばかり。
本当に地獄のような運命に翻弄され潰れていくから、救いがない。
中には希望的な作品もありますが、基本的には「残酷」
確かに死後やっと評価された有名画家・小説家も多くいますね

この作品を読んで、何を感じるのか、何も感じないのか。
人によっては気分を害するだけでしょう。児童漫画としてひらがなを多用していて、読みにくさもあります。
個人的には、先の作品を含めこういう無残な青春譚は嫌いじゃないのですが、この作品には読後感が悪いものも多くあるので注意。

漫画を愛し、漫画に苦しみ、漫画に人生を狂わされた者たちのお話。
描き手じゃなく、読み手で良かったなぁ

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-20 23:49:56] [修正:2011-05-25 01:53:03] [このレビューのURL]


漫画家残酷物語と同じ作者の漫画

永島慎二の情報をもっと見る

同年代の漫画

該当なし

刑事の情報をもっと見る