恐るべき子どもたちのレビュー
7点 ジブリ好き!さん
歳を重ねていくほどに、物心ってのがついて次第に大人になっていくもの。
けれどもし永遠に子供のままでいたら…
閉鎖的な空間で、いつまでも子供の精神のまま年を重ねる姉弟
彼らは夢の世界で遊び続ける。遊び飽きたらまた次の遊びが始まる。
絶えず繰り返す喧嘩も遊びの一環。そしてその裏には、決して裏切らない姉弟愛がある。
社会へ出るための最低限の変化は許容しつつも、二人の秩序だけは絶対に壊してはならない。それを脅かす変化には、最大限の悪意を持って対処しよう。
芽生えた悪意は周囲の想いを壊し、人生を狂わす。何としても守りたかった姉弟の秩序。
しかし偽りの秩序は、かつて現実世界で憧れた者からの贈り物で、虚しく崩れ去る。
現実世界ではもう遊べない。
恐るべき子供たちは、旅だってゆく。永遠の夢幻の世界へと。
最初少しBLっぽいけど、話の中心は終始姉弟。
二人は永遠に子供のままで終わってしまい、成長も教訓もなく、ただ特異な人間の悲劇が描かれる。
原作含めて全く共感できません。けれど、あのラストには救いを感じました。
(読んだ人向け。参考HP「萩尾望都作品目録」)
ダルジュロスというキャラは、毒薬集めに見られるように、少年のころから現実社会に対する反抗心が強かった。
そして彼は少年時代の気持ちを持ち続けたまま、きちんと大人になることが出来た。
これってポールと彼の決定的な違いですよね。そういう人が最後に登場した時点で、ポールの結末は決まってたんだろうな。
あと、やっぱりメタルギアシリーズの「恐るべき子供達計画」とは関係なかったぜ…
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[投稿:2011-01-14 02:00:03] [修正:2011-01-14 02:00:03] [このレビューのURL]
10点 そのばしのぎさん
詩人ジャン・コクトーの名作小説を萩尾望都が漫画化。
コクトーは詩も良いが、絵を描けばピカソも褒める位うまかったし、「詩人の血」「オルフェ」なんて映画も残している。
ちなみに原作の「恐るべき子供たち」は1950年にジャン=ピエール・メルヴィルにより映画化されている。
憧れのダルジュロスに石の入った雪玉をぶつけられ倒れるポール。
姉弟二人の世界を壊されたくないエリザベート。毒薬ごっこの決着をつけなければならなかった。
それにしてもポールが夢の中でエビに襲われるシーンなどは、この漫画のためにコクトーが書いたのではないかと思える位に妙にマッチしている。
原作が別にもかかわらず、実に萩尾望都らしい漫画になっている。
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[投稿:2010-09-18 08:32:59] [修正:2010-09-18 08:32:59] [このレビューのURL]