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8.33点(レビュー数:3人)

作者デビッド・マツケリー

原作フランク・ミラー

巻数1巻 (完結)

連載誌Marvel Comics:1986年~ / ヴィレッジブックス

更新時刻 2011-10-13 20:18:15

あらすじ かつての恋人に裏切られ、宿敵キングピンに正体を知られてしまったデアデビルことマット・マードック。仕事を、友を、コスチュームまで奪われた彼に残されたものとは…。高貴なるヒーローの転落と再生を描く、男泣き必須の伝説的名作。

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デアデビル:ボーン・アゲインのレビュー

点数別:
1件~ 3件を表示/全3 件

10点 レトさん

「希望を失った男は恐れを知らぬ男なのだと」

アメコミ界を代表するライター、フランク・ミラーが不朽の名作を立て続けに世に送り出した奇跡の1年にバットマンと同時進行で制作したデアデビルシリーズの1エピソード。

内容はというと、宿敵によってどん底にまで落とされた主人公が周囲の協力を得て再び立ち上がるという胸熱なストーリーを一級の犯罪小説ばりのリアリティを持たせて描いている(そもそも作者が犯罪小説好き)。
映画で人気のあのチームも最後に登場。
荒唐無稽なストーリーが売りのヒーローコミックにおいてリアリティの要素を持ち込んだのは作品を地味にする難点もあっただろう。
しかし、本シリーズにおいてはリアリティこそが作品の魅力となり、本作においても2つの点で大きな意味を持っている。
1つは正体がバレるというヒーローものにおける定番の展開を主人公が最大の危機を迎えるきっかけとして機能させたこと、
そして闇社会のボスというありきたりな設定の悪役を主人公を極限まで追い詰めるだけの権力を持つ悪役としてその強大さに説得力を持たせた点だ。
コスチュームを着れば無敵の主人公も表の顔は弁護士とはいえ、単なる一般人に過ぎない。
そんな彼から組織は周到な計画の元、地位も名誉も財産も根こそぎ奪い去ってしまう。
ヒーローとしてのアイデンティティから切り離された一個人は組織に対してあまりにも無力であった。
そんな主人公を救うのが仲間であり、組織よりさらに強大な「市民」である。
本作が人気を博す要素の一つが彼ら「凡人」の果たす役割の大きさだろう。
本作は決して超人的なキャラクターばかりが活躍する「神々の闘争」の類の物語ではない。
家族が脅威に晒されてなおジャーナリストとしての使命を全うするベン・ユーリック、作品が作品なら「クズ」の一言で切り捨てられそうな落ちぶれたヒロインのカレン。
いずれも傷つきながらも懸命に主人公の支えとなる。
そして最後の最後に悪役を追い詰めるのは「世界最強の援軍」である市民。
力のある者だけが世界を動かすのではない。彼らの陰に隠れた非力な者たちにも重大な存在意義がある。
そんな力強いテーマが伝わってくる人間賛歌の傑作だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-03-03 21:15:44] [修正:2015-03-03 21:16:50] [このレビューのURL]

9点 booさん

帯に書かれている通り、DKRのフランク・ミラーが贈る“男泣き必須の伝説的名作”。

泣く、と言っても色々ある。人が死んだ時、別れる時、夢が叶った時、などなど色んな場面で人は泣く。
このデアデビル:ボーンアゲインは男泣き必須の名作と言われる。それは大人の男の生き様に涙するということだ。これってかなり凄いことじゃないか?

デアデビルはマーヴル社のヒーローの一人、放射能によって視力を失った代わりに触覚や嗅覚などの超人的感覚を得たその名の通り恐れを知らない男。デアデビルの素顔はニューヨークのヘルズキッチンに住む弁護士、マッド・マードックだ。
しかしかつての恋人カレンが薬物欲しさにデアデビルが誰なのかを明かしてしまう。デアデビルの正体がマードックだと知った宿敵キングピンはマードックから仕事を、金を、友人を、そして終にはデアデビルを、精神の平衡すら奪ってしまい…。

ボーンアゲインは再生、復活を意味する。そう、ボーンアゲインはデアデビルの失墜と再生を描いた物語。
これを読めばヒーローが何故コスチュームを着て、顔を隠すのかが嫌でも分かる。ヒーロー自身は、デアデビルは恐れを知らない男かもしれない。でもマッド・マードックはそうではない。彼には彼の生活があり、大事な人がいるのだから。そしてデアデビルはマードックありきのものだ。
キングピンはマードックから全てを奪う。本当に全てを。しかし完全に折れ、絶望してもなお彼は…。

何故ここまで熱くなれるのか。それはデアデビルではなくマードック、そして新聞記者のユーリックやカレンも共にどん底から這い上がる物語であるからだ。ヒーローが立ち上がるんじゃない、マードックや彼らが力を振り絞って立ち上がる。ただの人間だからこそ、ぶちのめされてぶちのめされて、絶望の果てにもう一度…という姿に勇気をもらえる。
そう、恥ずかしげもなく言うと勇気をもらえるのよ。かつて少年漫画を読んでいた時のように。でもこれは“大人”が読んで勇気をもらえる物語。男の物語。

最後の方は様相が変わって、デアデビル復活直後の話になるわけだけど、こちらは焦点がぼやけ気味でちょっと残念だったりする。ダークナイト・リターンズのように個人の正義は国家の正義と衝突するという話ならば、最終的に戦うのはキャップになる気がするんだけど…。
ただ悪い話というわけではなくて、普通に楽しめはする。再生までの話で十分お釣りが来るので無問題。

今の所邦訳されたデアデビルの話はこれと、マーヴルクロス収録のラブ・アンド・ウォーのみ。こちらもミラー担当の(アートはマツケリーではないけど)傑作なのでまた別に紹介したい。ちなみにデアデビル入門にはボーンアゲインの方が分かりやすいのでおすすめです。
エレクトラも含めてミラーのデアデビル関連はぜひ邦訳を進めて欲しいな。

結局気に入るかどうかはストーリー云々じゃなくて、フランク・ミラーの男の美学が肌に合うかどうかだろう。ただこの人はハードボイルドを書かせると随一な方なので、好きな人には間違いない。
熱くなりたい、勇気をもらいたい大人の男は今すぐ読もう。男泣きしたい人には言うまでもない。熱く涙するという稀な、そして最高に気持ちの良い体験が出来るはず。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-08 20:18:48] [修正:2011-11-09 00:06:06] [このレビューのURL]

6点 columbo87さん

マーベル邦訳でなかなか「大当たり」に出会わないなと思うこの頃、そういえばデアデビルさんなんてDCキャラっぽいし行けるかもと思い購入。フランク・ミラー原作デビッド・マズッケリ作画といえばバットマン:イヤーワンのコンビ、これなら外れはない!

物語はいきなりデアデビル失墜から始まるので面食らうかもしれないが、映画を見てればまず問題ない程度。
キングピンの策略によって全てを失い、どん底に突き落とされるマット・マードック(デアデビル)と、ドラッグほしさに彼を売ったかつての恋人カレン。二人の復活が描かれる。

一度はバラバラになった友人たち、それぞれの戦いやマードックとの絆が熱い!
生まれた場所にたどり着き、己のアイデンティティーを再認識するマードック、恐れを知らない男への復活!古典的だが熱い!
そしてカレンもまた許され救われる(この辺はミラーの描く女性像ってワンパターンだなとか思いつつ)。
これまで一緒に堪え忍んできた読者に見せつけてくれるであろう逆転劇への期待が高まる!

・・・しかしこのあとの展開はちょっと「どうして?」という感じ。
暗い時期が長くて人気が出なかったのか?明らかなテコ入れ、あのキャラ出てくる必然性があったの?DKRでスーパーマンが出てきたのとはワケが違うぞこりゃ。
そして幕切れもちょっと不満。なので6点くらいか。

ミラーでも結構制約されんのかな、マーベル作品はもういいかな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-15 17:37:42] [修正:2011-10-16 02:47:06] [このレビューのURL]


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