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6点(レビュー数:1人)

作者スティーブ・エプティング

原作エド・ブルベイカー

巻数1巻 (完結)

連載誌Marvel Comics:2007年~ / ヴィレッジブックス

更新時刻 2011-11-15 13:50:04

あらすじ 超人登録法の是非を巡る対立は、ついにヒーロー同士の内戦=シビル・ウォーへと発展した。
登録法反対派を率いるキャプテン・アメリカは、アイアンマンら、圧倒的な戦力を誇る支持派に対し、ゲリラ戦を仕掛けるも、人々の命を守るという己の使命を見失っていた事を悟り、自らマスクを脱いで投降した。
ここにシビル・ウォーは集結し、全超人は政府の管理下に置かれる事となったのである。
キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの初公判が迫る中、行動を開始する地下に潜った反対派達。
だが、これを好機と見たのは、彼らだけではなかった……。

自由のシンボルたるキャプテン・アメリカの死を描き、全米に衝撃を与えた話題作。
『シビル・ウォー』の衝撃が冷めやらぬ中、前後編で刊行開始!

備考 Captain America vol.05 #25-#33

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デス・オブ・キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリームのレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

6点 columbo87さん

最も偉大なヒーローの死。余りにも突然に訪れたそれは、先の内乱で彼が犯した過ちの清算としては余りにも重すぎた。
一体誰が、何のために。彼の死を悼むヒーローは多かれど内乱の爪痕は深く、協力して犯人を探すことさえも出来ない。アメリカが理想とする精神の体現者だったキャプテン・アメリカ、彼が失われたことはヒーロー全体の凋落をも意味したのか。彼の精神を受け継げる人物は、希望はどこにあるのか。

かつてのキャプテン・アメリカの相棒であり、洗脳されテロリスト「ウィンターソルジャー」として暗躍していたバッキー。暗い過去の為に孤立していた彼だけが、キャプテンの死に際して行動を起こすことができた。
政府機関シールドからキャプテンの象徴である盾を奪還した彼は、更には暗殺犯と目されるレッドスカル一味とシールドが関係していることを突き止める。
一方でキャプテンの恋人シャロンは、ファルコンと共にバッキーの後を追っていた。仇敵ドクターファウスタスの洗脳を受け、罪の記憶に精神の安定を失いつつある彼女がレッドスカルの陰謀を知った時、もはや事態は取り返しのつかない段階に突入していた。


本書はその名の通り、キャプテン・アメリカの死がテーマとなったエピソードである。キャプテンの死の謎を探りつつ、彼の過去が回想される。その高潔な生き様から、そしてヒーロー達の感傷を通じて、人々の言葉を通じて、キャプテン・アメリカという人物の偉大さと喪失の痛みを読者は分かち合うことができる。
アメリカンドリームは死んだ、ではその理想を受け継ぐのは一体?
落ちた英雄の復活から繋がる新生キャプテンの誕生という一種ご都合主義的な展開ではあるが、丁寧で説得力のある心理描写と多くの試練が用意されており、アメコミなぞ子供向けという思いを払拭する、ハードかつ胸の躍る内容になっている。
メインキャラクターの死というのも余りお目にかからない話だが、その引き継ぎをするのがメインの話、というのは更に珍しいように思う。しかも主役のバッキーはテロリストだった過去を持つ嫌われ者というから、これはちょっとした挑戦ではないだろうか。
そして、この挑戦は成功したと思う。ダーティーな要素を持ち味として活かし、かつてはサイドキック(バットマンでいうところのロビン)にすぎなかった少年を、野性的で魅力溢れるキャラクターに成長させているのだから。流石話題のエド・ブルベイカーといったところだ。
エピソード自体は続巻の「バーデン・オブ・ドリーム」が一応の完結篇であるが、所詮導入部分と侮るなかれ。広げられた風呂敷に辟易する暇もなく繰り広げられるスパイ・アクションは圧巻の一言であるし、先のシビルウォーで一躍嫌われ者になったトニーがバッキーに叩きのめされたりと、読者のフラストレーションを解消してくれる場面もある。


読者はきっと、今はまだ復讐の怒りに燃えるバッキーがこれからどう成長するのかを見てみたくなるだろう。つまりバーデン・オブ・ドリームも買わなきゃということである。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-01-05 04:00:09] [修正:2012-01-05 04:16:08] [このレビューのURL]


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