「zeebra2001」さんのページ

総レビュー数: 11レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年03月23日

この漫画と出会えなかったら、「等価交換」とか「命の重さ」なんて
分からなかったと思います。ともかく、ストーリーとテンポが良すぎる。
自分たちの責任とはいえ、弟の体を取り戻す為の「賢者の石」探し。また
斬新とも言える錬金術の法則や国家試験による現実世界にも通じる厳しさ。
戦争による悲劇に矛盾、更には謎の人造人間が国家を運営していると言う
設定は素晴らしいです。ただ、魅力あるキャラや動きは良いんですが背景や
機械の表現がちょっと雑なのが惜しい。もうちょっと描き込めば、リアリティ
が出るのに、面倒だから省いている。あと演出はハッキリ言えば「どっかで
見た事ある映画」からの模倣ですね。それでも、現在2大人気を誇る少年誌
で描かれている二流漫画よりも、王道で泣ける少年漫画だと思います。うん。
まだまだ発掘されていないテーマやジャンルがある事を教えてくれる名作です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-04-05 19:13:17] [修正:2010-04-05 19:13:17] [このレビューのURL]

8点 レベルE

一言で言えば、ある種の社会風刺漫画とも言える。
バブルが崩壊して、デフレに陥った日本では雑誌が
全盛期に比べて売れず、また自国に対して愛国心や
自分に対しては悲壮感漂う未来像、そして創造力が
満ちあふれていた70年代とは違う90年代の漠然と
した消費文化を十分に皮肉っている。主人公の住む田舎で
いきなり宇宙人が現れる設定は、高度成長経済の中で進んだ
技術や文化を持った東京人が田舎の純真な少年に対しての
嫉妬や都会なんてこんな物だと失望感が入り交じった考えから
生まれたと思う。一方の主人公も、宇宙人という事で何でも
出来たり、自分よりも頭がいいと憧れを抱くが実際はバカで
とんでもない性格の持ち主だというのも作者が抱く「東京」の
アンチテーゼに近い。また、コンウェル星人という女を食べて
子供を産むという宇宙人も、現実世界で女性に対して未だに
偏見や差別、また社会進出して「強くなった女性」に何も言えない
弱くなった日本の「親父」を皮肉った設定だと感じた。援助交際と
いう、90年代が生み出した文化は金を払わないと相手にされない
男性が「種」を残して、自分を足跡を残したい「性」は、まさに
「食人鬼」の裏設定だろう。単なるSFコメディとしても面白いし、
ゲーム性を持った社会風刺漫画として読めば、また更に見聞を深める
作品だと個人的に思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-23 13:23:50] [修正:2010-03-23 13:23:50] [このレビューのURL]