「トニーモンタナ」さんのページ

総レビュー数: 468レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年10月28日

阿部共実の進化をリアルタイムで見れて大変喜ばしいです。

団地とか幾何学的で非有機的な背景と有機的な人物のコントラストが素晴らしいです。繊細なトーンワーク、光と影の対置、パース構図にひたすら恍惚。

頻繁に出てくる階段は監獄や権威や閉塞のメタファーなのか。斑点や水玉描写も自意識の具象化として巧妙です。終盤の圧倒的な飛躍は漫画史に残る名シーンだと思います。「死に日々」の「8304」のアップグレート版。

ニヒリズムというか世界への諦観が今まではあったけど、今作は虚構を媒介しながら世界と対峙してる。「空が灰色だから」じゃなくて「空が純白だから」

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[投稿:2020-04-02 21:13:16] [修正:2020-05-28 15:03:04] [このレビューのURL]

支配者、被支配者の構造、男性性の加害性が鮮明に描かれていて苦しいです。他者を物的に搾取する支配と服従の対立軸が反転する終盤も壮絶です。

縦長や横長のコマを連綿されて動作の繋ぎが流麗です。大ゴマの配置が周到。暴力シーンなんかは画面を黒を基調にしていたりして、より惨いです。

フェミニズムだけでなく、個人の自己実現にも焦点を当てて描いてます。男性らしさ、女性らしさなど短絡的な性へのレッテル貼りへの嫌疑も描いてたと思います。

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[投稿:2020-04-02 23:48:00] [修正:2020-05-28 14:55:33] [このレビューのURL]

新鋭って感じですね。ほんとに短編好きにはたまらないです。多感な時期に出会えば心の支柱になるくらいの力があると思います。漫画としての磁場が強いです。

スクリーントーンが物凄いセンシティブで陰影や光線が強調されてる。恋や青春の一瞬の輝きを永続させるような話が多くて大好きです。

「赤星くん」の金玉の大ゴマ、「成人ボム 夏の日」の見開きはヤバいです。圧縮と解放、奥行き、パースにただただ見惚れる。感情と漫画的飛躍が呼応する瞬間がもう優勝です。

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[投稿:2020-04-03 00:09:55] [修正:2020-05-28 14:53:29] [このレビューのURL]

前半は断片的なショートショートの形式ですが、後半はそれがフリになった短編。有機的に連動して絡ませるのが巧いです。

超現実的な飛躍するタッチはやはり唯一無二です。家族の呪縛、帰属することへの抵抗とかが統一されてる気がしました。特に父親への反発、折り合いの悪さが強調されてるように思いました。ポップなタッチとは裏腹に結構陰惨としてます。

空間の伸縮だったり、大胆なパース構図も「変身のニュース」とかに比べると抑えられてますが、出色の出来です。

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[投稿:2020-05-28 12:41:42] [修正:2020-05-28 12:41:42] [このレビューのURL]

飄々とした描線ですが、質量があり、強く残ります。短編全体的に日常を違う角度から見たり、近眼的に見てた日常を遠視で見て日常を再解釈するみたいなテーマが一貫してると思います。日常と非日常がシームレスに行き交うのを瑞々しい感性で魅せます。

表題作が特に好きです。プラトニックと狂気は紙一重みたいな話です。俯瞰描写が青春の後悔とかに巧く効用してます。ラストの展開、前に進むことを視覚的にも内面的にも符号させるのは高揚します。

「ゲームくん」も至極の出来です。圧縮と解放などのコマ割りや擬音の配置など革新的なことをたくさんやってます。自由度が高く、実験的で物理的限度を超越した漫画的快楽の連続に眩暈します。

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[投稿:2020-05-08 21:14:28] [修正:2020-05-08 21:14:28] [このレビューのURL]

ジョンヒューズ映画のような青春ものです。スクールカーストや学校の閉鎖的なコミュニティを換骨奪胎するという「わたモテ」といい「ブレックファストクラブ」の片鱗を連載中の作品で二作も味わえるのは嬉しいです。

違う特性人物同士の化学反応、相乗効果の描き方がほんとに良いです。他者を隔絶するのではなく、融和させるとても優しい作品です。ギャグの緊張と緩和の作り方、セリフ回しや言語の感覚も鋭いです。

扉絵で「ララランド」のジャケットのパロディをしていたり、仕掛けも色々散りばめられています。

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[投稿:2020-05-04 22:27:10] [修正:2020-05-04 22:27:10] [このレビューのURL]

隠れオタクを扱ったものだと「トクサツガガガ」は他者を断絶せずに作品を媒介にして自分の中に許容しますが、今作は自己完結気味で開き直ってます。
オタクと非オタクの対比、非オタクから見たバイアスのかかっていない映画への視点を設けてるのは偉いなと思います。

娯楽志向の作品を偏重してて芸術志向はよく分からないって視点は映画好きとしては共感できなかったです。ゴダールやトリュフォーもボンクラな人物なんてたくさん出てくるし、映画的飛躍も豊かだし、高尚なものって距離を置くのは好きじゃないです。

けど「卒業」とか「ポリスストーリー」とかのオマージュとか遊び心は楽しいです。「ロッキー5は泣かなかった」も同意します。

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[投稿:2020-05-04 22:19:59] [修正:2020-05-04 22:19:59] [このレビューのURL]

今までの浅野いにお作品は背景が精巧に描かれていて、人物が簡略化、デフォルメされていて相反な関係でしたけど、今作は背景と人物ともデフォルメタッチで描かれてる稀有な作品です。

設定がRPGのようなファンタジーで悪を倒した後の勇者のパーティーをメタ的に解剖していて、道満晴明作品や石黒正数作品を彷彿とさせます。高次的な遊び心が細部に溢れてます。

デフォルメされているけど、いつも通りどす黒い内面に迫っていきますし、陰影の使い方とかはスリリングです。パーティー内の弔いや死をアイロニーなギャグとして描いていて、仲間が並んでる扉絵を繰り返して仲間がどんどん減っていくのを反復と差異で見せてるのも意地悪です。

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[投稿:2020-05-03 22:02:33] [修正:2020-05-03 22:02:33] [このレビューのURL]

浅野いにお先生は漫画の枠組みを取っ払った表現をずっと追及してますね。今作も先進的なことをたくさんやってます。

「ばけものれっちゃん」は思春期の自意識や葛藤を化け物に象徴化した作品で、the pillowsの「ブルースドライブモンスター」を思い出したりました。どの収録作も思春期をシンボリックに描いてるのは通底していて「プンプン」と相似してる気がします。

「ふんわり男」では同じ話を違う視点から同じコマでモノローグだけで変化を描いていたり、「誘蛾灯」ではヘッドライトの表現やベタ、黒を使った夜の描写がアバンギャルドです。「ひまわり」は「ひかりのまち」とか初期作のような暴力観や死生観が見受けられました。

「きのこたけのこ」は「デデデデ」の源流らしいですが、作画の精密さの他にも奔放でスタイリッシュな画面構成が今に続いてます。



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[投稿:2020-05-03 21:50:39] [修正:2020-05-03 21:51:07] [このレビューのURL]

人物も背景もフリーハンドで描かれていて柔らかいタッチですが、不倫など背理的な恋愛描写が多く、内面描写も繊細ですがトゲトゲしています。ディープな色調の効果背景も緻密。幽霊は「夏雪ランデブー」を思い出します。

はぐれ者というか低温で達観した人物ばかりですが、寄り添い方は温かくなります。言語感覚も鋭敏で、言葉の紡ぎ方も良いです。コマのアングルや緩急も心情と符合しています。

あとがきで「漂流しながら描いた」とありましたが、人物の漂流感や浮遊感なども合致して、なんとなく納得しました。

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[投稿:2020-04-23 18:10:48] [修正:2020-04-23 18:10:48] [このレビューのURL]

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