「トニーモンタナ」さんのページ

総レビュー数: 471レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年10月28日

8点 血の轍

「ぼくは麻理のなか」じゃなくて「ぼくは母のなか」。支配と隷従。

ベタは一切使わず線を連ねることで影を覆わせる。被支配や抑圧、阻害、多義的なものが寓意されてます。
ハイコントラストの光と影の描き方も常軌を逸してます。陰影による人物の闇、苦悶をビジュアルで体現してます。

雨、血、精液の繋がりとか凄すぎて放心しました。内在する狂気、恐怖を絵だけで説得力を持たせてます。

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[投稿:2020-04-09 12:22:08] [修正:2020-04-09 15:55:40] [このレビューのURL]

短編形式でなく、長編。ストーリー仕立てで夏次系作品では読みやすいです。
表紙のお姉さんが安部公房の「箱男」みたいです。

コマの拡張はありますが、大仰な展開や表現は割と抑制されています。突飛さもありますが、漫画が基本的に巧妙です。
箱庭から逃避するときはセンチメンタルが爆発してます。

どうでもいいんですが「変身のニュース」が初単行本、「夕方までに帰るよ」が初長編、「ホーリータウン」が初連作集とか結局どれが初か分からないです。

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[投稿:2020-04-09 15:51:42] [修正:2020-04-09 15:51:42] [このレビューのURL]

7点 枕魚

表題作や「ニューフィッシュ」、「素人と海」とか魚がよく出てきます。
「地下行脚」は地下駐車場の匂いも伝わってきそうな質感で、背景の描き込みも特に気合入ってます。

日常と地続き感のある異世界にグラデーションで変化していくのが心地いいです。異世界なのに郷愁感があるという不思議さ。
表題作なんか顕著ですけど、異世界としてのフィルターがかかって描かずに日常の視点を少しズらしてるだけで、異世界と互換性があるように描いてる風に見えます。

電動黒板消し、親切ラーメンとか発想も豊かです。

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[投稿:2020-04-09 15:25:26] [修正:2020-04-09 15:25:26] [このレビューのURL]

緻密な背景と簡素な人物の対比は水木しげる作品、つげ義春作品を彷彿とさせます。

脇道や裏路地が異界にそのまま繋がって彷徨するような感覚に陥ります。不条理さやナンセンスさは白昼夢のような。「大山椒魚事件」は主観の混じった誇張された風景を不気味な筆致で描いてます。

「THE PERFECT SUNDAY」がお気に入りです。笑点つけ機欲しいです。

オロコッパーヘンデルモルゲン。

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[投稿:2020-04-09 14:59:06] [修正:2020-04-09 14:59:06] [このレビューのURL]

「トライガン」好きは買いな一冊です。

飛行船や飛行艇、宇宙船など空が主題になってます。世界に見限って逃避してた人物が空を介在にして世界と繋がるっていうのが貫徹されてます。世界が灰色に見えてたけど、星空の色や地球の蒼さで視野が変容する。

「僕等の頭上に彼の場所」は青春グラフィティとして好きです。「Call xxxx」は宇宙へのロマン、恋愛、人生の模索とかこの短編の象徴的な作品です。内藤作品らしいメカフリークぶりも見れます。

ページを90度反転させたり、革新的なこともやってます。

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[投稿:2020-04-09 14:39:55] [修正:2020-04-09 14:39:55] [このレビューのURL]

倦怠感のあるハードボイルド探偵ものとして良好。

北欧やアイスランドのガイドブックというか旅行雑誌みたいな光景が壮麗で美しいです。心ほぐれるロードムービーとしてもおすすめです。

「乱と灰色の世界」のような美的センス、コマ割りもテキパキとしててスピーディーで読みやすいです。
視線のやり取り、同一化も技術点高いし、ドラマとしても寄与してます。

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[投稿:2020-04-09 12:41:48] [修正:2020-04-09 12:41:48] [このレビューのURL]

心霊サスペンスとしてスリリングで引き付けられます。バディ、チームものとしても楽しいです。呪いや超常を使った対決は「エクソシスト」みたいです。

心霊ものとしての不可視のものへの忌避や畏怖の描写もちゃんと怖いです。

心に傷を負った人々の癒しなんかはヤマシタトモコ定型。共犯関係になっていくのが燃えます。
手だったり、仕草だったりへの執着やフェティッシュも感じられます。

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[投稿:2020-04-09 11:56:58] [修正:2020-04-09 11:56:58] [このレビューのURL]

全編鉛筆デッサンという先駆的なことをやっています。

同じサイズ、画角で繋げる手法は映像的。等倍で人物の表情に寄るのは漫画的に魅せる妙技です。
複雑なコマ割りではないのに時空の越境を最低限のコマや枠線の配置で見せる手腕。

窮屈な世界からの脱却、未来への渇望は普遍的に沁みます。精神世界の表現は神秘的です。

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[投稿:2020-04-09 11:23:08] [修正:2020-04-09 11:23:08] [このレビューのURL]

ゲーテの「ファウスト」の新訳。
学生運動と悪魔との関係がクロスカットしたり、現代風にアレンジされています。終わりを予見された甘美な恋慕が哀しいです。

実験的なコマや画面構成は抑制されて、構成や内省的部分にメーターを振っている。タイムスリップや輪廻、倒叙式の構造に感服します。人生の再生としても惹かれます。
けどやっぱり集中線とかは端正でスマートです。漫画を知り尽くした省略の美が詰まってます。

悪魔に取り込まれる、浸食される表現も凄惨です。世界の根源と個人の欲望、幸福と悲愴の対比を見事な筆致で描いてました。未完が悔やまれます。

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[投稿:2020-04-08 23:31:16] [修正:2020-04-08 23:31:16] [このレビューのURL]

病院での政治、権力闘争を醜悪、陰惨に描いてます。

そして難病に侵された主人公の内面、人間の精神や実存的な話になっていきます。慟哭だったり、苦しみの時は画面が暗いですが、自己を確立したときは内面を投射した太陽や光の表現が多いです。

視線誘導や心象としての豪雨の描写は斬新で、エポックメイキング的です。



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[投稿:2020-04-08 21:24:43] [修正:2020-04-08 21:24:43] [このレビューのURL]