「小嘘騙り」さんのページ

総レビュー数: 4レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年09月19日

不思議な話を集めた短編集。

似た印象を受ける漫画作品に杉浦日向子氏の「百物語」があるが、「百物語」が主に江戸時代の奇談集に着想を得ているのに対し本作品は作者自身の奇想をよりどころとしている。
歴史資料という枠組みの中で作者が自分のイメージを表現している「百物語」とフリースタイルで自由に作者が空想を書き綴っている本作品を例えると短歌と現代詩のような関係だと思う。

何より注目すべきは表現力の高さ。
高い画力と構成力によって、読者は自然に作者のパーソナルな奇想を共有し、体験することができる。
まるで他人の頭の中を訪問しているような楽しさがある。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-09-19 20:49:35] [修正:2007-09-19 20:52:39] [このレビューのURL]

7点 魔女

魔女をテーマにした連作短編集。

同じ作者の「はなしっぱなし」はストーリー性は薄く詩に近い印象を受けるが、本作品にはかなりしっかりとしたストーリーがある。
相変わらず高い表現力と豊かな発想が骨太なストーリーの中で活かされており、読みごたえがある。


「はなしっぱなし」より読者を選ばないので誰にでもお薦めできる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-09-19 20:50:28] [修正:2007-09-19 20:50:28] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

テーマ性とエンターテイメント性を兼ね備えた、まさに傑作といっていい作品。

賞賛すべき点は多いが、僕が本作品で特徴的だと思うのはそのリアリズム描写である。
本作品では人名を除き固有名詞がほとんど出てこない。また、絵としても現代日本ならどこにでもあるような街並みや学校などの風景が淡々と描写され、読者はその具体性が希薄な部分に自分の身近な風景を重ね合わせることによって作品のメッセージをリアルに受け取ることになる。

また、登場人物の感情の流れの描写も説明を省いたリアルさがあり、作品の中に引き込まれる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-09-19 20:47:39] [修正:2007-09-19 20:48:16] [このレビューのURL]