「右から左へ。」さんのページ


いじめられっ子が、かわいい女の子に出会う。彼女としてつきあっていくうちに人生が変わっていく。そういった境遇が本当に現実のものなのか、自分がこんなに幸福でいいのか、と悩む。そして、人としても、大人に成長していく。あらすじはこんな感じ。

うーん、ありえない。はじめは誰しもがそう思うだろう。だが、読んでいくうちに、徐々にだが話に入り込める。それは、南雲や高井、谷脇などの登場人物が充実しているためである。現実的ではないストーリーの中に、彼ら登場人物の現実的なストーリーが挟み込まれているからこそ、徐々にだが、こういった話に入り込んでいけるように設計されていると感じた。また、恵まれた環境の中でも悩み続ける主人公に、はじめはグジグジする男だなぁ、とイライラしながら読んでいたが、最終巻まで読み進めていくと何となく主人公の考えが理解できるようになっていった。

しかし、あくまでそこそこ面白いという程度であった。何と言うか、徐々に話に入り込めるんだけど、それでもどこかで突き放して話を眺めている自分がいた。こんなのありえないよ、と。それに加えて、ラストが微妙だった。あれだけ話を展開、進展させておいて、最後にあれはないだろう、と感じられた。また、他のレビュアーも述べるように、レゲエの同級生や胃がんの男の話は邪魔。話に関係してこないので、話の腰が折られている。

ダメ出しをすれば色々と出てくるが、全体的にみればそれなりにまとまっている漫画だ。エンターテイメントとしても、考えさえられる漫画としても、中途半端な印象だが、よく言えば軽く流しながら楽しむことができる。立ち読みが最適か。ちょっと微妙だが暇つぶし程度にはなる漫画。4点。

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[投稿:2008-10-23 16:30:43] [修正:2008-10-23 16:30:43]