「えりくら」さんのページ
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8点 銀と金
ギャンブルあり、名言ありの福本漫画の真骨頂。
ただし、一つ一つの勝負の結末にある爽快感は、他の福本漫画と比べると少ないかもしれない。そこがカイジ、アカギ、天なんかと比べた時に最も異なる点で、この荒唐無稽な漫画にある種のリアリティを与えている要因でもあるのだけれど。
終盤、主人公の一人である森田鉄雄は神威編を最後に引退をしてしまう。おぞましい人間への嫌悪感や、染まってしまうことへの恐れ。
それは勝ち続けること、勝ちを積もらせ続けることに対して作者が抱いた疑念の表れのように思える。
ラストシーンで銀王こと平井銀二はこんな意味のことを言っている。
敗れは近い……おそらく次か、その次か……
しかし、勝ち逃げだけは許されない……それだけはしちゃいけない。
ならば、勝ち続ける……灰になるまで……
もしも自分が志半ばで倒れた時、自分の代わりに目指した道を行き果たしてくれる。それほどの存在を失った銀二はまるで抜け殻のように見える。亡霊となって勝ち続ける銀二にはただ勝ちが積もり続ける虚無が残るばかりである。
あまり評判の良くないラストだが、個人的には味わい深いラストだった思う。
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[投稿:2010-06-30 01:33:14] [修正:2010-06-30 01:36:06]