「えりくら」さんのページ
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8点 アイシールド21
それはもしかしたら、かけっこであったかもしれない。
勉強でも、スポーツでも、ゲームでも、図画工作でも、少し出来るようになってくると楽しい。楽しくなれば、もっと上を目指したくなってくる。仲間内で、クラスの中で、学校の中で、同じ地区の中で。やったからには、それを志したからには、どうしようもなく湧き上がって来る譲れない思い。
「一番になりたい」という思いだ。
その欲求を満たすため努力をし、積み重ねた努力をもってして勝負をする。そして、勝つ。勝ったら、次。勝ったら、次。どんどんと高みを目指して邁進する。
だけど、それをくり返すうちに段々と現実が見えてくる。世の中には凄い才能を持った人たちがいて、その人たちも自分と同じように「一番になりたい」と思い、日夜努力を続けている。負けたくない。だけど。ある日胸の内に一つの懸念が宿る。どんなに努力をしても、どんなに必死にそれを願い続けても。才能の差で、体格の差で、頭脳の差で、努力の差で、ちょっとした運の差で、それは叶わないのではないか。
ひょっとしたら自分は「一番」にはなれないのではないか?
そこで、自分の可能性を見限り、一切を諦めて生きていくことも出来るだろう。多くを望まなければ、泥沼に浸かっているような毎日でも、それなりになんとかやっていける。
だけど。
これは、そんな泥沼の中から力強く立ち上がった少年達の物語です。
批判の多い終盤の展開も作者の「書きたかったこと」を考えると充分に頷けるんだけど、もう少し上手くやってくれたらと思わなくもありません。編集側の思惑もあったのかもしれないけど。アメリカ戦は最後に引き分けになったのは良かった。圧倒的な才能を持った阿含や峨王、大和ですら敵わないアメリカの選手達も実は同じなんだよ、と。
それよりは、試合の終盤に差し掛かった所で敵側の選手が泣き言めいたことを言い出すシーンが何回かあるんだけど(巨深戦の水町、白秋戦の如月とか)、その方が気になった。アスリートとしてどうなのよ。
あと、終盤になって突然次の対戦相手のことを喋りだす奴。やられる瞬間、急に饒舌になって負けを認めだす奴。漫画的表現というのはわかるけど、うーん。ジャンプ漫画全体にいえることかもしれませんけど、そういった漫画的表現のマニュアルに沿った手続きを踏むことに一生懸命になりすぎてやしませんかね?
色々文句もありますけど、これを越えるジャンプ系スポーツ漫画は近年見当たらない、というレベルの漫画であることは間違いありません。おすすめ!
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[投稿:2010-09-20 05:36:45] [修正:2010-09-20 06:17:48] [このレビューのURL]
9点 アオイホノオ
本当は点をつけたくないんです。
ある人にとっては全く意味のわからない漫画だろうし、またある人にとってはこれ以上ないほどに胸を抉る漫画だろうし。
「やればわかる! やらなければ一生わからん!」
もうちょっと年をとったホノオモユルがこんなこと言ってました。何かちょっと違う気もしますけど。
若くて、馬鹿で、無駄に熱くて、自分の身の程も知らずに才能があると勘違いしてみたり、本物の才能に打ちのめされたり、打ちのめされたことを認めたくなくて虚勢を張ってみたり、身近な異性の気まぐれを好意と勘違いしてみたり、無駄なことをして一日を潰し、何者かになれるはずだと根拠のない自信を持ったり、失ったり、どうしようもなくグダグダで、不完全燃焼で、だけど確かに生きていたあの日々。
胸の奥がしょっぱくなること請け合いです。
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[投稿:2010-07-01 23:45:49] [修正:2010-07-01 23:45:49] [このレビューのURL]
6点 セルフ
それまではただただ、受け入れるだけのものだった。
相手が望むから、する。
相手が気持ちいいと言ってくれるから、する。
見事なまでに、陽一のその行為には“自分”がいない。
『俺は、彼女たちの性器のドレイだ』
だが、自らの意志で自らを握った時、陽一は変わった。
相手に望まれるからするのではなく、相手が気持ちいいからするのでもない。
自分がそう望むから、自分が気持ちいいから、する。
そこには自分しかいない。自分以外には何もない。
これは、遥か昔に失ってしまった“自分”を取り戻すべく戦い続ける一人の男の物語である――!
よし、オナニーして寝よう。
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[投稿:2010-07-01 23:12:56] [修正:2010-07-01 23:14:17] [このレビューのURL]
8点 H2
この世の中には、何かを手に入れるため、ベースの上に置かれた誰かの手を躊躇なく踏める人間がいる。あまりに必死すぎて、手を踏み付けたことにすら気付かない人間もいるし、踏めば勝てることが分かっているのに、踏まれる方の身になってしまって結局踏めず逆に自分の方が怪我をしてしまう間抜けな人間だっている。
この漫画の主人公・国見比呂は、そんな間抜けな人間の一人だ。
「なんでもなかったんです。よけとけば」
でも、踏んじゃった方が得かな、なんて思っちゃったもんだから。
そこで踏める人間の代表格が、栄京の広田だ。彼は欲しい物を手に入れるため何かを犠牲にすることを躊躇しない。それはある種の強さだ。しかし、そうやって今まで手に入れてきたものが、本当に欲しかったものとは少し違ってしまっていたことに気付き、そしてもうそれを手に入れることが出来ないと知った時、彼は少し変わる。
それは本当に、そこまでして手に入れなければならないものなのか。
ガムシャラ過ぎて踏んでしまったことにも気付かない人間、それが橘英雄だ。彼のガムシャラさは、色々な人の思いを打ち砕いてきた。白山エンジェルスを追い出された木根、日本一の“三番”にならざるを得なかった中井、一年半後にやってきた思春期の現実に泣いた誰か。誰かの手を踏みにじったこと、事実としては知っている。しかし、英雄は振り返らない。奪われないために、勝ち続けるために、ただただひたすらにバットを振り続ける。これも強さ。
じゃあ、踏めば勝てることを分かっていても結局踏めない彼は。
甲子園、比呂と英雄の最後の一球、100%ストレートしかない英雄に対して高速スライダーを投げれば勝てることは分かりきっていた。事実、比呂は野田に対してスライダーのサインを出している。しかし、結局最後の最後で彼は英雄に対してスライダーを投げることが出来なかった。これは一年前に月形の手を踏めなかった一瞬の再現であり、勝負後の比呂の涙が勝利の涙でないことの証左だ。
放たれた矢がけして戻らないように、一年半ずれてしまった比呂の思春期は戻らない。ひかりが比呂に対して心から素直に「頑張れ、負けるな」と言えた時間は過ぎ去ってしまってもう二度と戻らない。比呂が英雄を三振に取ったとしても、同じだ。
それはただのボールゲームなのだから。
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[投稿:2010-07-01 03:49:52] [修正:2010-07-01 03:51:16] [このレビューのURL]
6点 史上最強の弟子 ケンイチ
燃え、萌え、エロ、燃え、エロ、萌え、と現代の少年漫画の王道を突っ走る格闘漫画。
おっぱい星人にはたまらない女性陣ですが、貧乳の人の出番が少ないのが残念といえば残念。そう残念でもないけど。乳首券の使い過ぎには注意!
ケンイチが強くなっていくことにカタルシスを得られる、難しいことは考えずに楽しめる漫画です。燃エロ!
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[投稿:2010-06-30 02:10:05] [修正:2010-06-30 02:10:05] [このレビューのURL]
5点 俺たちのフィールド
まだ日本サッカー界にとってW杯に行くことが“夢”だった時代のサッカー漫画。
正直言って試合の描写には苦笑が漏れてしまうような展開もなくはないし、話の展開が読めすぎて退屈だという難点もあるにはあるが、あの時代のW杯予選の空気というか、緊迫感の描写には目を見張るものがある。
予選真っ最中だというのにチームの雰囲気は最悪で、伊武剣輔(当時の三浦和義のような存在?)が言い放った「負けっちまうぜ」という言葉に和也がブチ切れ、一人になった伊武が呆然とするシーンは記憶に残っている。
ともかく、W杯予選編の緊迫感は白眉なので、興味のある人はその部分だけでも読んでおいて損はないと思う。
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[投稿:2010-06-30 01:59:16] [修正:2010-06-30 01:59:16] [このレビューのURL]
8点 銀と金
ギャンブルあり、名言ありの福本漫画の真骨頂。
ただし、一つ一つの勝負の結末にある爽快感は、他の福本漫画と比べると少ないかもしれない。そこがカイジ、アカギ、天なんかと比べた時に最も異なる点で、この荒唐無稽な漫画にある種のリアリティを与えている要因でもあるのだけれど。
終盤、主人公の一人である森田鉄雄は神威編を最後に引退をしてしまう。おぞましい人間への嫌悪感や、染まってしまうことへの恐れ。
それは勝ち続けること、勝ちを積もらせ続けることに対して作者が抱いた疑念の表れのように思える。
ラストシーンで銀王こと平井銀二はこんな意味のことを言っている。
敗れは近い……おそらく次か、その次か……
しかし、勝ち逃げだけは許されない……それだけはしちゃいけない。
ならば、勝ち続ける……灰になるまで……
もしも自分が志半ばで倒れた時、自分の代わりに目指した道を行き果たしてくれる。それほどの存在を失った銀二はまるで抜け殻のように見える。亡霊となって勝ち続ける銀二にはただ勝ちが積もり続ける虚無が残るばかりである。
あまり評判の良くないラストだが、個人的には味わい深いラストだった思う。
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[投稿:2010-06-30 01:33:14] [修正:2010-06-30 01:36:06] [このレビューのURL]