あらすじ
極限まで科学技術が発展した人類の引き起こした「火の7日間」と呼ばれる最終戦争により、文明が滅びた後の遠未来世界が舞台となる。人々は発掘される戦争以前のオーバーテクノロジーを利用しつつも、基本的には中世的な生活を送っている。腐海と呼ばれる、巨大な菌類・苔類・シダ類からなる森、そこに棲む蟲(むし)と呼ばれる巨大節足動物群。人々はそれらに脅え、あるいは畏れ敬いながら生きている。
主人公ナウシカは、腐海のほとりにある、辺境の小国「風の谷」の族長の娘である。本作品では腐海や蟲をも愛する心優しいナウシカが様々な人々と出会い、艱難辛苦を重ねて成長し、自らと世界の運命、そして世界の真実の姿に向き合い、受け入れていこうとする姿が描かれていく。
(wikipediaより)
風の谷のナウシカのレビュー
9点 オカシューさん
店長(ハヤオ)はいつも果物を飲みやすい100%アニメジュースにして提供してくれる。
ところがこの果実はそのままかぶりついてもイイらしい。
マンガ版風の谷のナウシカ。
皮(グロ)や茎(テーマ性)などで咀嚼しにくいかもしれないが大人になればそんな苦みも逆に味わい楽しめる。
もはや説明不要の宮崎アニメの原作漫画。アニメ版は「ナウシカがすりきれちゃう!」というくらい再放送されている。ただし世界観、登場人物は同じでもマンガ版の物語は深く掘り下げられ彩られている。
それとアニメお子ちゃま論もあるようだが私としては読んだのち、さらにアニメの評価が上がった。大人から子供まで幅広い視聴者層にあわせ主要エピソードを再構成したアニメ版の手際はマンガ版を読んで初めて分かる。
ジブリブランドの確立に多大な貢献をした作品である事に間違いはない。
しかし良い事ばかりではなく逆にそれが足かせになっている部分も。
アニメが有名で高評価もされたがゆえにマンガ版が広まりにくかったのでは、と察するのだ。(アニメ観たからもういいや的な)
マンガ版は別モノのデキ!アニメの先があるのに!という心の叫びは漫画を読んだ多くの方が賛同してくれるのではないだろうか。
よってこのマンガをレビューし広める事はとても意義があるように感じられる。
目も眩むばかりの素晴らしい設定や環境問題等も織り交ぜた安易に答えの出せない善悪のテーマなどの美点は多くの人が語っている通りだが私がもっとも評価したいのは「キャラ立ち」。
キャラクターが立っている。脇を固める面々ももちろんだがナウシカがすんごい。どう説明したらよいかこの魅力ゲージ。
この畳みかけるような肉厚の物語の流れの中で生き生きと輝く主人公。
それは「物語の中のナウシカ」でなく確かに「ナウシカの物語」なのである。
ケチャは言う。「姫さまの事になるとみんな夢中なんだから」。
それもそのはず巻が進むごとにナウシカファンは増えつづけテトや風の谷メンバーはもちろんクシャナ、クロトワ、チャルカ、チクク、皇弟、ムシ使いから果てはおいおい巨神兵まで・・・
ナウシカ好きすぎ。
これはナウシカを好きになる物語と言ってよいくらいだ。
もちろん俺だって読者だって。
「わしらはみんな姫さまに恋しておるのです」
ただ良い作品であるがわずかにあるマイナス点も指摘しておきたい。
それはアニメと違い実際の動きや音が無い事である。
「そんな事言ったら全ての漫画がそうだろ!」と言われるかもしれないがここまで浸透している宮崎アニメの漫画版だからこそこの悔しさはひとしおなのである。
(アニメ版での)ユパさまの跳躍シーンとか鳥肌モノだったし、大群オームの足の動きかたも(別の意味で)鳥肌モノだった。
だものでマンガを読みながら私の頭の中はアニメの動きの脳内再生が行われている。
安田成美の歌声がリフレインする程に・・・。
宮崎駿にアニメーション監督とか漫画家とか肩書きはいらない。
これがクリエーターの仕事。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-06-29 01:01:36] [修正:2010-06-29 02:01:11] [このレビューのURL]
10点 臼井健士さん
「映画版」が触り程度でしかなかったということを教えてくれる、映画よりも遥かに重いテーマを孕んだ「ナウシカの漫画版」。
恐るべきまでの「世界観」の構築に驚嘆の声が止まる事を知らぬだろう。
「ユーラシア大陸」で全ての事件が展開されていたことを初めて知った!
「ナウシカ」を知る人間は大きく分けて3タイプに分かれると思う。
すなわち、
・「映画版」しか観ていない。
・「漫画」しか観ていない。
・「映画」も「漫画」も観ている。
最も多いのが「映画のみ」で、最も少ないのが「漫画のみ」であろうことは容易に想像が付く。
アニメ映画の世界観が「やや分かりにくい」なとど思っていたが、漫画の複雑さと比較すれば映画は「全くもって一般向き」「間口の広い」作品であることが理解できた。
アニメと漫画の大きな違いは、
ナウシカとクシャナ・クロトアとの関係だろう。
アニメではトルメキア軍がナウシカの父を殺害してしまったことになっている(漫画では「病死」)ので、ナウシカが彼らに憎しみにも似た感情を抱いてしまい、本心からの相互理解が不可能な状況に追い込まれてしまったが、漫画では物語の大半で行動を共にするため特にクシャナ・クロトア側からの「ナウシカへの歩み寄り」が顕著。
両者共にナウシカから受ける影響で当初の「侵略者的な行動」は薄まり、苦難を共に乗り切る過程で「戦友」にも似た感情が生まれていくこととなる。
「腐海」「瘴気」「蟲」「王蟲(オーム)」「巨神兵」はナウシカの世界観を象徴する5大キーワードだと思う。
「滅亡」と「再生」。
「生」と「死」。
「光」と「闇」。
「進化」と「退廃」。
繰り返して示される背反する「2つの言葉の数々」が、浮かび挙げる「人間の業」。
そしてそれら全てを飲み込む形で存在する世界「地球」が、下す「審判の行方」。
「神によって与えられる未来」ではなく、「自らの手によって選び取る未来」を選んだナウシカたちの行く手に広がるのは「殺戮の荒野」か?それとも「豊穣なる恵の大地」か?
「審判」は未だ下されぬのだ。
とにかく1巻・1巻のボリュームが有り過ぎ。
並みの単行本の倍の時間が読み終えるのに掛かる。
不満は「恋愛的な要素」は全くというほど無かったことか。
アスベルともほとんど「別行動」となるのと、事態が急展開するため「それどころではなく」、ロミオとジュリエットにすらならない。
ま、作品の「本来のテーマ」とは外れた部分なので、枝葉のことではあるが。
最強剣士「ユパ」の死も意外だった。しかも部族同士の諍いの巻き沿いだしなあ・・・惜しい人物を失ってしまった・・・。
「漫画版」を読んだ後では「アニメ版」は「ナウシカアイドル化」のための「プロモーション作品」か?という邪推さえ浮かんでしまう問題作。
衝撃に全身を貫かれた証拠として「10点」評を献上させていただきます。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-06-20 11:05:16] [修正:2010-06-20 11:05:16] [このレビューのURL]
9点 クロモフさん
まず、アニメはホントに序の口だったのだな、と。
こんなに壮大な物語だとは夢にも思いませんでした。
正直に言います。最後の方は僕の脳のキャパを超えてしまい、ショートしてしまいました。
そのくらい壮大なんです。
女性がたくましいことこの上ないです。ナウシカ、クシャナ、素敵です。
宮崎駿さん、これまたアニメでやって頂けませんか?必ず観ますよ!
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-03-12 03:32:22] [修正:2010-03-12 04:46:53] [このレビューのURL]
8点 igami3さん
漫画の筆者は、読者に対して何らかのメッセージを
伝えようとしている場合が多いが
この作品からはメッセージ性が非常に強く感じられ
駿さんの表現力には驚かされた
またストーリー構成も非常に上手く、画力も十分なので
漫画としては完成された作品の1つだと思う
しかし、メッセージ性が強すぎるのが逆に悪い点でもあった
これは好き嫌いではあると思うが…
駿さんは意見をしっかり持ちすぎている方で
この作品から読み取れるものは「こういう考え方・生き方もあるんだよ」
というささやかなメッセージではなく「こうあるべきだ!!」といった
駿さんの主張の押し付けのように感じられた
クライマックスのナウシカの力強い発言からは特に
また、エピローグで筆者自身も書いているが
語り足りないと思う部分も多く、疑問が残ることは多々あった
これが相まって、筆者の、悪く言えば“自己満足”に拍車がかかり
丁寧に作り上げられた世界観を100%活かしきれてないように思える
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-02-25 12:24:38] [修正:2010-02-25 12:26:23] [このレビューのURL]
10点 もも治良さん
10点―漫画というメディアを超え魂を揺るがし、人生に影響する作品。
このお題目に相応しい作品であるかと愚考いたします。
( 省略 )
神聖なる巨大昆虫さまは私に触手のあるべき姿を示してくださいました(泣)私はすべてを間違えていたのです。・・・この感動を胸にこのまま正常の地に逝きたいと思います。
何を言っているのか解らない人は永遠に解らないままでいて下さい、知らない方がいいことは知らない方が良いのです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-02-22 15:06:19] [修正:2010-05-29 12:30:21] [このレビューのURL]
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