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7.33点(レビュー数:53人)

作者冬目景

巻数7巻 (完結)

連載誌月刊コミックバーズ:1996年~ / 幻冬社

更新時刻 2011-01-12 13:01:03

あらすじ 羊の群れに紛れた狼はさみしい牙で己の身を裂く・・・

高城一砂は幼い頃に母を亡くし、父親の元を離れ、父の友人である江田夫妻の元でごく普通の生活を送っていた。しかしある日、何かに導かれるようにかつて両親と暮らしていた家を訪れ、実の姉である高城千砂と再会する。

そこで一砂は父の死を告げられ、高城家の「病」の事を聞かされる。 その病とは吸血鬼のように発作的に他人の血が欲しくなり、理性をなくして他人を襲うという奇病であり、千砂自身もその病に冒されていた。この病は一砂にも発病する可能性があるが、男子は発病する確率が低い為、志砂により江田夫妻のもとに預けられていたのだという。

だが、既に一砂は発病していることを感じていた。一砂は再び千砂のもとに訪れ、そのことを打ち明ける。そんな一砂に千砂は発作止めの薬を渡す。しかし、一砂は発作を起こしても発作止めの薬を飲もうとしない。そんな一砂に千砂は自らの手首を切り血を与えようとする。

同じ病に苦しみ、自殺した父の面影を追い求め他人を遠ざけて生きる千砂と、大切な人たちを守るため他人を遠ざけようとする一砂。 やがて2人は寄り添うように2人暮らしを始める。

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羊のうたのレビュー

点数別:
21件~ 25件を表示/全53 件

7点 十歩神拳さん

冬目景の代名詞のような作品でしょうか。
世捨て人っぽい冬目イズムが全開で、絵柄も合わさりとても儚くて繊細な世界観や雰囲気を構築しています。

終盤には作者の心が若干柔らかくなったらしく、それが多少作品にも反映されていますが、それでも今の冬目先生にはこれほどまでに辛い物語を描くことはできないのではないでしょうか。

ただ、物語を核心に近づけるために必要だったのかもしれませんが、後半に登場したお父さんゆかりの女性は作品のテンポを少し乱したように感じました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-13 11:25:29] [修正:2011-04-13 11:25:29] [このレビューのURL]

6点 ジブリ好き!さん

さて、同人でも有名だった冬目先生の代表作である今作ですが、この閉鎖的で叙情的な雰囲気をどこまでプラス材料として感じられるかで評価が決まってしまいそうですよね。
あまりにも完成された雰囲気とそれに相まった画。
これを携えて今作では閉鎖的で破滅的な物語を描いていますが、正直自分には「独りよがりな雰囲気漫画」といった印象をうけました。

こういう独りよがりで発展性のないストーリーは同人で売れた作家さんに多くみられる傾向だと思いますが、やはり近年の同人の力というのは大きいようで、そこで活躍すれば熱狂的なファンを多く引っさげてプロデビューできます。
そこでは「独りよがり」は短所などではなく作者の独自性・世界観を表す長所なわけで、「独りよがり」と言うのは決して悪い意味ではなく「マニアックな」という意味に変わります。
それ故に万人受けしなくなりそうですが、コアなファンから徐々に普及し話題となり、今作のように映画化され一般にも広く受け入れられるわけです。
(冬目さんに限らず、羽海野先生やおがき先生、高河先生などもそう)

もはや文学といってもよいレベルの作品。
あまりに文学的すぎてむしろ小説でやれば良かったのにとも思いますが、冬目さんの画と雰囲気が「和」の心地を存分に発揮しているので一概にそうは言えないかも。
ただ、漫画として描くには起伏がなさすぎる気がします。
若干のミステリ調が読むのを助けてくれましたが、この淡々とした発展性のない緩やかな時間の流れにいささかの飽きを感じてしまう人もいるでしょう。

「羊の群れに紛れた狼はさみしい牙で己の身を裂く」
このプロローグの解釈の仕方も面白いです。
一見して一砂と千砂が狼に、羊の群れとは八重樫や水無瀬といった高城をとりまく人たちのように思えます。吸血鬼にならないため、周囲から遠ざかるけど、血に飢えて苦しむ。まさにプロローグ通りの狼ですが、するとタイトルの「羊のうた」はそんな二人に、高城に近づきたくても近付けない、八重樫や水無瀬、江田や風見といった人たちの嘆きを表すことになります。
あるいは7巻で千砂が「わたし達は牙を持って生まれた羊なのよ」と言っているように、羊とは一砂と千砂で、狼こそ八重樫らなのかもしれません。
彼らの優しさが、二人を傷つけているのだから。そしてまた、彼ら自身も傷ついています。

主役の二人か、脇役のキャラ達か、誰に感情移入できるかで、「羊のうた」の意味は変わってくるでしょう。
タイトルの由来である中原中也の「山羊の歌」なども参考にしてみると面白いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-04 02:27:53] [修正:2010-11-15 03:12:40] [このレビューのURL]

7点 ショーンさん

冬目作品の代表作。作品の雰囲気がダークでストーリーもダークである。
後半につれて、鬱になってくる。ラストは好き嫌いが分かれる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-30 07:17:59] [修正:2010-04-05 13:51:03] [このレビューのURL]

8点 フクポルさん

<所持歴:全巻>

限りなく灰色な世界。
キャラも世界観も絵のタッチも、とにかく不思議な魅力がある。
いや、魔力といった方がエエかも。
ん〜・・・カルト的人気があるのも分かる気がする。

ハマったかと言われたら、正直良く分からない。
ただ、コレを読んでから冬目作品を次々と集め出し、
気が付けば本棚の一角が冬目スペースに。

・・・なんだ、やっぱハマってるやんw
ということで、冬目景を教えてくれた記念すべき作品なので
それも考慮して8点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-03-25 16:54:23] [修正:2010-02-07 21:29:09] [このレビューのURL]

8点 ITSUKIさん

ストーリーがはじめから破滅に向かう話であり、全体的に暗い作風です。
また、舞台の雰囲気が全体的に「和」な感じのする珍しい作品かもしれません。
冬目景作品を読むのははじめてで、はじめはその粗っぽい線に抵抗があったのですが、じょじょに慣れていきました。そして次第にこの画風と作品の雰囲気が非常にマッチしている事に気付きました。
最後の終わり方は一応少しの救いがある形で迎えられ、自分としては納得できました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-17 02:11:50] [修正:2009-10-17 02:11:50] [このレビューのURL]

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