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7.36点(レビュー数:22人)

作者山田玲司

巻数15巻 (完結)

連載誌週刊ヤングサンデー:1991年~ / 小学館

更新時刻 2011-05-24 21:13:05

あらすじ モテない生物オタク少年だった住田秋が、一目惚れしたユイの為に一念発起、イケメンへと変貌を遂げる。
(ただし中身はオタクのまま)

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この漫画のレビュー

8点 右から左へ。さん

[ネタバレあり]


古本屋で全巻で500円という超破格の値段で手に入れたので、あまり期待はしていなかった。だが、思いのほかお値打ち品であった。

私はこの漫画を主人公である秋の成長の物語として読んだ。

作品のほぼ全ての場面で三角関係であり、モテモテで美形、恋愛テクも抜群のコテコテの主人公は、何と実は童貞のカメオタクだった、というわけわからん設定に戸惑いつつも読み進めた。主人公の整形でもしたのかというほどの変わりっぷりに、まずは突っ込まずに読み進もう。彼は1年半の修行で変わったのだ。

序盤のアリサとユイの間で主人公が揺れ動くときは、確かに他のレビュアーの述べるように普通の恋愛漫画っぽい。普通にかっこつけたがりで、弱みを見せず、完全人間(何だそりゃ)な秋。序盤はヒデを代表とする脇役のナイスなキャラもあって、話が面白い方向に進んでいく。

中盤、モトミと秋がユイをめぐって死闘を繰り広げる。PK勝負あたりから終盤への布石が敷かれ始めたと思う。ヘルスケがちょっと無茶な設定だったとは思ったが。とりあえず、ここまでは普通の恋愛漫画として読んでいた。

終盤、秋が水族館でバイトを始めた頃から本格的に漫画の路線変更というか山田玲司の本当に訴えたいものが出てきた。10巻ぐらいでまとまった作品になっていたとしたら、趣の異なる、単なる普通の恋愛漫画で終わっていたのではないか。作者の山田玲司は15巻の巻末で、この漫画の真のテーマは「生きてるのってまんざらでもないよ」であると語っている。上記のテーマに沿いつつ、この漫画を、恋愛やその他諸々の事案に対する中での秋の成長の物語としてとらえるならば、この展開はアリではないだろうか。ラストもすっきりとまとまっていたし、そんなに悪い展開でもないように思われた。彼こそ真の男として成長した。応援したくなる主人公像である。最後までBバージンを貫いた秋は格好よかった。自分のすべてをさらけ出して、相手といいところだけでなく、苦しいこと、いやなこともわかちあう。そういった恋愛の理想像が、説教臭くない程度に作者から語りかけられた気持ちになった。

全体的に見て面白い漫画だと思う。序盤、中盤、終盤とそれぞれ趣を変えつつも、根幹のテーマはぶれていない。山田玲司の訴えたかったものは、上記のテーマとともに、恋愛を通じた秋の人間的な成長に尽きると思う。人によっては、生活に影響が出てしまうほど読みふけってしまう漫画。8点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-26 22:07:16] [修正:2008-10-26 22:07:16]

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