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7.83点(レビュー数:6人)

作者山本直樹

原作一色伸幸

巻数4巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:1992年~ / 小学館

更新時刻 2011-01-12 13:19:21

あらすじ 高橋は日本の一流建設会社に勤めるサラリーマン。ある日ODAによる建設プロジェクトの仕事で、西南アジアの発展途上国・タルキスタン(架空の国)に出張を命じられる。しかし現地でパスポートを紛失し、なかなか日本に帰れずやきもきしてる間に内戦が始まり……。
 

備考 メディアミックス作品として漫画版と映画版が展開された。
映画版は原作者の一色伸幸が脚本を手掛けており、1993年に上映された。
 

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この漫画のレビュー

7点 とろっちさん

バブルの残り香をまだまだ感じる時代の話。
「アジアの嫌われ者」の日本人がいかにして嫌われるに至ったかを鮮やかに描いた作品、
と言ったら自虐的すぎですかね。

今でこそ、政治経済的にもスポーツ・文化的にも「日本はアジアの一員だぜ」みたいな空気が
当たり前ですが、この当時は「欧米に追いつけ追い越せ仲間に入れて」の時代。
アジアの人々を見下す日本人。
現地での開発支援や経済発展援助など知ったこっちゃなく、自分たちが儲かることだけ考える日本人。
「ニッポンが援助したカネを、俺たちニッポンのカイシャが持って帰る。 ODAってのはそういうことだ」

かと思いきや、純粋培養の日本人は現地の人からすれば良いカモだったりして、
黄色いサイフなんて呼ばれる始末。
日本人は日本人同士で、現地滞在ビジネスマンとしてお互いの腹の探り合いにご執心。
漫画として誇張に満ちた作品世界ではあるのでしょうけど、生き馬の目を抜くような掛け合いが
読んでいて何だか妙に気持ち良かったりします。

まあやっぱりこの作品の見せ場は、他の皆様が書いてらっしゃるように
企業戦士としてのサラリーマン魂全開の場面ですね。
本当にああやってメイドインジャパンを少しずつ世界に広めていったんだなあ。 すげーな日本人。
技巧的な終わり方も秀逸。 情緒溢れるシーンにピリ辛のスパイスを振り掛けたような描写なんて、
この作者以外になかなかできる人いないと思いますよ。
どうも映画版と違って漫画版は山本直樹オリジナルの部分が多分に含まれているようで、
シニカルな視点とか、一捻りも二捻りも加えた展開とか、実に良い味出しています。

作者の他作品を読むと、良い意味で一言で表せないようなドロドロした読後感を抱かされるのですが、
この作品は(原作者が他に居るというのもあるのでしょうが)ストレートに面白いと思えました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-16 22:22:46] [修正:2011-03-16 22:23:42]

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