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7.97点(レビュー数:255人)

作者冨樫義博

巻数36巻 (連載中)

連載誌週刊少年ジャンプ:1998年~ / 集英社

更新時刻 2012-10-08 12:25:22

あらすじ ゴンは、死んだと聞かされていた親父が、ハンターとして生きていることを知り、自分もハンターになることを決意。試験を通じて知り合った友人キルアと共に父親を探す旅に出るが、行く先々には様々な冒険が待ち構えていた。

備考 元々は休載こそ多かったが通常連載という形だったが、途中で1年以上休載。その後、不定期連載扱い(何回か掲載した後長期休載と言う形)となった。

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この漫画のレビュー

10点 FSSさん

[ネタバレあり]

作者の人間性や創作姿勢と作品の質は無関係という最典型例。

否定的な意見のほとんどは雑な仕事や休載の多さに対してのようだが、勘違いしてはいけないのは、「どんなに丁寧に描いて締め切りを遵守しようとも、作品として面白くなければ漫画や小説といったエンタメの世界では無価値」という事だ。

逆に言えば、下書きレベルでも多くの人間に「早く次が読みたい!」と思わせるほどの作品を描ければそれで良いのだ(画については単行本ではちゃんと加筆・修正されているし、現在のように定期的に休載を挟んでなら続けられるなら、それで何も問題は無いはず。ファンにとっても作家にとっても、もちろん出版社にとっても特にデメリットは無い。無理に連載を強要して駄作を描かれたり、描くこと自体に嫌気がさして連載そのものを止められるよりははるかにマシだろう。そもそも才能のある作家を潰すような殺人的連載ペースや、売れている間は作品の質を落としてでも引き伸ばしを強制する日本の漫画業界の体質にこそ問題がある)。何ならハンター休載中の十週間は有望な新人さんの読み切り作品や短編連載の発表の場として使っても良いだろう。

閑話休題。

ある意味でバトル漫画の最終進化形であり、もはやこの手の「能力バトル漫画」はジョジョと、このハンターが終わらせてしまったと言っても過言ではない(今後、新人漫画家が能力バトルをモチーフとした作品を出すにしても、よほど斬新な設定に推敲を重ねなければ、何をやっても「スタンドや念能力のパクり」と言われてしまうだろう。同時期の「ナルト」ですら「念能力の系統分け」をパクっているし、それでいてジョジョやハンターほど能力の相性や駆け引きを戦いに持ち込めていない)。

多分これ以上設定や駆け引きを緻密にしたら理屈っぽくなり過ぎて、良い意味での単純さを損なうだろうから、「バトルの爽快感」と「駆け引きの妙味」のバランスを考えたらこのくらいが漫画としてベストだろう。

内容的には色々と賛否両論あるだろうけど、バトルシーンだけでなく、特殊な環境で育ったキルアや復讐の事しか頭に無かったクラピカが、ゴンとの出会いで自我や友情に目覚めていく過程など、登場人物の丁寧な心理描写は下手な小説や映画など足元にも及ばないほどよく描けている。

他にもハンター試験や幻影旅団との戦い、ゲーム世界が舞台とされるG.I編などなど、変化に富んだエピソードが多く飽きさせない。特に旅団編はまさに神展開。相手が強すぎるから直接対決が少ない分、緻密な心理戦による駆け引きが多く、そのどれもが緊張感があり、しかも無理が無い。気の抜けない決死の尾行、アジトでのゴンの激しくも真っ直ぐな性格を表す腕相撲、暗闇のホテルでの柔軟な対応、そしてパクノダの死とゴンたちの救出によって復讐から開放されたクラピカ…。よくこんな展開を考えられると思う。

登場回数が少なくても印象に残る魅力的なキャラも多い。特に旅団のメンバーについては「外伝」や「過去編」として別に物語が読みたいほど。

とにかく下書きだろうが、長期休載しようが、最後まで続けて欲しいと思えるほどの漫画を描ける才能を素直に称賛したい。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2008-05-31 23:18:46] [修正:2008-05-31 23:18:46]

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