JIN -仁-のレビュー
8点 朔太さん
江戸時代にタイムスリップした現代医師南方仁を中心に
据えた幕末と明治維新の歴史漫画あるいは医療漫画ということです。
タイムスリップということでSFかと思いきや、これは
「あとがき」で作者自身の説明によると、
現代医学を江戸時代に持ち込むための方便だったようで
意外でした。
本当に描きたかったのは、梅毒他感染症に苦しむ当時の
遊女や庶民の苦しみだったようで、漫画の中だけでも
彼らの無念を晴らせないかと考えたということです。
読者の想像もつかないところで創作意欲というものが
生まれるようで驚きました。
作者の意図とは別に、医療漫画というより明治維新を
背景にした当時を生きた人々の活力、清々しさの方が
作品の魅力になりました。
登場人物皆が凛としており、主人公南方仁も現代へ
戻ることよりも江戸時代に生き、積極的な歴史への
参画を始める動機が生まれます。
当時の人々の生き方が関与しているように見えます。
SFとしての締め方には納得できるものではありませんが、
それは本作品では些事なので、とやかく言っては
いけないようです。
歴史を操って人物の清々しさで勝負する点は、
どうしても「龍」との類似性を感じてしまいますが、
村上もとかの真骨頂とも言えますので良しとします。
記憶に残る作品です。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2018-01-02 14:33:44] [修正:2018-01-02 14:33:44] [このレビューのURL]
9点 久さん
漫画、ドラマ合わせとても感動させられた作品です。
元から幕末に興味があったのもありますが、
タイムトリップした主人公を羨ましいと思う程ワクワクしました。
きっと細かい所まで丁寧に描き、江戸の空気を丁寧に演出してくれているからかな。
登場人物も歴史的に有名な人だけでなく一人一人丁寧な心理描写がなされており「ああ皆生きているんだな」と思える。
迷いや悲しさなども一緒になって楽しめたし、
皆それぞれの目標に向け一途に頑張っていて、本当に応援したくなる。
キャラクターも本当に魅力的で、、緒方洪庵先生や、火消しの新門辰五郎、坂本龍馬、野風など心に残るキャラばかり。
皆心意気があり、またそれがしっかり描写されています。
そういえば沖田も、
猫の車椅子がバレて恥ずかしがってるシーンを見て一気に惹きつけられました。
ああいう何考えてるか分からないキャラにも
こういった親近感を覚える描写を入れてくれて良かったです。
そして特に、龍馬が出てくる所は読むのが楽しくて楽しくて…
また自分との考え方、行動力、器の違いに気づかされた。
自分もちょっと頑張ってみたいなと思わされる。
良いキャラが居るとそれだけで作品が面白くなるという事を改めて思い知りました。
医療がメインでしかもSF要素の入った漫画ではありますが、
しっかりとした人情が描かれたヒューマンドラマです。
読んで損は無いと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2014-12-03 21:01:48] [修正:2014-12-03 21:01:48] [このレビューのURL]
8点 gundam22vさん
タイムスリップ幕末医療漫画。
歴史漫画としての側面は幕末は他の漫画でも扱っているわけですが、この漫画の素晴らしさは偉人中心にならずに当時の風俗を医療の観点から詳しく解説しているところですね。ここはこの漫画だけってほどに勉強になります。あと手術シーンと監修が複数いる解説がこの漫画は分かり易く、見やすいです(今まで見た医療漫画では一番)。手術シーンが連発ですが当時の人々が苦しんだバリエーション豊かな題材をとりあげているところにも評価点かと。ダラダラと行かずに全20巻という適度な長さで幕末をちゃんと描き切って話を畳んだところも良いですね。
欠点は結末含めてSF漫画としてはかなり強引だったと思います。タイムスリップ原理は謎ですし、ラストの主人公についても解釈が別れるのではというくらい難解です。あと坂本龍馬が主人公の他漫画に出てくる良くいる悪友ポジで、「おーい竜馬」を読んでしまっているだけに魅力ないなあと思ってしまいました。総じて話が面白く読んでタメになるレベルの高い漫画だったのは間違いないです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2014-08-20 07:02:48] [修正:2014-08-23 05:51:03] [このレビューのURL]
9点 かずーさん
素直に読んで素晴らしい作品。
テレビドラマを見ていないので比較は出来ないが、漫画として評価すると
画力・ストーリーともに秀逸。タイムスリップというSFの枠に収まらず、
歴史(幕末)・医療という専門分野に特化した内容となっている。
幕末好きなら間違いなくハマると思います。
私はかなりの幕末フリークですが、素直に面白いと感じました。
実在の人物の考証もキチンとしてあり、その 「史実」 とフィクションを
上手く融合させている手腕に感服。
沖田総司を美男に描かなかったところや、西郷さんの非情さ、龍馬の女好きを
表現したところなんかは、幕末好きとして好感が持てます。
医療の部分は詳しくないので分かりませんが、かなり専門的な部分まで追求して
描いていますので、こちらも歴史と同じく深く考証しているように感じます。
ヒューマンドラマとしての心理描写も見事で非常に深い作品となっています。
減点要因は、仁の頭の腫瘍と龍馬のリンク?
なんか必要のない部分だと思ったのは私だけかな?
そんなに龍馬にこだわらなくてもよかったんじゃあないかな。
もしかして作者は龍馬ファンなのでしょうか。
しかし広げた風呂敷をキッチリと回収し、最近ありがちな不要な引き延ばしを
断固拒否して、当初のストーリー完結に拘った作者に拍手を送りたい。
どうもテレビドラマ化された漫画は点数が低くなる傾向にあるようですが、
冷静にみて、とてもオススメできる良作だと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2012-04-19 11:47:01] [修正:2012-04-19 11:54:06] [このレビューのURL]
6点 sin00さん
タイムストリップの設定がツボ.連載読みだとテンポが悪いがコミック読みだとそうでもない.実在の人物や史実との融合のさじ加減でどうにでも内容が変わる.
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2012-02-18 18:10:33] [修正:2012-02-18 18:10:33] [このレビューのURL]
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