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8点(レビュー数:2人)

作者水木しげる

巻数1巻 (完結)

連載誌漫画サンデー:1971年~ / 実業之日本社

更新時刻 2010-10-21 22:06:18

あらすじ 20世紀の怪人物の一人、アドルフ・ヒトラーの生涯を水木しげるが劇画化。

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劇画ヒットラーのレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

9点 臼井健士さん

「ゲゲゲの鬼太郎」のヒットで知られる水木先生が描く、人間「アドルフ・ヒットラー」伝。

ヒトラーの伝記は・・・当然の如くというか少年・少女向きの本では有り得ない。
そもそも「伝記」は社会や歴史に恩恵をもたらした人間の偉業を書き綴ったものなので、子供に読ませるに正しい書となるはずもないのだから当然か。

ただ現在の日本だけでなく、世界中で「ヒトラー」に対して書かれた書物の数は膨大なものに及ぶそうで、同時代のイタリアの独裁者で、ヒトラーと同盟を結んでいたイタリアの「ムソリーニ」などと比較しても格段に多い。
そのことから考えても、この「ひとりの独裁者の生涯」が良いか悪いかは別としても多くの人間の興味を引き付けずにはいられないものであることは純然たる事実だろう。

「成績の悪い劣等生」が自らの存在を認めない当時の社会に対して鬱屈とした思いを抱え、やがてその才能を開花させる「場」を社会から初めて与えられたとき、それは「時代」という推進力を得て破壊的なまでの暴走を引き起こすに至った!彼は自らの暴走が生み出すことの結果について一度でも真剣に考えたことがあったのだろうか?それがいかに多くの犠牲を強いる悲惨な出来事であるかを!それが自らをも滅ぼす「諸刃の剣」であったことを!

「妖怪もの」ではない水木先生の漫画・・・・ってどんなものか?・・・と、想像が出来ない方も多いと思われるが、素のままの絵柄がヒトラーを始めとするナチス幹部の人間をディフォルメして、意外な程にマッチしているのだ。これは人間を描いていながら「ある意味では妖怪・畜生にも等しい」所業を繰り返すナチスの面々の内面を映し出す鏡としてこれ以上ないものではないかと考える。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-27 11:24:28] [修正:2010-11-27 11:24:28] [このレビューのURL]

7点 mardoniosさん

ヒトラーの生涯を描いた漫画としては、『アドルフに告ぐ』『ひっとらぁ伯父サン』とともに御三家といっていいんじゃないかな。その中でも一番オーソドックスで、かつ一番生々しいヒトラーがこの水木ヒトラーだと思う。

基本的にはヒトラーの生涯をなぞっていくのだが、その中心はナチ党入党から権力掌握、そして開戦までの期間。水木さんの筆にかかると、ヒトラー一味が完全に妖怪にしか見えない。っつっても、鬼太郎ライクな妖怪だ。あまりにも人間的すぎて人間に見えないというやつ。

その中でもお気に入りなキャラは、「ドイツ軍人を疑うことは許されない!」なルーデンドルフおじいちゃんと、自称両刀遣いのレーム大尉。ミュンヘン一揆と長いナイフの夜という、開戦以前のナチスの二大イベントの主役級ということもあって、出番の割にキャラが立ちすぎ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-23 07:07:33] [修正:2010-10-23 07:08:06] [このレビューのURL]


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