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8点(レビュー数:1人)

作者水沢めぐみ

巻数5巻 (完結)

連載誌りぼん:1985年~ / 集英社

更新時刻 2010-11-23 20:24:36

あらすじ 幼い頃、シロツメクサの咲き乱れる野原で男の子と出会った少女・相原結の初恋を描く。

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ポニーテール白書のレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

8点 臼井健士さん

水沢めぐみの初連載作品だが、同時期に同じ雑誌で連載していた柊あおいの「星の瞳のシルエット」と設定自体は似たもので、幼い頃に出会った初恋の男の子と再会して・・・というもの。

ただこちらは作者の次作「空色のメロディ」でも続けて使用された「主人公の出生に謎がある」の分だけ「星の瞳のシルエット」よりも印象を残す。山場は終盤ではなく、結が養女だったと判る2巻辺りだった。
しかし、全体的にさわやかな印象の作風が後年幼稚化するとは想像もできなかった。

庫版を買いなおしてみました。やはり水沢作品で一番の作品ですね。

「家族愛」と「少女の成長」が大きなテーマだったと思うのです。
その片方「家族愛」が結が自分が両親の実子でないと知り、自分が存在するための基盤(所謂、アイデンティティ)を失ってしまった時に前面に押し出されて彼女の心に「血縁」以上の基盤を再認識もしくは再構築させた。
亡くなった実父の描いた絵本が結の精神状態と重ね合わされていることも効果的な演出と思います。
自分の居場所を失くして街を彷徨う結が育ての両親との十数年に亘る思い出を回想して、義父と義母が実親以上の愛情を注いでくれていたことを改めて認識し、自分はやはり育ての両親(正しくは叔父夫婦)と兄弟(正しくは従兄弟になる)が好きなのだと再認識して自分の意思で家に帰ることを選んだ場面が作品中で1・2を争う名シーン。片想いの相手「郡司」が何も言わずに寄り添い、親友のくうこは「もう家に帰れない・・・」と泣く結を抱いて「元気を出して」と励ました。
自分の意思で家に戻った結を待っていたのは家族からの温かい抱擁。実父の描いた絵本の中で失くしたお気に入りのビー玉は家の机の下から見つかる。「探していた大切なもの」はすぐ近くにあったのだと、ここでも結の精神状態と重ね合わせる演出が効果的に結んでいます。

まさに前半の山場でした。こういう感動的なシーンはなぜか(作者の)後の作品になるほどなくなっていくのです。大ヒットした「姫ちゃんのリボン」にしてもぬいぐるみが話したり、魔法が出てきたりとコメディ色が強くなり「姫ちゃんのリボン」以降はもうメチャクチャ・・・。絵も話も幼稚化しています。
家族崩壊の大きな危機を乗り越えた後半も悪くはありません。後半は郡司への片想いが成就していく過程が彼女の前向きな姿勢(生き方)に反映されてもうひとつのテーマ「少女の成長」がラストまで上手く話を牽引しました。結の恋に対する前向きな姿勢にテーマソングを選ぶとすればリンドバーグの「Over the top」(ベストアルバム・フライトレコーダー収録の別バージョンの方)が似合うと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-23 20:31:29] [修正:2013-08-18 20:06:42] [このレビューのURL]


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