「friendstudio」さんのページ

総レビュー数: 17レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年11月09日

[ネタバレあり]

今(ちょっとブーム去りぎみだけど)時代をときめく存在の「オタク」。このマンガは、もう、まさしく「ヲタのヲタによるヲタのためのヲタ漫画」です(笑)恐ろしく濃いです。咽ます。
引き篭もり四年目の主人公が、隣の部屋のオタクな後輩と知り合ってエロゲーを企画しようとしたり、唐突に出会ったいわゆる「美少女」とのアリエナーイ(笑)交流をしたり・・・そんなマンガです。この作品中で出てくるモチーフは、宗教、クスリ、エロゲー、秋葉原、メイドカフェ、ロリータポルノ、マルチ、自殺オフ・・・と、もう普段なら絶対お目にかかれないアングラな世界が、一切薄めない原液のまんまで呈示されてきます。誰でもこれは圧倒されます(笑)引き篭もりの佐藤やオタクの山崎の行動や言動もなんだか「それっぽい感じ」にリアルで、「脳内でバーチャルに復讐するんですよ!」等々のキてる感じなセリフが飛び出したり・・・。
問題は、これがまったくもって茶化してる以上に残酷なものに見えてきてしまうことです。オーバードーズや合法ドラッグ、自殺オフ等、笑えないネタに対しても配慮無しというか、モラルに欠けるというか・・・ともかくもジョークに関してはやりすぎ感があって、時には不快に。「何が言いたいんだ!」って状態になることもしばしば。他、全編を通したテーマが、結局は「引き篭もりを無くす」ぢゃなくて「オタク万歳!引き篭もり万歳!」だったりと、なんだかオタク同士の内輪ウケを狙っているような印象がどうしても付きまとってしまっています。「オタクたちの姿を通じて、非オタクな人々に何を伝えられるか」が勝負なのでは?ここで内輪ばっかりで売り上げ伸ばしても、この面白いテーマが生かしきれない・・・。
あえてテーマを挙げるとすれば、佐藤が岬に対して精一杯ココロを開こうとするあたり?山崎が散々理論で固めた「本物の女のどこが良いの?」論が一言で崩れ落ちる様とか・・・。どーしようもないオタクでも現実の女への性欲が捨て切れてない。結局はどんな人間だってニンゲン。死ぬのは怖いし、やっぱり希望にはすがってしまう。そんな弱っちいヒトの姿が時折垣間見れる描写があったのは好感ではありましたが、やはり少々ステレオタイプに嵌りすぎてたかな。クサかったです(笑)
そんなこんなで、オタクの欲望をどこまでも書いた本作。岬がオタクたちの究極の理想像として描かれているあたり、きっと岬には「オタクが作り上げた幻の存在なんだ」みたいなオチが来るのかな、と、何となく僕は予想できてしまうのです(違ってもいいや、たぶんこのマンガは読み返さない(笑))。ともかくも、普段絶対お目にかかれない、\"真の\"ヲタクたちの世界を垣間見れたような気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-19 20:58:13] [修正:2006-11-19 20:58:13] [このレビューのURL]