「アメ」さんのページ

総レビュー数: 22レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年02月05日

 ゾンビものとしても、最近っぽい鬱系漫画としても、冒険活劇としても中途半端な印象。

 ゾンビものとしては、ゾンビの怖さが足りず、追いつめられるパニック感が薄い。鬱系漫画としては、あんまり鬱じゃない。冒険活劇(作者はそんな気で描いていないかもしれないが)としては、爽快感が薄い。

 リアルに描かれた背景、半ゾンビ化した少女の見るシュールな風景、草食系男子が戦っていく構図など、今っぽい要素が盛りだくさんだが、なぜか全て作為的に見えてしまう。主人公や少女がいまいちリアルに感じられないからではないか。

もう少し内面に踏み込んで人間性を際立たせて欲しい。ただ逃げながらゾンビを倒していくというストーリーに鬱っぽい要素を足しただけでは、物語をドライブしていく力に欠けるように思う。

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[投稿:2013-02-06 21:05:57] [修正:2013-02-06 21:05:57] [このレビューのURL]

 全国民は小学校入学時、ある液体を注射される。液体には、0.1%の確率で時限的に効果を発揮する微少カプセルが入っており、「当たった人」は18?24歳までの間に突然死する。

 国民に死の恐怖を植え付け、生命の大切さを知らしめることで日々の生産性を向上させ、国家繁栄につなげる狙い。該当者には死亡24時間前にその事実が知らされ、それを伝える文書が「イキガミ」、主人公はその配達人だ。

 イキガミという設定自体がまず秀逸で、その点だけでも高く評価できると思う。

 死を目前にした人間ドラマが展開され、命とは何か、制度とはどうあるべきか、などを描くことにある程度成功している。

 ただ、残念なことに、途中からは、イキガミをもらった人間が残りの時間をどう過ごすか、といったバリエーションを見せられる展開が続くことになり、マンネリ化してしまった。

 主人公がイキガミ制度自体に疑問を感じたり、反体制派にはスパイが目を光らせていたりといった要素もあるので、その辺をさらにふくらませて、行き過ぎた管理社会によるディストピア像を詳しく構築できれば、重厚な作品になっていたのではないか。

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[投稿:2013-02-06 20:18:43] [修正:2013-02-06 20:18:43] [このレビューのURL]

 頭が金魚鉢の男に噛まれて血を吸われると、人間が金魚になってしまう。救う手だては、傷口からその人の血の中に入り、金魚の形をした「金魚毒」を退治すること。その「血潜り」ができる女の子はなぜかスクール水着でドジっ娘で、という設定。

 キャラクターは萌え風味の絵柄だが、背景や金魚鉢男はホラーチックなタッチで、味わい深い世界を描き出している。人間がどんどん金魚にされているという世界観も異様で面白い。

 ただ、作品の雰囲気はほのぼの日常漫画系。血潜りが下手な女の子と、それを助ける男の子が、金魚毒退治を続けていくというプロットが繰り返される。ホラー路線にもシュール路線にも舵が切りきれていないとも言え、その点に物足りなさが残る。

 ホラー要素、シュール要素のどこかで、無意識に突き刺さってく
るようなモチーフやアイデアが出てくれば、ほのぼの漫画から一歩抜け出せると思うのだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-06 20:08:31] [修正:2013-02-06 20:08:31] [このレビューのURL]

5点 羊の木

 法務省のモデル事業として、刑務所を出所した元受刑者たちの受け入れを始めた自治体が舞台。国から補助を受ける代わり、11人の出所者を受け入れる。事実を知るのは市長を含め3人だけで、彼らが秘密を守ることに心を砕き、出所者同士の接触に戦々恐々とする中で物語は進む。

 出所者たちは、寡黙で礼儀正しいが顔色を変えずに鶏の首を絞める男や、粗暴でまさに殺人犯といった男、無口で不気味な女など多様で、描き方・絡み方次第で面白くなっていきそうな気配がある。

 ただ、今のところそれぞれの犯罪歴やキャラクターが生かし切れていない印象で、話が展開していかずもどかしい。

 出所者を社会で受け入れる、といった社会問題的側面から期待して読むと肩すかしを食うし、おどろおどろしい犯罪病理的側面、パニックもの的側面から見ると物足りなさが残る。

現状ではややもったいない感じだが、今後読み続けたい作品ではある。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-06 20:04:39] [修正:2013-02-06 20:04:39] [このレビューのURL]

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