「久」さんのページ

総レビュー数: 22レビュー(全て表示) 最終投稿: 2013年05月31日

8点 AKIRA


絵や構図は現代でも十二分に通じるとても素晴らしいものでした。
なのでこの点数。しかも大好きな画風です。
セリフが絵に拒まれてぶつ切れになってるのは気になりましたが
コマも流れるように読み進める事ができ本当に動いてるように感じられます。

物語は大きなスケールをうまくまとめられてると思いますが
キャラクター全員が何を思い何を考え行動しているのかが掴めず
全く感情移入できませんでした。
主人公は何でわざわざ面倒な事に首突っ込んでいくのですかね?
しかも皆状況適合能力が高すぎてついていけません。

そして何度も「その薬はやばい!」とか「アキラはやばい!」みたいに騒いでいましたけど、
何がどうやばいのか少しも触れられず答えも全然出さないまま進んでしまうので気持ちが離れます。
謎を提示して興味をひいてる?のでしょうが、
そこまで煽るのならもう少しヒントとか出してほしかったです。
それとも「現実では知りたい事も全然知る事ができない」みたいなリアリティーの演出なのですかね?

それらの要素があり物語への没入感は薄く、冷めた気持ちでページをめくっていました。

更に終盤の真理的なものが良く理解できず面白さを感じる事ができませんでした。
自分は深読みをし、色々と考える事を楽しむ漫画は好きではない人間なので。

でもその深読みや世界観や日本の漫画の歴史を変えてしまった絵など、
好きな人はとことんはまってしまいそうな作品でありそうです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-03-06 20:32:51] [修正:2015-03-06 20:32:51] [このレビューのURL]

5点 GTO

[ネタバレあり]


主人公鬼塚が生徒の為に、元暴走族という破天荒なキャラを活かし
教師らしくない突拍子の無い事をやり遂げたりする所が面白かったです。

また、普通にスケベだったりなどと共感できる人間臭い部分も
バランス良く描かれておりとてもイキイキしていました。
最後まで「主人公の活躍が見たい」という気持ちで読み終えられたので
かなり魅力的なキャラクターなんだなと思います。

ですがだいたいのエピソードは簡単に予想できる展開なのにラストに漕ぎ着くまでが長く、
物語から意識が離れてしまう事も何度かありました。

それと、序盤の【元2年4組の先生嫌い】も複数の生徒は
案外あっさり手のひらを返していた印象で肩透かしでした。
終盤、物語の規模が大きくなってきてからは
「こんなでかい事してるのに理由が小さいかも」と思ってしまう事も。
きっと完全に感情移入したままラストを読む事が出来たら
大きく感動できたのでしょうが、セリフも臭くなり嘘っぽく感じてしまいました…。

でも全体に散りばめられたギャグシーンなどは素直に笑えるもので気持ちが良かったです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-03-06 20:29:01] [修正:2015-03-06 20:31:18] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


決してエンターテイメントとして楽しめる作品ではありませんが
軍に対する日本国民の異常な盲信ぶりや原爆の威力に後遺症の恐怖、
次の食事の為に命を張る行為など
戦中戦後の苦労や不条理、それに対する作者の怒りがとことん伝わってきました。
読中に食事をし、食べ物を買おうと思えばすぐ買えるという
(必死に生きる時代)ではなくて本当に良かったと思えました。

また原爆孤児を食い物にするヤクザの狡猾さも知り驚きました。
孤児はヤクザに頼るしか無いのに孤児は大勢居て代えがきくなんて辛い現実ですね。

ただ、1巻の「非国民だ」と言われ酷い事をされる直接の原因となったのは両親の行動のせいだよなあと
思ってしまいました。父は正しい事だと信じる物を曲げずに居る事よりもまず
一家の大黒柱として子供達に食べさせる事が重要なのではと。
訓練の時酒を飲んでふざけた態度をとっていればそりゃ差別に拍車をかけてしまいますよ…。
母も、憎いとはいえ殺そうとしなくてもとどうしても思ってしまいます。

そして気になったのが「日本人は冷たい」などの台詞です。
どこの国も同じ状況になれば自分の事で本当に精一杯で、他人にかまえる人なんて少数。
それなのに「日本人は」と一括りに否定するのは寂しいです。家族の事まで否定するんですね。
「冷たい人ばっかだ」って台詞で良かったと思う。
ゲン達も投下後の火から逃げる為「助けて」という声を無視しているからそう言ったのですかね?

戦争のような一筋縄ではいかない問題がテーマの物語はやはり
見かたが片寄って主人公サイド全ての意見に同調してしまいそうですが、
それでは1巻に出てきた嫌がらせをする考え無しな子供と何も変わらないので注意は必要です。

ただ、戦争で戦ってる兵士でなくその国の国民を大虐殺し、
自国民を守る為の実験材料にしてしまう作戦は常套手段だとしても胸糞が悪いです。
作中ではそんなアメリカやそれに巻き込んだ軍部を「憎め」と言っていますが、
憎むというよりは実際にあった事を伝えて、参戦国の国民が負うリスクや
強すぎる威力の武器を使う事に強い抵抗感を感じてほしいなと思います。

実際に体験していない幸せな人間から見た意見ですが、
このように様々な事を考えさせてくれる漫画でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-03-06 20:23:29] [修正:2015-03-06 20:26:24] [このレビューのURL]