「はと時計」さんのページ

総レビュー数: 56レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年11月11日

9点 リアル

ため息が出る。
井上雄彦はなんてすごいんだろう。
障害者バスケを題材にしてこんなにも熱い物語を創る。
悲しいだけの話なら、他の誰かにも描けるだろう。
だが、ここには井上雄彦にしか描けないものがある。
生きようとする姿が熱いのだ。

生きるのは難しい。
だけど、生きなければならない現実の中、
生きるために強くなろうとする登場人物たち。
そして一人のうだつの上がらない青年の目線を通して読み手に問いかけてくる。
「あなたは?」
圧倒的な画力。物語の構成も申し分がない。赤裸々に描かれた登場人物たちがぐいぐいと物語の世界に引き込んでいく。
またもや傑作の予感。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2006-11-11 14:14:43] [修正:2006-11-11 14:14:43] [このレビューのURL]

混沌とした街に生きるクロとシロ。

人は根源的に孤独だ。
だからこそ一人ではいられない。
繋がろう、繋がりたい。でもうまく繋がれない。
何かが欠けているから。
そんな言葉が聞こえてきそうだ。

クロはシロを求め、シロはクロを優しく見守っている。

ここに描かれた世界はゴチャゴチャとして不思議な趣を放つが、
そうであるがゆえに一層ピュアで美しい詩のような作品に仕上がっている。
松本大洋の世界を存分に満喫できる傑作である。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-11-11 12:37:49] [修正:2006-11-11 12:37:49] [このレビューのURL]