「右から左へ。」さんのページ

8点 レベルE


作者の持ち味がいかんなく発揮された、良作である。

富樫義博の漫画の中では最も好きな漫画である。
この作品の最大の魅力は、主人公の性格と行動が見事に一致している点であろう。小憎らしいほどに頭がよく、周りの登場人物を振り回すものの、どこか憎めないこの主人公は富樫義博の人格を具現化したものではないかと思うほどだ。(実際そうなのかもしれないが・・)

また、三巻で完結という短い内容でありながら、それぞれの話を、主に数話完結の形でテンポよく、かつまとまりのある内容にしたててある。先が読めないが、支離滅裂ではないことも、作品を面白くしている。

しかし、残念なことは、この漫画が週刊少年ジャンプという少年誌を媒体として描かれた漫画であるということだろう。内容的に青年誌を媒体としていればさらなる読者を獲得できたように思われる。そもそも、他のレビュアーの述べているように、小学生も多く読む週刊少年ジャンプでこの作品が掲載されたことがすごい。(しかし、この漫画はストライクゾーンの狭い漫画だからこそ、高い評価を受けている気がしないでもないが・・)

また、三巻で完結ということは、テンポがよく、まとまりのよい漫画としているのは事実であるのだが、もう少しこの漫画の続きを見てみたかった。

しかし、総じて見れば間違いなく一度は読んでみてほしい漫画である。上述のように、好き嫌いは分かれるが、好きな人はとことん好きになる漫画。それがこの漫画の正体ではなかろうか。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-10-09 20:57:41] [修正:2008-10-09 20:58:35]