「右から左へ。」さんのページ


この漫画の最大の魅力は、敵キャラクターの描写、戦闘における敵との駆け引きや細やかな能力の設定にあるだろう。

敵を一方的な悪役にするのではなく、大義を与えて話を奥深いものへと深化させている。それによって、魅力的な敵キャラクターが描写され、駆け引きにおいても登場人物の微妙な感情の機微が表現されている。特に、NGL編は作者のこだわりが感じられた。

また、念能力の設定が絶妙である。念を系統別に分けて、相関関係を築き、絶対的に強いものがないようにしているため、戦闘における能力者の相性や、能力を制約を課すことで強めるなど、能力暴走型漫画(最近の少年誌には特に顕著である。)に歯止めがかかるような配慮が感じられた。それでも最近はその傾向があるのは残念だが。

しかし、多くの人が述べているように、週刊誌での掲載時に、絵がラフのような状態で出されたのは、残念であった。

もちろん、単行本では絵が修正されてはいる。しかし、いくら内容が良くても、週刊誌に連載すると決めた以上は、最後まで作品として形をなした状態で発行するべきだし、そうするのは当然である。内容がいいなら週刊連載でなくても問題ないという人もいる。しかし、多かれ少なかれ、他の作者もファンはいるであろうし、殺人的なスケジュールの中漫画を描いているのである。読者あっての作品であるのだから、例えば隔週掲載にするなり、月刊誌に移行するなりして定期連載をしたほうが、作者のためにもなるであろう。

以上のような欠点もあるため、7点の評価としたものの、単行本で読む限り、非常に面白く読める漫画であることは間違いない。

作品自体への評価という点で連載自体への問題ということを扱うことに多少抵抗もあったが、今後の展開への期待をこめて、作品自体への評価ではなく週刊誌に連載された状態での評価とさせてもらった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-09 21:32:29] [修正:2008-10-09 21:32:29]