「右から左へ。」さんのページ

[ネタバレあり]


少し前に、図書館から母が借りて放置されていたこの漫画を発見し、読み始めた。はじめはコマ割りが昔風で読みづらそうだなと思ったが、一気に読破してしまった。

この作品の何が一番良いのかといえば、巻末にある対談にも書いてあったと記憶するが、本来悲壮感たっぷり、涙なくしては語り得ないような、波乱万丈の実話を、笑いありでギャグ風にさらっと書いてしまっていることである。

たしかに、コマ割りは昔風に正方形に区切られ小さく、吹き出しも多くテンポが悪いことは否めない。

だが、ネタが面白すぎる。最近のギャグ漫画は主人公がめちゃくちゃなことをするばかりで、ついていけない漫画が多い。しかし、この人はのっけから山の斜面で首つりをしようとして、そのまま寝てしまい、死ぬのをためらいホームレスになるという、トンデモ話をクールに、かつ事実報告的に描くので面白い。本当に面白い話というのは、筆者が笑いながら描いてはいけないのだ。(この話も、本来涙ながらには語りえないであろう・・・)

欠点はあるものの、今のギャグ漫画が忘れてしまった精神が、この漫画にはある。一巻完結で図書館にあることも多いこの漫画、お手頃な本であると思うのでぜひ一度手に取ってほしい。

続刊もあるようなのだが、残念ながらまだ手に取っていない。あくまで、「失踪日記」だけの評価として読んでいただきたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-09 23:10:39] [修正:2008-10-09 23:10:39]