「メカガメラ」さんのページ
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多くのマンガ家が失速したり休載を重ねる中で、あのレベルを維持して手堅く連載している皆川亮二の安定感っぷりに気付いた。
今一番願っていることはジオブリーダーズの再開。

8点 鋼の錬金術師
エルリック兄弟が戦う(旅をする)理由がとても斬新。
少年マンガといえば大抵「世界を救う」とか「誰よりも強くなる」といった大きい目標があるものだが、この作品は「自分たちの過ちにより失った体を取り戻すこと」が目標で、言わば「スタート地点に立つこと」がゴールとなっている(中盤からは「世界を守ること」も目標となるが)。
また、普通は初めは弱い主人公が目的のために力をつけていくものだが、この作品は、幼いころに過ぎた力を持ってしまったからこそ過ちを犯し、目標が生じたというところも珍しいと思う(「るろうに剣心」などはこのタイプか)。
こんなシビアな設定の物語だが、だからこそエルリック兄弟の心理描写や葛藤、精神的成長が細やかに描かれ、見事な存在感を獲得して立派に主人公として機能できたのだろう。
また、周囲の主要人物も目的や思想が明確で、さらにそれが構成された理由が充分に伝わってくるだけのバックグラウンドが描かれているので、作品全体としてかなりの重厚感が感じられる。
話づくりもとても達者で、これだけの重い設定をコミカル且つ巧みな構成でエンターテイメントとして昇華し、グイグイ読者を引き込む程の魅力がある。
かなりレベルの高い作品と言えるだろう。
しかし、ラスト2巻は個人的に非常に不満が残るものとなった。
恐らくテレビアニメの放送期間に追い立てられる形になったのだと思うが、とにかく残りのプロットを最低限終わらせようとしたかのようなテンポで、こだわった演出はおろか最後の戦い後の余韻すらない。
マンガにおいて最も大事な要素の一つは台詞やコマ割などの「演出」、言い換えれば「間」であるというのが持論なので、ラスト2巻は全然のめりこむことができなかった。
「終わりよければ全て良し」というが、その逆は非常に大きな原点ポイントだと思う。
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[投稿:2011-09-06 00:25:42] [修正:2011-09-06 00:26:49]