「アメ」さんのページ

 海保ものとしては、海猿より面白いと思った。海猿の主人公の変な正義感が鼻についた分、こちらの方がさわやかで楽しかった。

 作中で最も面白かったのは、海猿でも同様だったが、やはり訓練過程の部分だった。見たことがない器具や練習方法、少しずつ力がつき、仲間同士の信頼感も増していく様子など、訓練ものはやはり少年漫画の王道なのだと感じた。潜水士ものではないが、「宇宙兄弟」でも、やはりJAXAでの訓練(というか選抜過程)が面白かった。

 主人公は少年漫画らしく熱い男だが、脇を固めるキャラクターたちもクセがありつつ魅力的で、訓練終了後、そうしたメンツとチームを組んで海難救助を行っていく場面も胸が躍った。

 人命救助のために時に非情になる必要性も、主人公のライバルに言寄せて描かれており、単なる熱血と情緒に流れすぎない点にも好感を持った。

 ただ、最終盤にかけては徐々に失速していったイメージ。ある種のバッドエンドとも言える終幕なのではないか。主人公の根本的な問題(問題と言えるかは別として)は、解決されずに終わった形で、その点に少し不満が残ったが、基本的には笑いあり涙ありの王道少年漫画で、自信を持って勧められる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-06 20:53:10] [修正:2013-02-06 20:53:10]

月別のレビュー表示