ホーム > 不明 > CUTiE > リバーズ・エッジ

7.62点(レビュー数:8人)

作者岡崎京子

巻数1巻 (完結)

連載誌CUTiE:1993年~ / 宝島社

更新時刻 2011-08-27 01:11:20

あらすじ 傑作ぞろいと言われる岡崎京子作品のなかでも、誰もが「代表作」と言い切る作品。90年代はじめの「都会」に生きる高校生たちの姿を描く。 河口にほど近く、広く、ゆっくりと澱む河。セイタカアワダチソウが茂るその河原で、いじめられっこの山田は、腐りゆく死体を発見する。「自分が生きてるのか死んでるのかいつもわからないでいるけど/この死体をみると勇気が出るんだ」。それぞれに重い状況を抱えた高校生たちがからみ合いながら物語は進行する。

シェア
Check

リバーズ・エッジのレビュー

点数別:
6件~ 8件を表示/全8 件

9点 てっちさん

[ネタバレあり]

金欲、食欲、性欲、独占欲…。さまざまな欲望が入り混じる都市で、みな欲望を隠して生きています。隠してはいるのですが、欲望のままに暴飲暴食したりHしたりいじめたりしてしまうのが人間です。そんな都市で生きている少年少女の話です。

いじめられっこでゲイの山田くんと、拒食症の吉川さんは欲望に流されない数少ない人間です。彼らは、自分たちの体が欲望に支配されていない生身の体かどうか確認するかのように、喜んで人間や猫の死体を見に行きます。彼らは自分の欲望をごまかして、隠したりしません。はっきり言ってこの世界では異質な存在です。

物語が進むにつれて、欲望を隠して生きているはずの世界にゆがみが生じて、それぞれの欲望があらわになります。欲望の火をうまくコントロールしてタバコを吸う吉川さんに対して、欲望の火をコントロールできず焼かれてしまった田島カンナ。

物語の最後では、主人公のハルナは再び欲望を隠しつつ以前のように接しようとする観音崎くんと、自分の素直な気持ちをを隠そうともしない山田くんの二人と話して、思わず泣いてしまいます。普段から自分の欲望を隠そうともしない山田くんや吉川さん。普段は自分の欲望を隠してきたのに最終的に欲望に支配された観音崎くんや田島カンナ。どちらが正しいのかなんて誰もわかりません。

資本主義の世の中で、欲望のままにたれ流された工業廃水や生活廃水やごみや尿や精液がよどみながらゆっくりと流れてくる河口の近くに彼らは住んでいます。その景色はまるで彼らが住む世界を象徴しているかのように見えます。
この世界はまるでリバーズエッジ(川の淵)のようなとこだよ、ということですね。

都市部の河口のよどんだ感じと、欲望に突っ走っていきながらも閉塞感を感じている若者の感じがうまく結びつけてあり、とても興味深く読みました。PINKも評価高いですが、わかりやすさも含めてリバーズエッジを岡崎京子の代表作としたいですね。

しかし、みなまで言わないとレビューできない自分はまだまだ未熟者です。自分でも熱くなっていると自覚しているので、冷静になる意味でマイナス1点。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-08-20 23:44:19] [修正:2007-08-20 23:44:19] [このレビューのURL]

7点 もちこさん

良いと思うんですが、好きとは言えないです。
何言うか、実際こんな感じがして怖くて。

でも何回も読んでしまいます。
怖さを感じてしまうけど、共感できます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-04-23 11:13:29] [修正:2007-04-23 11:13:29] [このレビューのURL]

10点 Dr.Strangeloveさん

ごくまれだが「芸術」にまで昇華されている漫画に
出会う事がある。

この「リバーズ・エッジ」は間違いなくそれだ。
私はこういう作品に出会うことがあるから漫画を読んでいる。
良い意味でも悪い意味でも多くの人にとって一生忘れられない作品になるだろう。
実は嫌いな作品でもある。ただ、あまりにも完成度が高く、ケチの付け所が見つからないため満点とする。

作者岡崎京子氏が復帰することを祈る。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-04-03 13:24:21] [修正:2007-04-03 13:24:21] [このレビューのURL]


12
次の10件>>

リバーズ・エッジと同じ作者の漫画

岡崎京子の情報をもっと見る

同年代の漫画

CUTiEの情報をもっと見る