鈴木先生のレビュー
6点 columbo87さん
非常に繊細な中学生像を描いており、一つ一つの問題はくだらないのだが、ある部分で共感できてしまうので面白い。
鈴木先生というキャラクターは名前の通り没個性的な、しかし「良きスタンダード」として理想とされる教師といった存在となっており感情移入がし易い。
性問題、親子、人間関係も真っ向から冷静な視点で見据え、それぞれの登場人物の視点に立たせ心の内を覗かせる。同時に読者にもある内面の痛い部分にもメスがいれられるのである。このあたりの引き込ませる描写力は見事としか言いようがない。作品全体を通して感じられる部分である。
魅力的なキャラクタが多い鈴木先生だが、一方でその扱い方はあまり好みではなかった。顔の適当さで"良い"人間と"悪い"人間が区別できるのは分かり易いし、まぁ有りだとは思うのだが、あまりにも差が酷い。
具体的には椿とか、足子先生とかなのだが、なんのフォローも無く理不尽に劣った人間として描かれるのは不快であった(竹地あたり人間的に姑息な奴はいてもまあいいかと思えるが)。足子先生に関しては山センのエピソードでやったことを繰り返しただけでも疑問だったのだが、作者でも手がつけられない程暴走していたのに何故復帰させたのかがさっぱりわからなかった。
そういえば、「鈴木先生」には狂人レベルまでいってしまう人物がまま出てきたが、一般的に見てそこまで悪人ではない、普通の人間がちょっとした間違いで道を踏み外してしまうパターンが多かった。この過程はリアリティがあって良いのだが、実際の人物の描き方があまりにも漫画的すぎて非現実的なものに映ってしまっていたのは残念な所、漫画的表現の使い方が巧くなっているだけに生じた歪のように思える。
漫画作品としては、最初が良かっただけに後半には不満が残った。
「掃除当番」のエピソードがピンと来なかった(受け手の想像力の欠如ということではなく、「鈴木先生」の物語としてこれには違和感があった)ことや、盛り上がるはずの鈴木裁判が予定調和的で少し期待外れだったのもあるが、とにかく後半は文字の多さが苦痛だった。ゴー宣とかより多いんじゃないかと思えるほどの文字の羅列、もはや漫画ではない。しかもそれが、やられ役が語った論理を鈴木先生か誰かしらが論破するという形式としてパターン化されていて、先が見えているのに読まなければいけないのも苦痛であった。
結構クサしまくってしまったが、まぁ、不満があったにも拘らず引きつけて読ませる吸引力、作品の持つエネルギーがすごいってことで…
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-24 17:58:30] [修正:2011-10-24 18:02:00] [このレビューのURL]
7点 でろりんさん
リアリティーはありそうでない
実際には起きない様な問題が多発している
なのに真に迫るこの迫力はなんだろう!
分からない・・・とても説明できる文章力は自分にはない
設定はいたって普通の中学教師
どんな些細な問題も大きな問題フラットな目で見て解決に導く
そんな真摯な姿勢に好感がもてる鈴木先生
特にその魅力が存分に出てくるのが1巻、中でも「教育的指導」が一押し
自分がもし彼の立場ならどう解決に持っていくか・・・
という思考でこの話を見て欲しい
軽くそのはるか上をいく「解答」を示してくれるはず
少なくとも自分はそうだった、そして感嘆した
しかし読み進めていくと話のキレが落ちてくる印象がどうしてもある
竹地とカーベの件はかなり中途半端な締めに見えて
解決まで持ってこれなかった気がする
そして後半の演劇、うーん最後の数巻は「教育」じゃなくて「演劇」
にすり変わった感じがするのが残念
最後の事件も鈴木先生が問題を解いて欲しかった
あれじゃあ主人公小川蘇美だよ、にしても彼女は人間卒業してるなあ
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-09-08 09:47:34] [修正:2011-09-08 09:47:34] [このレビューのURL]
7点 yiconさん
教員も生徒も大真面目ですね。皆大真面目すぎてこわいけれど、内容がケーススタディのようなものだからキャラクターはみんなくそ真面目、くらいでちょうどいいのかもね。真面目さが面白おかしく見えてしまうこともある、と思うのは不謹慎でしょうか笑
私は小中高、とこういう風に議論を吹っかける教員にも生徒にもに遭遇したことはない(し私自身から議論を吹っかけたこともなかった)わけですが、それは幸せだったのか不幸だったのか…
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-08-08 17:43:53] [修正:2011-08-08 17:43:53] [このレビューのURL]
8点 kikiさん
作者熱っいですねー。はんぱなく情熱的!巻数が進むにつれてヒートアップ
してってるし。登場人物達の教えや議論が熱すぎて面白い!
中学校生徒に「生派」である理由をあんなに語ってどうすんねんw
こんな先生ないわーw
学校の先生の物語って問題児にぶつかってって話が大半ですが、鈴木先生の
生徒達はどちらかというとマジメで普通なタイプばかり。
そんな普通な彼らが小さないさかいや事件(ラストは大事件になりましたが)
を起こし解決していき、生徒だけでなく同僚の先生方ともいさかいがあったりと
一見実世界にもありそうな物語なんだけど・・・
議論がすごすぎる。こんな賢い中学生ばかりの学校ってないないない。だけどそれが
面白い。ついでいうと鈴先と続先の妄想がやばくて笑える。
物語後半の長編になるともう鈴木先生の物語というより、作者の性に対する哲学や
演劇論の解説にしか思えない。ネーム量がはんぱないので疲れるけど思想が
しっかりしているので色々納得させられました。
もちろん議論だけでなく群像劇としても面白いです。
選挙編のラストの方で「戦いの中で心通い合うのはスポーツだけの専売特許ではない」
というセリフがあるのですが、まさにこの作品は言葉を尽くすことで戦っていて
魅力的です。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-05-10 13:36:49] [修正:2011-05-10 13:36:49] [このレビューのURL]
8点 二軍Tシャツさん
古くさいけど新しい。
そんなギャグ(ではない)マンガです。
こんな先生が欲しい。
ただ、こんな先生にはなりたくない、ストレスが・・・
当たり前のように並べられた正論に疑問符をつけ、一般的には小さな問題をそれはもう考えすぎってほど考えていく作品なんですが、作者の社会に対する批判や、私達が知らず知らずのうちに目をつぶっていたであろう根っこの問題が、この作品における中学生や教員を取り巻く様々な問題から全面に押し出されています。
それはそうと、この作品の登場人物、特に中学生のボキャブラリーには驚かされますね(笑)
「それって正にシステムの暴力じゃないスか!!」
とか中学生の言葉じゃないですよ。
しかし、過剰表現ではありますが、「覚えたての頭のよさそうな言葉を薄っぺらな知識で多様したがる中身のない中学生」とでも言うのでしょうか、良く表しているとおもいますね。
完結したので追記:
小さな事件に大きな問題
大きな事件に小さな問題
というのがこの作品の基本スタイルらしいですが、確かに言われてみればそうかもしれませんね。
消化不良な感じも否めませんが、依然、名作であることに変わりは無いです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2009-02-03 06:40:46] [修正:2011-05-06 20:03:01] [このレビューのURL]
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