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7.86点(レビュー数:22人)

作者藤子・F・不二雄

巻数3巻 (完結)

連載誌短編集:1968年~ / 中央公論社

更新時刻 2009-11-27 19:33:10

あらすじ ---

備考 藤子・F・不二雄大全集に『少年SF短編』全3巻で収録

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SF全短篇のレビュー

点数別:
21件~ 22件を表示/全22 件

10点 Dr.Strangeloveさん

「劇画オバQ」
「ミノタウロスの皿」
「カンビュセスの籤」
「分岐点」
「イヤなイヤなイヤな奴」
「間引き」
「流血鬼」
「ひとりぼっちの宇宙戦争」
「絶滅の島」
「老年期の終わり」
「みどりの守り神」
「未来ドロボウ」
「大予言」
「ある日、、、」
「あのバカは荒野をめざす」
「タイムマシーンを作ろう」など珠玉の名編がぎっしり。

もはや古典であり歴史的価値も含めて
10点をつけさせていただきます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-15 19:03:27] [修正:2007-06-15 19:03:27] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

マンガマニアの嗜み、F先生の短編集。
ほとんどの作品が皮肉に満ちているが、中には結構穏やかで良い話もある。
「皮肉」という言葉を使ったが、それは国民的マンガ「ドラえもん」にも見られると思う。
F先生は「皮肉の人」である。その皮肉の人の書き上げた黒い作品群の中でも
私が一番引き付けられた作品が「絶滅の島」だ。
例えば「ミノタウロスの皿」「流血鬼」にしても「皮肉」はストーリーに練りこむ形で現れている。
ところが、この「絶滅の島」。こんなやり方があるのか!と皮肉り方に感動してしまう。

あらすじは、ある日UFOが地球にやって来る。
侵略者のモンスターたちによって人間は一方的に虐殺される。
主人公とヒロイン他、合わせて27人は「秘島ツアー」に行っていたため偶然にも生きのびる。
しかし、その島にもUFOはやって来た。応戦するものの次々と殺されていく。
そしてヒロインは逃げ遅れ侵略者に捕まる。
他に生き残った、頼りになるオジサン(名はない)と夜になるまで待ちヒロインを助けに行く。
ヒロインは生きていたものの遺体を棒に突き刺し煙でいぶしている光景を目にする。
侵略者に気づかれ、オジサンは自ら犠牲となり二人を逃がす。
しかし二人は追いつかれてしまう。もう駄目かと諦めると
突然UFOが降りてきて中からは今、襲われている侵略者と同じ形のモンスターが出てくる。
するとモンスターたちは話し合いを始める。ここで初めてモンスターに吹き出しが使われる。
吹き出しの中は、よくわからない記号のようなもの。
場面は変わって医務室で裸の主人公。襲われた際の傷は治っている。
ラスト。モンスターに見送られ、ヒロインと逢わされ島の奥へ寄せ合って歩く二人の後姿。

と、ここまでは「まあこんなもんか」ぐらいの感想しかなかった。
なかったんだけど、その最後のコマの下に、字ばかりが書かれたコマがある。
見ると「宇宙怪物語 日本語訳」と書いてある。そりゃ「え・・・?」ってなる。
もっと読んでみると

428ページ「きみたち こんな島でなにをしてる?」「別に・・・・・・ ただの離島ツアーだよ」「ごまかすな!!」「チキューケナシザルは保護獣に指定された 密猟者は逮捕する」
429ページ「すんません ケナシザルの黒焼きは 円形脱毛症に効くと聞きまして・・・・・・」「それは ただの迷信だ」 ガク

ここまで読んで、もうほんとクラクラした。日本語訳はもう少し続くけど、要は人間を絶滅しないよう保護しにきたってこと。
何から書こうか・・・。まあとにかく物凄い皮肉り方でしょ?

本編やってる間はわりと、作品に感情移入して書いてるように見える。
燻製にされている人間の死体を見つけ、主人公にはゲロを吐かせ
オジサンには「気をしっかりもて!!」「正視するにはたえん光景ではあるが・・・・・・確かめぬわけにはいかんぞ あの中にカオリ君がいるかどうか・・・・・・」
なんて、格好良い台詞を言わしたりして。

にも関わらず最後の「宇宙怪物語 日本語訳」で一気に作品の世界をドンと突き放す。
429ページの訳で「ガク」ってのあるけど、これって
うな垂れたモンスターの上のほうに書いてある記号の訳になる。つまり「擬音まで怪物語で書く」ってこだわる程ストーリーに何の思い入れもないということなんだよ。

だから私がこれを読んでいて、さして心に来るものがなかったのは
作者自身がストーリーに対してドライな視線で書いていたからに他ならない。
一番書きたかったのは最後の訳なんだもの。

「ガク」とガッカリする後姿のモンスターの頭に白い丸があって。ただのハゲなんだよな。
「すんません」っ言葉遣いも人間くささの表し方が上手い。

名前のないオジサンは頼りになる存在として描かれてはいるが、こんな危機的状況じゃあなけりゃ
ただの冴えない顔した、つまらないオッサンでしかないデザインで
作中「フフ・・・・・・皮肉なもんだねえ」っていう台詞を言わせるF先生の悪意に痺れる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-15 01:35:12] [修正:2007-06-15 01:35:12] [このレビューのURL]


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