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7.1点(レビュー数:19人)

作者きづきあきら

巻数4巻 (完結)

連載誌COMIC SEED!:2003年~ / ぺんぎん書房

更新時刻 2009-11-25 06:27:11

あらすじ 門倉高校漫画研究会に突如現れた美人で巨乳の2年生、青木杏。その日から、生温い日常に浸りきっていた部員達の心にさざ波が立ち始める…

備考 ぺんぎん書房が倒産したため、3巻で無念の打ち切り。しかし2006年に小学館より完結までの描き下ろしを新たに加えた完全版(全4巻)が出版された。

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ヨイコノミライ!のレビュー

点数別:
6件~ 10件を表示/全18 件

7点 白い肉球さん

オタクという人種の痛い面を「これでもか!」と言うほどぶち撒けた、自己啓発漫画(と、自分は思っています)。
最初こそ「こいつらきめぇwww」なんて内心思っていましたが、段々笑えなくなる。それはキャラクター達の行動が過激になるからではなく、自分にも彼らと同じ面があると気付かされるからです。
井之上君みたいに理想と現実の区別がついていなかったり、天原君のように感想と批評の違いを理解していないetc…
このサイトを利用している人なら少なからず共感(そして打ちのめされる)ものがあると思います。
自分も最後の青木さんのセリフで“ハッ”とさせられました。
天原君のみたいにならない様に気をつけなきゃ、とレビューを書くときは常々思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-22 23:07:36] [修正:2010-07-22 23:07:36] [このレビューのURL]

6点 あんりさん

人とうまく接触できない、それが過度になった場合
読んで字の如く「自閉症」なんてかつては呼ばれたらしい。

他人を批判しなければ、何かキャラを被らなければ、妄想を挿まなくては、対人関係において自分を保つことができない
自閉する一歩手前な登場人物たち。
殻に籠りがちな日本人には それらは逃避ではあるがコミュニケーション術の一つでもあり、
オタクに限ったことではないだろう。みんな少なからず自己防衛してるのだ

思春期において その加減を知ることができないと、その後の生活に支障をきたす。
だから皆、集団生活を義務とされ 他人を知ることで自分を知り、傷を負うことへの免疫を多少なり持つことによって自立(または自律)していく。
もういい歳なのに人と関われない、自制できないといった人は
今までに、傷つき過ぎたとか 傷つくことを知れなかった、そういった原因があるのかもしれない。
それらが改善されず ますます悪化していくと、何らかの「しょうがい」となってしまう

脱線したが
つまりトリックスター青木さんにテコ入れされ傷ついた漫研部員は ある意味、救われたのだ。
刊行の関係でその後のエピソードはあまり語られないが、きっとみんな大丈夫。天原君も成長できる

きづき氏は毎度、登場人物を通して読者をチクチク痛めつけ、自己開拓を促してくれる。
これはもはや我々への愛だ(と妄想しておく)
今の語りすぎた御託を読んで、少しでも心当たりのあった方には 是非お奨めしたい(しかし救いを求めてはいけない)
いろんなことを気づかせてくれた

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-03 17:16:44] [修正:2010-06-04 18:56:09] [このレビューのURL]

7点 bugbugさん

興味をそそられる様な見事なレビューばかり目についてしまい
とうとう手を出してしまった。

青木さんは、「批評ってのは感想文じゃねーんだよ」っておっしゃっていましたが、とりあえず感想から。
青木さんいくらなんでも巨乳すぎr・・・ではなくて
触れてはいけないものに触れてしまった感覚。
普通の大人なら薄々感ずいてはいても見て見ぬふりをせざるを得ないような傷をえぐるエグさがある。
怖いもの見たさの覚悟できるなら是非お勧めしたい。

リアリティを追求するのであれば、キャラクターの味付けを多少薄くすることで実現できたであろうが、
あえて極端な性格を追求し、作者のメッセージをやりたい放題言いっぱなし。
あまたの作者の主張に一つでも共感できれば、本作を楽しめると思います。
何が凄いってこれだけ多くのキャラが出てきて、ウザくないキャラが一人もいない。
(ヒロイン?の青木さんがもっとロリ体系ならあるいは・・・)
強烈なメッセージが、自分にとっても当てはまっているようでもあり、的外れなようでもあり、悩ましいが、
考えさせられることだけは間違いない。

他の方もおっしゃっている通り、
このサイトで漫画読みを自称する方は一読すべき作品。
面白いor面白くない。楽しいor楽しくないではない。必修科目と言って差し支えは恐らくない。

ちなみにエンターテイメントとして読むのならばもっと最適な作品が世の中にはいっぱいあるので、
あくまで参考書としてどうぞ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-21 00:18:03] [修正:2010-05-21 00:23:09] [このレビューのURL]

9点 ジブリ好き!さん

彼らの痛みを感じ取ってあげてください。

この漫画はオタク文化の負の面を描いた作品です。
ですが、オタクに限らず、この作品を読んで感じるものがあると思います。
それだけ作中に出てくる考え方や人格はリアルで多様で現代的なんです。

彼らを反面教師として捉えてください。
彼らの記号的な人格や考え方に、少なからず僕らも当てはまる部分があると思います。彼らを見ていて「痛いなぁ」と感じるのは、彼らが本当に痛い人間だからだけではありません。
それは、自分自身を客観的に垣間見てしまった痛さなのです。
ここまで極端な人格はしてないぞ!って思うけれど、実はその境界線はかなり微妙なものなのかもしれないのだから。天原君ではなくとも、井之上君である可能性はあるのです。

この作品の素晴らしいところは、単にそうした説教くさい一面をもってるだけではなく、しっかりと読ませるストーリーをもっていることです。娯楽作品としても面白く、例えば1巻の番外編は、それ自体はハッピーエンドですが、本編とリンクしてるのを確かめるとすごく怖い話になります。
ぺんぎん書房の倒産で、長く続けるはずだったのが短く終わってしまいましたが、しっかりまとまっているのも凄い。

記号的なキャラのオタク達が、部誌と青木をきっかけに、その日常を変えていく。初めこそ記号的であったキャラたちが、経験とともに人間的なキャラクターへ進化していきます。しかし、それは一概に「成長」とは呼べません。
才能をもちながらも本気になろうとしない瞬や、繫がりを捨て己が夢へ歩む大門。
そしてラストは井之上と青木で終わると思ってただけに、あの二人の対比で締めたのは秀逸でした。
現実に出なければ傷つくこともない。
いつまでも安全で好き勝手言える内輪の世界から抜け出せない者
夢に向かい、安全地帯を捨て、傷つくことも覚悟しながら前へ進む者
成功の保証なんてないのだから、どちらが良いことだなんて言えません。ただ、どちらがかっこいいか、人間的な進歩につながるのかはわかります。

今学生の人だと特に共感できる部分が多い作品です。
また、こうしたサイトでレビューしたりする人ならば、一度は読んでおくべきかとも思います。
ある批評家が「僕ら批評家が作品を批評するのは、その作品を愛してるからなんです。いわば、その作品の恋人のよう」と言ってました。確かに、新しい見方の提示にはその作品を読み込むことが必要です。でもそれ以前に、その作品を愛することが必要なんですよね。人間の恋愛のように、たとえ悪い部分が多かったとしても、総評すれば「大好きだ!」と言える愛の批評。『本物の批評』とは、批判とも感想とも違う、貶めるものではなく魅せるもの。
少しでも天原君のような批評観をもってしまったことを全力で戒めたい今日このごろ。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-02-15 01:22:36] [修正:2010-04-03 00:58:47] [このレビューのURL]

8点 ITSUKIさん

完全版の方を読了。
絵柄自体は個人的には特に魅かれるものがなかったのですが、こちらでとても気になるレビューがあったので購入しました。
とある高校の漫研部が舞台であり、部員達は皆非常にイタいキャラとして描かれます。
主人公は元運動部の漫画好き。漫画は描けないけど、編集者を目指し、だらけきっている漫研部をなんとか活気づける為に部誌を作ろうと部員達にもちかけます。

そんな中、青木杏という新入部員が登場する事でぬるい日常が揺らぎ始めます。
青木の策略により部員達のイタい自尊心は徐々に傷つけられ、心の闇の部分がこれでもかっと描かれるようになります。
読んでてあまりにもキャラ達がいたいたしく、暗い作品なので、読後感は決して良くなくもやっとした感情が残りました。
読み終えてスッキリ「あ?面白かった!」ってできるタイプの作品ではないでしょう。

ただ人間の持つ嫌な部分を徹底して描いた姿勢は凄いな、と思いました。
またこうやって「作品を批評すること」の難しさと無責任さについても考えさせられました。
「げんしけん」が前向きなオタク達を描いた作品だとすれば、この「ヨイコノミライ」はかなりオタクの嫌な所を描いています。でもこういう一面も確かにある、と共感できます。
再読性は個人的には低いですが、一度読んでみるのはアリだと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-28 23:49:46] [修正:2010-02-28 23:49:46] [このレビューのURL]

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