H2のレビュー
8点 えりくらさん
この世の中には、何かを手に入れるため、ベースの上に置かれた誰かの手を躊躇なく踏める人間がいる。あまりに必死すぎて、手を踏み付けたことにすら気付かない人間もいるし、踏めば勝てることが分かっているのに、踏まれる方の身になってしまって結局踏めず逆に自分の方が怪我をしてしまう間抜けな人間だっている。
この漫画の主人公・国見比呂は、そんな間抜けな人間の一人だ。
「なんでもなかったんです。よけとけば」
でも、踏んじゃった方が得かな、なんて思っちゃったもんだから。
そこで踏める人間の代表格が、栄京の広田だ。彼は欲しい物を手に入れるため何かを犠牲にすることを躊躇しない。それはある種の強さだ。しかし、そうやって今まで手に入れてきたものが、本当に欲しかったものとは少し違ってしまっていたことに気付き、そしてもうそれを手に入れることが出来ないと知った時、彼は少し変わる。
それは本当に、そこまでして手に入れなければならないものなのか。
ガムシャラ過ぎて踏んでしまったことにも気付かない人間、それが橘英雄だ。彼のガムシャラさは、色々な人の思いを打ち砕いてきた。白山エンジェルスを追い出された木根、日本一の“三番”にならざるを得なかった中井、一年半後にやってきた思春期の現実に泣いた誰か。誰かの手を踏みにじったこと、事実としては知っている。しかし、英雄は振り返らない。奪われないために、勝ち続けるために、ただただひたすらにバットを振り続ける。これも強さ。
じゃあ、踏めば勝てることを分かっていても結局踏めない彼は。
甲子園、比呂と英雄の最後の一球、100%ストレートしかない英雄に対して高速スライダーを投げれば勝てることは分かりきっていた。事実、比呂は野田に対してスライダーのサインを出している。しかし、結局最後の最後で彼は英雄に対してスライダーを投げることが出来なかった。これは一年前に月形の手を踏めなかった一瞬の再現であり、勝負後の比呂の涙が勝利の涙でないことの証左だ。
放たれた矢がけして戻らないように、一年半ずれてしまった比呂の思春期は戻らない。ひかりが比呂に対して心から素直に「頑張れ、負けるな」と言えた時間は過ぎ去ってしまってもう二度と戻らない。比呂が英雄を三振に取ったとしても、同じだ。
それはただのボールゲームなのだから。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-01 03:49:52] [修正:2010-07-01 03:51:16] [このレビューのURL]
8点 alice@さん
あだち充はスポーツ漫画と見せかけて、いつも青春漫画だ。
どれもこれも、同じ顔で同じ展開で同じキャラ設定なのに、
飽きることなく読めるのは、主人公目線での書き方が上手いから。
H2は、タッチ、クロスゲームの中でも脇役が魅力的。
木根の熱投は涙無しに語れない。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-05-25 17:52:02] [修正:2010-05-25 17:52:02] [このレビューのURL]
8点 ZESKさん
「タッチ」「H2」「クロスゲーム」の中では一番H2が好きです。
他の2作に比べて、キャラ多く、その分様々な人間関係があるのがいいです。
野球の面では他の二作と違うのは、主人公が元々凄かった。
他はあだちワールドでしょう。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-05-01 01:19:13] [修正:2010-05-01 01:19:13] [このレビューのURL]
10点 げげさん
初めて読んだあだち漫画。
脇役が良い。
木根とか広田とか。
最後はあんまり好きじゃないかな・・・。
しかし10点。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2009-12-07 17:47:29] [修正:2010-03-24 20:10:10] [このレビューのURL]
7点 わんずさん
単行本で34巻という長さでも一気に読めてしまう
文字が少ないのがあだち漫画の特徴でもあるのでそれもあるかと思うが
僕がこの作品で感じたことは人間関係のやわらかさであったり、いざこざであったり、些細なことで始まる勘違いであったりと、その人の行動について考えされられてしまうところ
それを生み出す余白であったり、短い台詞のひとつひとつに、じっくりと、でも一気に読んでしまいたい気持ちになってしまう
最後が少し急ぎすぎた気もするので7点
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-03-16 23:14:40] [修正:2010-03-16 23:14:40] [このレビューのURL]
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