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8点(レビュー数:79人)

作者藤田和日郎

巻数43巻 (完結)

連載誌週刊少年サンデー:1997年~ / 小学館

更新時刻 2012-01-19 13:35:47

あらすじ 母を亡くした才賀勝は、自分が世界的家電メーカー「サイガ」の社長才賀貞義の愛人の子であることを知らされ、一夜にして 180 億円の遺産を受け継ぐ。

その代償として嫡子からその命を狙われることなり、逃げ出した先で出会った屈強な青年加藤鳴海。 そして、銀目銀髪を持ち、巨大な人形を操る美女「しろがね」。

この出会いが、三人の運命のからくりを動かしはじめる──

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この漫画のレビュー

10点 さぶさぶさん

 少年漫画という領域からは身体半歩分はみ出している作品。子供が読んで理解できるかどうかはともかくとして、作品としての価値は最高峰だろう。

 運命と呼ぶのが相応しいのか。
 まるで懸糸傀儡のように、翻弄されゆく登場人物達。
 登場人物は皆、残された者――そして読者に何かを残して退場してゆく。

 深い世界観や設定。交錯する人間模様。いくつか矛盾している点や不自然に感じるところがないわけではない。ないのだが――それらを笑い飛ばせるだけの力がある。
 キャラクター、と呼ぶのは不適切だ。そう思うほどに人物に背景がある。過去がある。願いがあり、相反する絶望を背負っている。
 それでも何らかの意味を手に入れ、彼らは笑うのだ。最後の瞬間に。

 前作「うしおととら」よりも画力は上達しているが、反面読みづらいと感じる方も少なくはないだろう。
 また、女性のスタイルが若干誇張され過ぎではないか、と感じることも事実である。
 しかし、それらに寄るところもあるのだろう。
 風圧を体感させるほどの圧倒的迫力、その喜怒哀楽が読者の元へ直に届くキャラクター達の表情――それらは、まとまっているだけの作品には存在し得ない、独自の魅力だ。

 心に直接届く言葉。
 刃物のように鋭いものもあり、水滴で岩を穿つようなじわじわと来るものもあり、握りしめた拳のような衝撃もあった。
 
 構成も素晴らしい。
 が、連載向き――特に週刊少年誌という分類――ではなかったろう。
 ジェットコースターの登りが緩やかかつ長過ぎる。コミックでイッキ読みする分には気にならないのだが、連載を追っていた人間には辛かったのではないだろうか?

 残念に思うのは中盤の盛り上がりが極大過ぎて、終盤にそれを超えることができなかったことか。盛り上がり方が逆ならばもっと一般的な高評価にも繋がったかも知れない。

 ハマる人はハマる。そんな言葉が何より相応しい一作。
 苦手な人が多くいるのも理解はできるが、私にとってはこの作品は最高のものだ。
 どうか食わず嫌いだけはやめてほしいと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-21 13:17:56] [修正:2011-02-21 14:18:34]

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