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7.5点(レビュー数:4人)

作者灰原薬

巻数15巻 (連載中)

連載誌月刊コミックバンチ:2013年~ / 新潮社

更新時刻 2014-12-14 07:09:15

あらすじ 藤原氏が朝廷の実権を掌握しつつあった時代。平安京の貴族たちの間では、その藤原氏の屋敷から夜な夜な下女が行方不明になるという事件の噂で持ちきりとなっていた。貴族たちは「鬼の仕業」と言い出し、その噂は帝の耳にも届くようになった。都の守護を務める在原業平は、帝の命を受け犯人捜しを始めるが、下女誘拐の犯人として自身の縁者である紀長谷雄が捕縛されてしまう。長谷雄の無実を証明しようとする業平は、捕縛の場に居合わせた長谷雄の学友・菅原道真に協力を依頼し、不承不承協力を約束した道真と共に犯人捜しを続けることになった。 捜査の甲斐あって下女の行方不明事件を解決した業平と道真は、以降も都で起こる怪奇事件を解き明かしていくが、次第に事件の背後に関わる藤原氏と伴氏の勢力争いに巻き込まれることになる。

備考 本作の監修は東京大学史料編纂所の本郷和人が担当しており、単行本には平安時代の文化・風俗に関する解説文を書いている。2017年第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。2021年3月時点で単行本の累計発行部数は100万部を突破している。

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応天の門のレビュー

点数別:
1件~ 4件を表示/全4 件

8点 朔太さん

[ネタバレあり]

平安朝時代の京都を舞台に巻き起こる怪奇事件と権力闘争が
メインテーマです。
在原業平と菅原道真がなかなかの名コンビぶりを見せます。
事件は鬼や物の怪などが原因とされますが、真相は人間たち
によるもの、道真の才覚によって科学的に解明されるので、
ちょっとした金田一少年のような名推理で活躍します。

事件の背景には、朝廷で勢力争いを繰り広げていた
藤原氏や伴氏といった有力貴族の暗躍もあって、
政治的な駆け引きも見ごたえがあります。
何といっても、ヤング道真のクールな眼差し、政治や
出世には距離を置き、将来は遣唐使になりたいという
現実逃避型の価値観で人間臭さを見せます。

一方、業平ら周辺の人間は、道真の才覚を認めつつ、
その才覚を公平公正な世の中のため、ひいては逃避したい
社会を変えるために活かすには、権力を持たねばならない
と緩く諭します。

才ある者の若いゆえの悩みがなんとも言えません。
単行本には、本郷和人氏による平安時代の文化・風俗に
関する解説文が織り込まれており、これも何とも
言えず格調高い作品にしています。
15巻まで面白く読ませてもらいました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2023-03-14 08:32:04] [修正:2023-03-14 08:32:04] [このレビューのURL]

8点 Scroogeさん

[ネタバレあり]

舞台は平安時代の日本。主人公は在原業平(ありわらのなりひら)と菅原道真(すがわらのみちざね)
世渡り上手なオジサン業平と世間知らずの天才道真、デコボココンビが都の怪異をスパッと解決!といった作品。

テーマに対する統合的なアプローチとそれを実現する漫画技術がすばらしい。
平安時代を描くとなれば、絵柄はうつくしいのが当然。
貴族は権力闘争や家柄、恋に苦しんで当然。
富と知恵と権力が集中する都。閉鎖的な社会で誰しもが苦しんでいる。
そんな中で人一倍利発な道真はどのような思いであったろう?
きっと理不尽に憤り、社会からの脱出を試み、しがらみの中でその知恵で人と自らを救っていたに違いない!という妄想を余すところなく娯楽漫画にしている。

キャラクターの作り込みが深く、平安時代に全く興味がない人でも
感情移入できる工夫がたっぷり詰まっている。オススメ。
やや地味な作品なので、まとめて一気に読むのが良いだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-11-17 10:04:02] [修正:2017-11-17 10:04:02] [このレビューのURL]

7点 そうすけさん

好色ダンディ在原業平と無愛想ちびの菅原道真が主人公の軽妙平安ミステリ。

一つ一つの事件のスケールが小さく、歴史漫画というよりは平安を舞台にした探偵ものという案配。
単行本で話の合間合間にあるコラムが面白い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-10-20 15:05:00] [修正:2017-10-20 15:05:00] [このレビューのURL]

7点 gundam22vさん

平安時代を舞台に探偵ものとして菅原道真と在原業平をコンビに据えた作品。史実でもこの二人が親友だったというのはこの作品で知ったところで驚きました。無愛想で頭がキレる道真とチョイ悪渋いオヤジとして描かれる業平の掛け合いが楽しい。時代考証の専門家が付いているので、リアルな雰囲気が良く出ているところも長所。絵柄はあまり好みではないが画力の高さも感じます。ただ一つ一つの事件がこの時代の限界という部分もあって、毎回人を犯人とするとどうしても地味になってしまっているのは残念な部分。だからこそ2巻で藤原摂関家との権力闘争要素も加えようとして来ていますが、史実でも分かる通りに敗れて終わってしまう部分なので扱いの難しさをどう乗り切るのか今後に注目したいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2014-12-14 16:18:24] [修正:2014-12-14 16:18:24] [このレビューのURL]


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