太陽の黙示録のレビュー
5点 DEIMOSさん
大震災によって日本が東西分裂した近未来の政治を描いた群像劇。
全体を通しての感想は、「無味乾燥」。震災で東西分裂、という設定自体はぶっ飛んでいてインパクトに溢れるが、その中で活躍する人間たちは極めて現実的。柳や宗像等、ある種のカリスマ性を付与したキャラクターが何人か出てくるが、ヒーローたり得るには能力が突き抜けていない。メタンハイドレート、日米中外交等、現実世界でも話題となる政治テーマを正面から描いている部分はリアリティがあって面白いのだが、裏を返せば、ワクワクドキドキする新鮮味に欠く切り口とも言える。
また、決定的な欠陥は、物語の主張がはっきりしないこと。親米か親中か、格差容認か格差拡大反対か、自由か平等か、善悪東西2項対立を提示しながら、この漫画は答えを与えない。あくまで空想の箱庭の出来事を淡々と見せていく。よって、頭の良くない大多数の読者からすれば、「で、結局どうすればいいんだよ」となってフラストレーションが溜まってしまう。キーチ、サンクチュアリ、デストロイ&レボリューションのような世直し漫画の方が痛快さを与えてくれる。
かわぐちかいじ作品全般では、非現実世界の中で政治や世の中の仕組みをリアルに描き出す。そのリアルの良し悪しということだろう。絵は完成形なので、文句はない。
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[投稿:2013-04-07 20:08:41] [修正:2013-04-07 20:08:41] [このレビューのURL]
3点 sin00さん
設定はいいとしても毎度のごとく作品の題材が同じで話を大きく描写しすぎ.作品を変えても絵柄が同じで人物が異なる役を演じているので違和感を感じるしマンネリ.
サバイバルのほうが好み.同作者の作品は面白くなるのかな面白くなるのかなと期待して読んでいても期待を超えるような面白さになった試しがない.期待するのに疲れた.
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[投稿:2012-02-19 01:55:43] [修正:2012-02-19 01:55:43] [このレビューのURL]
10点 左手さん
「日本人のアイデンティティー」
他の人のレビューでもあるように現代版三国志です。登場人物の名前を見れば、簡単に分かることですけどね。
大地震で日本が東と西に分かれ、中国とアメリカが日本を占領し、日本人が自分の祖国を失い、しかし日本人である誇りを持ち続けている人々の姿が主に描かれています。
先日の東日本大震災が起きた時、私が真っ先に思い浮かんだのがこの漫画です。同じ大震災で大打撃を受けた今の日本に海外から手厚い支援が多く送られてきています。これが太陽の黙示録の冒頭部分と私の中で被って、まるで現実で、これからの日本の未来を予言しているかのように思えます。
漫画では事実上日本がなくなります。しかし、多くの元日本人は日本の精神を忘れず、むしろより強く持ち続けている。国とは国土でありその上に人が立つものである。昨今の日本の国を想う力が弱まっているこの世の中に物申すように、もし日本がなくなってしまったら、その時日本人は日本人でいられるのだろうか、日本の心、日本人としてのアイデンティティーを忘れないでいるだろうか。
今の日本の状況と重なってみえるが、漫画はフィクションなので、現実にはあってほしくないと願うばかりです。
今、読むべき漫画はこの太陽の黙示録です。オススメです!
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[投稿:2011-04-15 15:43:33] [修正:2011-04-15 15:43:33] [このレビューのURL]
10点 はぼたんさん
9年前、読んで鳥肌がったったのを思い出します。
そして今回の震災。かわぐち氏は預言者かと思ってしまいました・・・。
政治・軍事・社会情勢を絡めた漫画を書かせたら、いま、氏以上の方はいないのではないかと思ってしまいます。
一番身震いしたのは台湾編ですが、このいわゆる「群雄編」はどの話もハズレはないと思います。トータルでは主人公から脇役にいたるまで人数は多くなりますが、どの人物もキャラがたってます。引き込まれます。
とにかくリーダーシップはなんたるかを教えてくれる漫画だと思いますが、
いま右往左往してる政治家・企業トップのみなさん、漫画と思って蔑まず読んでみてはいかがですか?
麻生さんは読んでるかな・・・。
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[投稿:2011-04-03 00:39:51] [修正:2011-04-03 00:40:42] [このレビューのURL]
10点 鈴森一さん
素晴らしい面白さです。「論より読むべし」で終わりです。
それではレビューらしくないので、かわぐちかいじ氏の他の代表作と比べて、この作品が優れていると思う点を考察してみました。
この作品でも、かわぐちかいじ氏の他の作品と同じように、軍事的政治的なできごとがどんどん起こります。
この作者の場合、軍隊などに興味のない人にはよくわからない軍事的でマニアックな展開が続いて、グダグダになることが時々ありますが、この作品に関しては、そういうところはほぼありません。
なぜなら、軍事的政治的な出来事に対する、指導者の思惑や感情がわかりやすく描かれているからです。
軍事や政治に明るくない読者でも、その出来事に対して各指導者がどんな気持ちでいるのか、ということは感情的に理解できます。
それなので、専門的で理解できない用語等が出てきたとしても、それほど気にせずに読み進めていくことができるのです。
ヒューマンドラマの部分が根底にあることが、この作品をものすごく読みやすくしています。
個人的に、かわぐちかいじ氏の最高傑作だと思います。
もちろん、エンターテイメント作品としても最高におもしろいです。
文句なしの10点です。
未読の方はぜひ読んでみてください。
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[投稿:2011-03-28 23:50:40] [修正:2011-03-28 23:50:40] [このレビューのURL]
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