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7.2点(レビュー数:44人)

作者真鍋昌平

巻数45巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:2004年~ / 小学館

更新時刻 2012-07-26 21:19:09

あらすじ 他の金融機関が見捨てた、返済能力に欠ける人間相手に暴利を貪る「闇金融」。そんな業者の一つカウカウファイナンスは、法定金利を遥かに超える「トゴ(10日で5割)」は当たり前、ギャンブル狂には1日3割もの高利で金を貸している。そして若き社長・丑嶋自ら陣頭指揮を執り、今日も徹底した取り立てで業績拡大に邁進する…。

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闇金ウシジマくんのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全44 件

8点 景清さん

[ネタバレあり]

不快である。実に不快な傑作である、

これまでも闇金を描いたマンガは多く、特に「ナニワ金融道」や「ミナミの帝王」などが有名だが、同じ闇金マンガでもこの「闇金ウシジマくん」は前者などとはかなり趣を異にするマンガだ。

まず、「ナニワ〜」と「ミナミ〜」はタイトルが示すように大阪が舞台となっており、いかにもな関西弁が乱れ飛びエゲツなくともどこか憎めない雰囲気があった。主人公達も人情を解する心があり、「ナニワ〜」の灰原は慣れぬ闇金業に苦闘する傍らで顧客である多重債務者の借金返済プランを考えてやったりもするし、「ミナミ〜」の萬田は善人では無いものの時折ブラックジャック的な活躍で金にはびこる悪人どもを成敗したりもする。読者がカタルシスを味わったり共感したりする余地があったのだ。

それに比べてこの「ウシジマくん」は、とにかく渇いている。人も街も殺風景で即物的、カタルシスなどあったものではない。
舞台は現代の東京、いわゆる下流格差云々が注目され始めた紛れも無い現代だ。獲るか獲られるかと問われれば躊躇せず獲るほうを選ぶ、と豪語する闇金のウシジマの行動には一切の迷いも人情も無い。そして獲られる者達にせよパチスロ依存症だのニートだのヒモだの…と、一様に情け無く溶解したような連中ばかりである。しかしながらそんな腐った連中であれやはりその末路は哀れに活写されているものだから更に始末が悪い。

このように非常に不快な話が多いのだが、一方で我々読者は本作を読んでまた安心する部分もあったはずだ。上記のように闇金に破滅させられる奴らの多くは世間的にも”下流”な、どこか別世界に思える人間達であり、「世の中下には下がいるもんだ」と思ったりもしただろう。どーせ俺は闇金のお世話になんかならねーよ、と。
しかし、現在ビッグコミックスピリッツ誌上で連載中の長編「サラリーマン編」は、そんな我々の”普通である安心”すら破壊してみせる。同誌のメイン読者層である20〜40代のサラリーマン層を仕事始めの毎週月曜日に暗鬱のどん底へ叩き込み、現代の閉塞感すら浮かび上がらせるイヤなイヤなイヤなこの物語は、しかし困った事にマンガとしてあまりに面白いものだから始末に悪すぎる。

全くもって不快な傑作である。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2008-04-08 22:32:49] [修正:2008-04-08 22:32:49] [このレビューのURL]

9点 freezetodeathさん

私はいつも思っていることですが成功した人の話を聞いても意味が無いと思っています。
なぜなら成功する人とは自分で考える人間だと思うからです。
しかし一般の方は成功した人の話に耳を傾けます。
人と同じ事して成功などするはずが無いのに。
そして成功する為の方法があったとしてもそれは教えてくれません。
教えれば成功者が増えるからです。
その点この漫画は借金するとどうなるかというのが書かれていて失敗した人の話を聞く事ができるのがいいと思います。
失敗した人の話はとても価値のある物なのです。
借金の恐ろしさをリアルに伝えていると思います。
バットエンドが多いのも当たり前です、闇金にまで手を出してハッピーエンドなどありえません。
なので面白さもありますが教訓的な意味合いも持ってるいる作品だと思います。
まあ読んでも自分より不幸な奴がいるとか作り話じゃんとしか感じる事ができなければそれはこの作中の人物になる可能性有りかもしれないですね。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-02-15 10:27:03] [修正:2010-02-15 10:28:19] [このレビューのURL]

5点 punpeeさん

ダメ人間やタチの悪いDQNがいっぱい出てくるという点に、エンターテイメント性を感じます。
バトル漫画における「次はどんな新しい敵が出てくるんだろう」という感覚で、
「次はどんなダメ人間orDQNが出てくるんだろう」というワクワク感があります。

読み手の日常がこういう世界から遠ければ遠いほど、
家のベランダから遠くの花火を見る感覚で楽しめるのではないかと思います。

たまにまったく無関係の一般カップル等がDQNにレイプされたり、電車内で遊び半分で唾を垂らされたり、
理不尽なシーンがあると不快にはなります。。。


なので基本的には上記以上でも以下でもない、暇潰しには良い作品だと思います。
しかし、コナンと一緒で、全体のストーリーに影響がある展開になると、緊張感が走ります。
特に主役のウシジマは結構ブレが無く、3部の空条承太郎に近いクールさと情熱、無敵チートを備えているキャラなので、
ピンチのシーンは見応えがあります。

また個人的に、この作品に出てくるC級グルメは、試したくなります。笑
あと、単行本のカバー絵が毎回似ているので、重複の購入には注意して下さい。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-12-05 21:32:30] [修正:2016-12-05 21:32:30] [このレビューのURL]

7点 いーらびさん

爽やかな気分には到底なれない。分かっているけど読んでしまう。

ここまで人間堕ちたくないな。
傍観者を気取っていても、常に恐怖が付き纏う。
誰でも紙一重でこうなり得るから。

駄目な人間は何故駄目なのか。
それを見据える冷静な目を、作中無形ながらに感じる。
描きたいことの土台がしっかりしていて、リアルで面白い。

とはいえ、底辺の描写が限りなく底辺だったり、
悪い奴がとんでもなく逸脱した悪だったり(いくらなんでもこんな奴いないだろ)、
たまにオーバーに感じるけど、出来は秀逸。

今の世の中には、あって然るべき漫画。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-07-29 15:49:15] [修正:2013-04-10 10:38:08] [このレビューのURL]

9点 かずーさん

 
闇金融の社会をリアルに描く作品。基本的に1テーマ完結物語。
思わず嗚咽しそうなほど、グロテスクでリアルな内容が展開される。

ハッキリ言って主役とされるウシジマは、社会のクズであり凶悪犯罪者。
なのにギャル汚、宇津井や板橋といった、いわゆる 「被害者たち」 の方に
嫌悪感を感じてしまう。

これは作中のギャル汚や宇津井など、テーマ主役たちが持っている自分の
弱さや虚栄、ちっぽけな自尊心や虚無心などが、自分の中にも存在すること
への 「恥ずかしさ」 ではないかと感じる。正直怖さをも感じてしまった。

この漫画を受け止めるか、簡単に突き放すか・・・。

個人的には社会へ出る前にこの漫画を読み、しっかりと受け止めることが
出来なければ、作中の悲惨な人達と同じ運命をたどる可能性があると思う。

逆に考えればこの作品は、見栄や虚栄を捨てて受け止めさえすれば、自分の
弱点をしっかりと見つめ直すことが可能な、秀作であると思う。

面白いが本当に怖い漫画。

私は決してサラ金には手を出さないし、ギャンブルにものめり込まない。
そうしっかりと今は言い切れます。

「物事の考え方が変わったりするほどの力を持った作品」

この評価で間違いないです。
 
いやはや、ある意味本当にスッゲー漫画。劇薬だ。
子供には高校入学か卒業のタイミングで絶対読ませよう・・・。
 

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-02-17 17:27:42] [修正:2010-02-17 17:40:26] [このレビューのURL]

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