おおきく振りかぶってのレビュー
8点 ハカタメンタイコさん
いま連載中の野球漫画で、文句なく一番面白い作品。
ストーリーは典型的な少年の成長物語であり、最近の「うんちく野球漫画」に分類される作品だろう。
野球理論をつめこんだ漫画はもう珍しくない。が、この作品にはほかの野球漫画とは明らかに異質な点がある。
この作品の最大の特徴は「グラウンド視点」で描かれているということだ。絵の構図がまず独特。ホームベース方向から見た内野、投手方向から見たバッターといった、つまり野球中継のような絵が比較的少なく、逆に野手から見たグラウンドがふんだんに描かれている。特に地面が広く描かれ(つまり目線がより低い)、ゲームの経過を示すスコアボードがほとんど描かれない。
一般の野球漫画はしょっちゅうスコアボードが描かれ、読者にとっては「スタンド視点」で話が進むのが普通だが、この作品では自分もグラウンドに立ち、まるで一緒にプレーしているかのような臨場感が味わえる。自分は元球児だが、こうした風景はグラブをもって腰をかがめた時に見える風景をとてもリアルに描いていると思うし、選手の心理にスポットを当てながら進行する作品のトーンにもよくマッチしていると思う。
また解説者的な役割をする人がいないのもいい。プレーの説明はほとんどなく、基本的に各選手が思ったこと、判断したことのみが語られる。甲子園観戦に慣れた人には物足りないかもしれないが、練習試合や地方大会序盤での雰囲気の出し方は本当にうまい。
現時点では、高校生の部活動としての野球をうまく描いており、本当にささいな出来事の積み重ねこそが青春なんだなあと感じさせてくれる。野球漫画にもまだまだ未開拓な部分があるということを示した良作である。
ただ今後、部活動が大舞台を迎えたとき(迎えるかどうかわからないが)、この「草の根的視点」がどうなるのだろうか。このあたりを注目していきたい。
いちおう採点の余地を残すということで、現時点では8点を献上します。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2006-11-06 18:22:51] [修正:2006-11-06 18:22:51] [このレビューのURL]
5点 群馬のイチローさん
他の方も、おっしゃていた通りに野球を通して成長していく作品なので、野球を知らない人でも読んでも問題はないと思います。
〇良い点
エースがストレート一本で通す非現実的な漫画ではなく、現実的な漫画。
主人公がエースであるようにも見えるが、野球部全員が主人公の漫画である。
女性の作者なので、描写が丁寧に描かれている。
〇悪い点
高校球児ということもあって基本は短髪(坊主が基本)である為、絵の描きわけでキャラが分かりにくいところが多い。
コマの使い方が悪い時が、たまにあり内容が「?」になることがある。
〇巻が読み終えて、次の巻へ行くときにも「?」になることがある。
〇どちらとも言えない点
エースが根暗でウジウジしているので好き嫌いが分かれる作品かもしれません。
一試合が長く描かれているので、読むのにダレやすく飽きてくるかもしれません。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2014-11-27 21:02:59] [修正:2014-11-27 21:02:59] [このレビューのURL]
5点 asd5さん
高校野球漫画というより、「野球少年達の人間成長を見守る漫画」ですね。
彼らが時折成長の片鱗を見せてくれるのですが、そのときが一番気持ちいい。
作者の目線としても、女性監督を通じた母性の目があるんじゃないですかね。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2013-04-14 15:42:59] [修正:2013-04-14 17:34:20] [このレビューのURL]
5点 落とし穴さん
良くも悪くも女性が描く漫画かと。
今までの野球漫画になかった主人公、描く視点などは素晴らしいが、
登場人物がほとんど男である野球漫画において
女性が描くと心理描写などはやはり妄想の域を出ない。
実際、男で野球をやってた自分にとっては
『そんなこと思わねーよ』とか『そんなこと言わねーよ』
とツッコミたくなる場面がたくさんあった。
あと、登場人物が全員人の心を的確に読みすぎ。
何で他人の考えがそんなに分かるんだ?
面白いところもあるけど
イライラするところも多い漫画。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-04-12 16:47:47] [修正:2011-04-12 16:47:47] [このレビューのURL]
8点 ジブリ好き!さん
勝利の際に大喜びするでもなく、ひたすら淡々と進んでいく野球漫画。
かといってテンポが速いかといえばむしろ遅い。試合に3巻以上かけるのは当たり前。また日常的な部分もかなり丁寧に描いている。
それでも個人的に面白いと思うのは、従来の野球漫画のような暑苦しさがないからだと思う。勝っても騒がない淡々としたテンポや、女性作者の画、恋愛のないストーリーに、主人公の武器が速球ではなくコントロールとスローボールという珍しい設定が、一切の暑苦しさを排除してくれているのだ。
高校野球らしい戦略野球、スモールベースボールを女性作家がここまで描いているのは凄すぎる。
主要キャラ以外のキャラが薄く、ピッチャーキャッチャー田島(4番)くらいしか感情移入できないのが難点かもしれない。でもそれも巻を重ねるごとに徐々に解消されつつある。
くよくよな主人公と強引な捕手、2人の極端な性格は葛藤と成長の材料。
二人が心を通わせ、真のバッテリーになるまで、長い目で見守ろうという心持でないと、この作品は辛いかも。
(2010年7月、最新15巻読了につき更新)
リアル志向のくせに綺麗すぎるという意見があります。
全くもってその通り、確かにたばこなし、反抗なしで綺麗すぎる。15巻では特に顕著。
でもそこが良いんです。
青春全部つぎ込んで、生活全部野球に捧げて、真っ直ぐで素直でモチベーション高く、親の理解・協力も万全。
こんなチーム、マジであったら1年だけでも確かに強い。
でもこんなチーム、どこにもあるわけないんすよ。
つまり、この作品、試合や練習法とかはリアル風味に仕立ててるけど、根本部分は漫画らしい「ぶっ飛んだ」設定なんです。
漫画の醍醐味、「虚構だからこそ楽しめる部分」をしっかり残してる。
というかむしろそこから出発させて、ただの超人スポーツ漫画にならないよう理論だった努力を付け加えたら綺麗になりすぎたって感じなのかな。
綺麗すぎて本格派じゃないって言う意見は確かに最もだけれど、じゃあルーキーズが非の打ち所なく満点、ってわけでもないはず。
要するにどちらも漫画らしく一点に突き進んだ作品で、かたや「不良の成長」を、かたや「真っ直ぐで理想的な野球生活」を描いたわけです。
だから個人的には、この漫画にはどこまでも綺麗であり続けてほしい。
それがこの漫画の楽しみ方だから。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2009-12-17 23:24:44] [修正:2010-07-12 00:51:16] [このレビューのURL]
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