カムイ伝(第一部)のレビュー
10点 朔太さん
漫画が文化の一つとは誰も認めなかった時代に、白土三平の
孤独な試行錯誤がありました。
50年以上の月日が経って、サブカルチャーとしての漫画が
確立された今、同じ視線で評価を与えることは難しいです。
彼らの時代背景を考えれば、娯楽としての作品作りを
目指していたはずであり、決して高尚な歴史小説まがいの
作品を志向していたはずもないでしょう。
商業的な成功を目指していたはずであり、雑誌の廃刊を
最も恐れながらの活動であったはずです。
にもかかわらず、社会の底辺にある問題提議や深淵な
人間の営みの不可思議さ、いわば曼荼羅模様の世界感を
表現し、品格ある文学作品に仕上げています。
壮大な大陸の開拓者でありながら、先駆的な求道者を
連想させる作者に頭が下がる思いです。
数百年後の今に残る商業的絵画が人類の資産と呼ばれる
ように、カムイ伝もまた後世で同様な評価を得るように
なるように思います。
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[投稿:2017-11-07 18:01:01] [修正:2017-11-07 18:01:01] [このレビューのURL]
9点 torinokidさん
まさに歴史に残る名作。
近年の研究では江戸期の身分制は本作品ほど
厳格ではなかった可能性も示唆されているが、
名作であることに変わりはなかろう。
時代マンガの頂点の一つ。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-11-29 18:08:05] [修正:2010-11-29 18:08:05] [このレビューのURL]
8点 parkhabioさん
漫画というよりは、社会・歴史の教本の様な作品。
「火の鳥」を一つの時代に絞って、さらに、差別や封建制度・社会に対し、特定の思想を持って描いた感じ。
古い漫画なので万人受けかどうかは疑問だが、間違いなく漫画の歴史やカルチャーを作ったマイルストーンだし、白戸三平は漫画化の域を超えた「クリエイター」と言って良いだろう。
漫画にリアリティ(とゆーか、解説?)を取り入れる手法は、白戸作品の影響が大きいとか。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-06-01 18:06:08] [修正:2010-06-02 02:10:34] [このレビューのURL]
6点 ガクちゃんさん
町道場の師範を道場破りの流れ者があっけなく破る。
「しょせん道場剣法……実戦の役にたちもうさぬわ」
流れ者もその後、鎖鎌の尾行者にこれまたあっけなく敗れる。
とかげを山鳥が喰らい、山鳥をいたちが狩り、
しかし獲物はテンに横取りされる自然の摂理になぞらえる
こういった丁寧な映画的描写は最近の漫画ではほとんど見られなくなってしまった。
作者は壮大なテーマのまだ一断片しか描いていないという。
ならばそのテーマとは何か?
差別の本質とか、生きる厳しさという事ならすでに描ききっている。
それでは???
自分が思うに人が生きていくうえでの営みそれぞれの曼荼羅図を描ききろうとしているように思える。
すごい作品というのは認めるが、それを読むほうはつらい。カムイ伝と言いながら、内容は正助伝だったり、他の人物だったり。
曼荼羅故に飛躍がなく、息苦しい。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2009-03-22 10:46:24] [修正:2009-03-22 10:46:24] [このレビューのURL]
6点 Blasterさん
壮絶。引き込まれる。ただ単に面白いのとは違うが、読んだら絶対よかったと思える作品。無理強いするほどではないが・・・
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-07-24 22:23:53] [修正:2008-07-24 22:23:53] [このレビューのURL]
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