スプリンターのレビュー
7点 朔太さん
スポーツ漫画と呼んではいけないと思う不思議な漫画です。
というのも、主人公は恩ある義父のためにビジネスの世界
でも成功者になったり、愛憎を絡めた展開だからです。
これも9秒台で走れば感じる「光の世界」の魅力は
ビジネスの成功以上だと説明するための伏線だった
とも思えます。
スポーツを主題にした少年漫画は、一定の定型があって、
努力しバトルに勝つプロセスをハラハラドキドキで楽しむ
ものですが、この作品ではバトルはありません。
戦う自分もおらず、「光の世界」に取り憑かれた者たちが
描かれているだけです。
「100mを9秒台で走ることのできた人間は、宇宙を
翔べた人間の数よりはるかに少ない。10秒の壁をうち
破ればそれを成し得た人間にしか体験できない、
9秒台の宇宙というものがきっと存在するんだ。」
そして迎える最終話では、一握りの天才たちだけが
感じる世界が表現されます。バトルのないスポーツ
漫画という分野では先駆的作品ですね。
その後の曽田正人の作品にも同じモチーフを感じて
いますので、想像でしかありませんが、少なからず
影響を与えたのかもしれません。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2017-01-30 20:37:53] [修正:2017-01-30 20:37:53] [このレビューのURL]
6点 群馬のイチローさん
主人公に重点を置きすぎている作品だと思います。
サブキャラはあくまで主人公の踏み台としてフェードアウトという感じは好きになれないが、そのぶん主人公の行く末がどうなるのかという期待感を持って見られる作品だと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2014-03-09 22:06:17] [修正:2014-03-09 22:06:17] [このレビューのURL]
7点 s-fateさん
ただ単に短距離走って青春してるモノではなく、異常といっていい育ちと育てられ方、周囲に渦巻く策謀、色恋沙汰あり、そして100m走、といった感じです。この作品には狂気が描かれていると思いますが、他の作品のわかりやすい狂気とはちょっと違います。「神の領域」への憧憬以外にも狂気が潜んでいる気がします。そこが気になり妙にあとを引く作品です。
絵がちょっと独特のアクの強さがありますが、今のマンガに慣れてしまうとこれだけ詰め込んで14巻で終わりという濃さは魅力です。つい一気読みしてしまいます。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-11-30 00:38:23] [修正:2010-11-30 00:38:23] [このレビューのURL]
7点 コステロガーデンさん
神の領域がすぐそこに見えます。
小山作品は主人公含め、
登場人物の性格や行動にだいぶ癖がある為、
苦手な人も多いと思います。
この作品も変に戯ける主人公ですが、
物語りの内容は抜群によかったです。
地味目な100メートル走を題材に、
ここまでドラマチックに描けたのはすばらしいと思います。
スプリンター達の感覚が研ぎすまされ、
神経が高ぶってゆく描写などは、
経験した事のないものなのに、
恐いくらいに共有できてしまいます。
ものすごく気になる終わり方ですので、
読む場合はその覚悟で。
◇この作品の個人的価値=全14巻で 4000円也。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2005-06-07 22:18:43] [修正:2005-07-03 22:47:16] [このレビューのURL]