「znooqy」さんのページ

総レビュー数: 9レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年03月24日

即視感だらけでした。

エコエコアザラクやアウターゾーンと同じ系統。
題材が石縛りなだけに、話の幅が狭く感じる。

実在する石のみでこの手の話を作れたら面白いのになぁ…と。
ギャラリーフェイクや七色インコのように。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-19 02:41:57] [修正:2011-10-19 02:44:24] [このレビューのURL]

羽海野チカの底力をとくとご覧あれ。


一番目に収録されている6ページのフルカラー短編作「冬のキリン」にはただただ圧倒される。
無駄の無い、それでいて多くの表現が詰め込まれた豊潤な一滴が、読了後に頭の中で鮮やかに広がっていく感じだ。

羽海野チカは代表作のハチミツとクローバーでも見せた(魅せた)シリアスな詩的表現とコミカルな娯楽表現の両輪を束ねあげる構成力を持っている。
それが羽海野チカの世界を6ページで表すことを可能にした。
1コマ1コマの意味は勿論、登場人物の表情・造形まで作意を感じてしまう。

(ネタバレ?)
例えば、健康的なパパに対し色素の薄い草太。息子には病気で逝去した母親の面影があり、病弱なところはそっくりだ。草太という名前はきっと元気に育って欲しいと言う両親の思いが込められているに違いない。アフリカの大地に育つ草を見てパパが提案したのだろう。
そしてテーマでもある冬のキリンという場違いな存在。遠くを見つめるキリンは暖かな故郷に想いを馳せているようであり、それを草太の視点でパパの背中に重ねている。草太が「どうしてこのキリンはここにきたの?」という問いの答えをその姿に重ねてしまう所など、悲しみがこみ上げてくる。


何度も書くが、たった6ページでこの作品を表現したことが素晴らしいと感じる。テーマ、構成、絵的表現、言的表現。それらが互いに補完しあうことでできたフォーマットであり、読み手の中でそれぞれを結びつけることでこのぼかされた世界は6ページ以上に膨らんでいく。


そして主軸のテーマも良い。もやもやしたものが心に残るが、私の場合はそれが心地よい余韻となって、本を手離したあともその世界に浸り続けることが出来るのだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-19 02:14:16] [修正:2011-10-19 02:14:16] [このレビューのURL]

(追記)
2011年10月12日
ご冥福をお祈り致します。



素材は面白いのだが全体のバランスを欠いている。
キャラクターとストーリー、話言葉と絵に感じる不協をどうしても拭えない。

あらすじとしては新人女性教師が担当するクラスで宗教が立ち上がる(立ち上げられる)というものだ。小学生という多感な時期に「奇跡」を見せることで「羨望」から「畏怖」を経て「信仰」に至るというプロセスは面白い。冒頭で「充足」から「崩壊」に向かうことは明記されており、それが外圧によるものか分裂によるものかはこれからのお話というわけだ。

残念なのは核となる登場人物の言動だ。
新人教師は経験不足ということもあり、宗教を立ち上げようとする生徒に振り回される。時に協力してしまい、自分の行いを自問している。
つまりヌルイのだ。話の本筋に関わる唯一の大人として、常識や抑止といった社会側から切り込むのかと思いきや、結局は懐柔されている。これでは傍観者以下のご都合主義のお手伝いさんでしかない。

もう一人、同級生を教祖に宗教を立ち上げようとする小学生の言動も違和感を覚えてしまう。劇場型と言うべきか、大仰な言回しに大胆な行動。本当に小学生かと呆れてしまう。

同作者のSWWEEETでも感じたことだが、(大変失礼だが)漫画じゃなく小説を書いたほうがいいのではないかと思う。所々の表現にグッとくるだけにもったいなく感じる。
「思えばあたしは『責任』とか『プレッシャー』とかが精液を飲むのと同じくらい(つまり何より)苦手だったわけで…」(第1話より)
この表現は好きだが、なぜこれを小学生に振り回される頼りない女性教師に言わせるのか。いっそ処女で世間知らずの設定にした方が今後の展開でもいくらか話が通じるのに。

こういったものが随所で目に付き、そのせいで「あぁフィクションですね(悪い意味で)」と冷めた目線でしか読めなかったのが残念だ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-24 00:57:49] [修正:2011-10-12 14:22:33] [このレビューのURL]