「kagehiens」さんのページ

総レビュー数: 11レビュー(全て表示) 最終投稿: 2012年03月08日

最初は、「なんか編集部が力入れて押してきてる作品だなー」ぐらいにしか思わなかった。

そしたら、なんか重い設定出してきて、「あぁ、これは設定をさばききれなくて空中分解する可能性があるな」と思って見てた。

しかし連載3年目ぐらいに入ったあたりでも一向に空中分解する気配がないので、「これはヤバい作品かもしれない」と思うようになった。

さらに9年目ぐらいに入ると、最初から出てて、かつ特につながりがあるとは思えなかった伏線が、あれよあれよという間に話の本筋に飛び込んできて、「毎号毎号鳥肌ヤバい」状態になった。

ところで、漫画作品では話を非常に盛り上げることに成功していても、着地で失敗する作品が非常に多い。
なので、この作品の終盤を読んでいたときは、常に「無事に完結してくれ・・・!!」という祈りの気持ちを持って読んでいた。

最終話を読み終えたときには、「日本の漫画史に大きな節目ができたな」というのが掛け値なしの感想だった。
なにせ、思いっきり盛り上げたストーリーを着地させるだけでもすごいのに、この作品は何か人間世界の真実に通じるものを中に包含しながらそれをやってのけたのだ。


この作品は長期間にわたる連載だったために、人によっては初めて読んだときにすでに巻が進んでしまっていて、とっつきにくい印象を持つようなこともあったのではないかと思う。

しかし幸運にも興味を持って読み始めることができた人は、序盤から何度も反芻しながら読むことで大きな感動を得ることができる筈である。「きれいに完結した大作は?」と聞かれたら間違いなく筆頭にあげられるべき作品。

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[投稿:2012-08-03 01:48:21] [修正:2012-08-03 01:48:21] [このレビューのURL]

続刊をさっさと出せぇぇぇぇぇぇ!!

とまず叫んでおいて。

社会的な意義はさておき、完成度としては画竜点睛をかく感が拭えなかった「寄生獣」「七夕の国」などの話題作・問題作を経て、鬼才・岩明均が満を持して世に放つ歴史スペクタクル大作!!そんなのがつまらない訳がない。実際、文句なしに面白いのだが、本当に完結するのだろうか、と傍でみていて心配になるのもまた事実(期待を満足させる形で完結できたなら10点をつけるべき作品である筈)。

最近、アフタヌーン誌が本屋に並んでいるのを見ると、ヒストリエが載っているかどうかを確認してから購入するかどうか決めるというのが通例になってしまっている。

作品の内容以外のところで文字数を使ってしまったので本題を始めると、この作品は「あなたはアレキサンダー大王、アリストテレス、エウメネスが活躍していた時代を躍動感をもたせて想像できますか?」という作者の挑戦状だと感じられた。

普通、名前は知っていても、具体的な足跡をたどってイメージを描いてみたりしないし、エウメネスなんぞに至っては名前も普通は知らない。大王の書記官とかマニアックすぎだろうと(私も勿論しらなかった)。

しかし、作者はそれらの人物が生きていた時代の痕跡をたどり、(多少の脚色も交えて)ダイナミックに描き出しているのである。その凄さと言ったら、描かれているすべてのエピソードに抒情詩か何かの伝承があるのかと思ってしまうほどで、全編にわたって妙な説得力があふれているのである。

まだ未完の作品なので、語れることも多くはないが、「完結さえすれば」歴史漫画の金字塔になることは間違いない。

まだ読んだことのない人は連載が無事に続いているうちに全巻購入して、歴史(漫画)の立会い人になる機会を逃すべきではないと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-03-08 00:59:55] [修正:2012-03-08 02:23:30] [このレビューのURL]