「kagehiens」さんのページ

総レビュー数: 11レビュー(全て表示) 最終投稿: 2012年03月08日

ある意味で空前絶後な作品でした。設定にはいくつも流石にそれはないわと思ってしまうことろがあるにもかかわらず、手に汗握ってしまう試合展開、
異常に書き込まれた背景、ゾクッとさせられる心理描写、etc・・・。

また、練習の科学的根拠のウンチクが多いので、カンフー映画を見るとパンチの練習をしてしまう人なら、この漫画を読んだ後に何かのスポーツトレーニングがしたくなると思います。

ただ、すごい漫画という印象は最初の数巻どまりで、そのあとはちょっとだれてしまっているように思われてしまうことが多いようです。
2012年3月現在、また次のピークに向けて展開が着々と盛り上がっていっているので、ある意味読み始めるには今は良いときかも?

あと、他の人も書いていますが、女性視点なんだろうな、と思うことが多々あります。母親、女教師、マネージャー、その辺りからの視点っぽいと思える描写がときどきあって、それがこの漫画をより一層特徴づけているような気がします。
スポ根はちょっと・・・、というような人のほうが楽しめる漫画かもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-03-11 02:40:51] [修正:2012-03-11 02:40:51] [このレビューのURL]

続刊をさっさと出せぇぇぇぇぇぇ!!

とまず叫んでおいて。

社会的な意義はさておき、完成度としては画竜点睛をかく感が拭えなかった「寄生獣」「七夕の国」などの話題作・問題作を経て、鬼才・岩明均が満を持して世に放つ歴史スペクタクル大作!!そんなのがつまらない訳がない。実際、文句なしに面白いのだが、本当に完結するのだろうか、と傍でみていて心配になるのもまた事実(期待を満足させる形で完結できたなら10点をつけるべき作品である筈)。

最近、アフタヌーン誌が本屋に並んでいるのを見ると、ヒストリエが載っているかどうかを確認してから購入するかどうか決めるというのが通例になってしまっている。

作品の内容以外のところで文字数を使ってしまったので本題を始めると、この作品は「あなたはアレキサンダー大王、アリストテレス、エウメネスが活躍していた時代を躍動感をもたせて想像できますか?」という作者の挑戦状だと感じられた。

普通、名前は知っていても、具体的な足跡をたどってイメージを描いてみたりしないし、エウメネスなんぞに至っては名前も普通は知らない。大王の書記官とかマニアックすぎだろうと(私も勿論しらなかった)。

しかし、作者はそれらの人物が生きていた時代の痕跡をたどり、(多少の脚色も交えて)ダイナミックに描き出しているのである。その凄さと言ったら、描かれているすべてのエピソードに抒情詩か何かの伝承があるのかと思ってしまうほどで、全編にわたって妙な説得力があふれているのである。

まだ未完の作品なので、語れることも多くはないが、「完結さえすれば」歴史漫画の金字塔になることは間違いない。

まだ読んだことのない人は連載が無事に続いているうちに全巻購入して、歴史(漫画)の立会い人になる機会を逃すべきではないと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-03-08 00:59:55] [修正:2012-03-08 02:23:30] [このレビューのURL]

連載すると休刊するというもっぱらの噂の漫画家、伊藤勢が唯一複数巻の連載で完結させられた作品が本作である(いや、噂にもならないか・・・)。

モンスターコレクションというカードゲームのコミカライズだったはずが、蓋を開けてみれば、「斬魔剣伝」と「ドラゴンロアーズ」を足して2で割ったようなオリジナルファンタジー冒険活劇に。

作品中に出てくる数々のダークファンタジー的にそそる設定は、ゲーム公式的に本当?と聞くことは多分タブーで、スルー力(ちから)が試されるが、独立したファンタジーアクション作品として見てみれば、かなりレベルは高い。

濃い目の絵柄が好みな人であれば、間違いなく6巻一気に手に汗握りながら読破してしまうだろう。

この連載の後、コミックドラゴン誌で上述の「斬魔剣伝」の続編(?)がスタートしたのも、売上はともかく本作が入魂の出来に仕上がっていた事を編集部がやや高く評価したからだと想像するのは的外れではないと思う。

余談ながら、この人にD&Dモノのストーリー漫画とか、ぜひ描いてほしいものだ…。ニーズがニッチすぎるのでさすがに無理だろうけど。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2012-03-08 01:33:44] [修正:2012-03-08 01:33:44] [このレビューのURL]

岩明作品の中でもっとも表向き平和な作品だと思う。

しかし題材が身近なだけに、意外なほどに読者の「考え方」にアプローチしてくる。そこへ持ってくると、バトルを伴う後年の作品だと読者は距離をおいて読める分、安全地帯にいるといえるかもしれない。

ただ、話題作となった「寄生獣」より執筆が前という事もあり、作者の議論を呼ぶことを厭わないような思い切りはこの作品にはまだ見られない。

青少年(男女)が主人公の作品の王道として、作品中での成長も描かれており、連載全体のまとまりは岩明作品の中で一番上かもしれない。

特殊な例に過ぎないかもしれないが、読み終わえた後の私の内心は、「これは萌えか?萌えなのか?」であり、しかも長期にわたって継続したことをここに記してレビューを終えたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-03-08 00:29:14] [修正:2012-03-08 00:29:14] [このレビューのURL]

全力で風呂敷を広げて、全力で畳むことに成功した稀有な作品。

この作品の後、10年以上に渡ってそんな作品が発表されなかった(と私は思う)ことから如何に困難なことを成し遂げた作品であるのかということが言えると思う。

話によっては、舞台設定がまさに昭和の終わり頃のものがあったりするので、90年代より後にうまれた人はのめりこみにくい話もあるかもしれない。

しかし、何を足す必要も、何を引く必要も感じさせないクライマックスまでの演出の完成度の高さは、漫画史において堂々たる存在感を示している。

最後に付け加えて言うなら、この作品は、妖怪を多く登場させてそういったキャラクターが好きな人を惹きつけるだけにとどまらず、脇役を含めた色々な登場人物たちの口を通し、己に恥じない生き方とは何かということを読者に考えさせる名作である。読み終えたならばぜひ自らの次の一歩を踏み出す歩幅と方向をじっくり検討して欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-03-08 00:13:02] [修正:2012-03-08 00:13:02] [このレビューのURL]