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雑誌掲載で苦労した「ディエンビエンフー」の真第三部、最終章という感じの位置付け。エンディングに向けて最短距離で進みます。第二部(7ー10巻)で厚みが出たものの、やや迷走・中だるみな感じがあったので、リセット的に本線に戻したのは成功でした(スタート時の主人公が明るすぎるが元々そういうキャラだったので上手くつながった)。

何度も描かれる悲劇的なエンディングをそのままで終わりとするのも、変えるのも難しい中で上手く着地したと思います。
宣伝だと第一部(6巻)まで、最悪本作からも読めるとされていますが、積み重ねやリンクする箇所が多いため、第二部まで既読であることは必須でしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-24 04:55:29] [修正:2018-09-24 04:55:29] [このレビューのURL]

ベトナム戦争という存在は知っていても詳細は知られてない題材、陰惨はどうしようもないが、ポップ感がある絵柄とキャラクター、センスある台詞回し、異色な歴史作品だと思います。
一話冒頭で衝撃的な結末を先に提示、ときに未来のシーンを挿入する手法も引き付けがありました。

ただ、前書きにある荒唐無稽さをもって逆説的に真実を描くという試みはある程度成功しているとは思いますが(作中の台詞、付録のアオザイ通信で知識的なのも説明されている)、個人技を超えた超人バトル連発にはやり過ぎとしか思えなかったです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-24 04:42:06] [修正:2018-09-24 04:42:06] [このレビューのURL]

世界を転々とするボディーガード集団によるアクション作品。途中からテンプル騎士団、不死軍団などSFに入ってしまったのが残念(伏線皆無だった訳ではないが)。闇組織とか出てくるにしても、そこまでは入らないで調子を保って欲しかったです。それまでは緊張感のあるミッション、近年の国際問題の勉強にもなって、熱く濃い作画や作風でかなりの良作でした(シリア編は終わってみれば逆に勿体ないくらいの出来)。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-23 08:41:33] [修正:2018-09-23 08:41:33] [このレビューのURL]

10点 赤龍王

「項羽と劉邦」を漫画化した作品です。
項羽、劉邦はもちろん、韓信、鯨布、陳勝らの群像劇が、エネルギッシュに、テンポよく描かれています。

この漫画は、私が小学生の時に、少年ジャンプで連載されていました。
当時は小学生なので、よく理解できない内容が多々あり、大人の漫画という印象でした。
それでも、「おもしろい」と思って読むのを楽しみにしていました。
ただ、当時、私は毎週ジャンプを購入できる環境にはありませんでした。
気づいたら、赤龍王の連載は、いつのまにか終わっていたのです。

話の続きは、ずっと気になっていました。
そして、成人してから、改めて全巻を入手し、読み直しました。

読んでみて、おもしろさに圧倒されました。

あきらかに大人向きで、少年コミックの内容ではありません。

逆に言うと、大人の鑑賞に耐えうる作品です。
(それでいて、当時小学生の私の心も捉えていました。すごい・・・!)

今や入手困難な本ですが、ぜひ、多くの人に読んでもらいたいと思っています。

歴史に興味を持つきっかけにもなるので、学校の図書室に置いてほしいくらいです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-21 19:47:44] [修正:2018-09-21 19:47:44] [このレビューのURL]

7点 MAJOR

[ネタバレあり]

野球に人生をかけた男の生き様を描いたと言えば聞こえは良いが、その長さ故に必然的にだれる部分も出てくるわけで。
野球選手と言えど、人生全てが見せ場な訳ではなく、特にプロになってからは盛り上げ方の引き出しがグッと狭まった気がする。
特に、毎度同じようなことをやらかして窮地に陥る吾郎の成長の無さには辟易する。

それでもやはり、1つの作品の中で、本田(茂野)吾郎の野球人生を最期まで描ききったことは称賛に値すると思う。
最後の最後、打者転向した吾郎のあのシーンはまさしく「かっこいいーーー!!」としか言いようがないのだ。

個人的には、少年漫画でこれをやってのけたことは本当に見事だと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-09 14:03:15] [修正:2018-09-09 14:04:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

別の漫画にあった
「誰かが痛い(つらい)思いをしてるからって自分は痛くない(つらく)なんて理屈は無い」
というセリフ。
これを作者に、主人公に言わずにいられない作品。

そもそも主人公が、
『危険だからあんな男に気を許すな。現に親友も被害に遭った!』
と注意したのに対しヒロインは、
『私はそんな男に気を許さない!』

と言ったそばから、危険分子が嘘泣きしたら全面的に彼氏を裏切り、嘘までついて『気を許さない男』と密会デート。
のこのこ家まで付いて行って、薬飲まされて裸にされ写真を撮られて脅迫され、散々いたぶられた挙句に屈辱を受け、レイプされる。
その後は主人公に対して暴言を吐き散らし、レイプ犯を賛美する。

ヒロインが救いようが無いバカだが、被害者なのはわかる。
しかし、それは自業自得でしかない。主人公には何の落ち度も無い。
なのに一方的に『もう向こうから別れを切り出させよう』として暴言を吐くことが許されるのか?って話。

主人公はあくまでも『悪いのは自分』という思いに囚われる。
作者はそう仕向けるために、周りがそう追い込ませる。
友人は何故か裏切り者のヒロインを擁護し、主人公の家庭教師の女はヒロインの裏切りに対し一切言及しない。
あくまでも『ヒロインはつらい思いをしている』の一点張りだ。

だが、『主人公も辛い思いをしている』というのを周りが言及し、慰めようとするシーンは皆無だ。全員ヒロインの擁護に回っている。

おかしくないか?

ヒロインはトラウマを負い、睡眠時には悪夢を見た。
ただし、主人公もトラウマを負い、睡眠時に悪夢を見ているんだが・・・?
ヒロインとレイプ犯が自分を罵り侮辱し、笑いながらセックスに興じているという悪夢をだ。
それを負わせたのはレイプ犯であり、再三主人公を侮辱したヒロインのせいである。

しかし話は、
『ヒロインがつらい思いをしているんだから、主人公はヒロインの思うように都合よく行動し発言しろ』
『ただし、主人公がつらい思いをしようとそんなことは知ったことではない!』
の繰り返しだ。

こんな展開でどこに感動を覚えればいい?
気色悪い!

自分が軽はずみな気持ちで恋人や友人や家族を裏切っておきながら、
その裏切りのせいで傷ついた恋人のつらさはどうでもいいなんて。

作者と担当編集は間違いなく脳に異常があったんだなと思う。

身勝手なレイプ犯がそんなに好きなら成年漫画でレイプ漫画でも描いとけ!としか言いようがないゴミ作品でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-09-02 09:16:31] [修正:2018-09-02 09:17:18] [このレビューのURL]

この漫画は一話完結型のオムニバスではないんですがストーリーがブツ切りで繋がりがありません
内容は後付け設定とご都合主義のオンパレードでクズに限ってその恩恵を受け努力すればするほど空回り報われない
倫理観が崩壊していて少年誌に載せるのはキッズの教育によろしくない
キャラクターは全員楽と千棘のマンセー要員しかいない
しかもこの二人がシャレにならない位のドクズ
そんな二人に疑問を抱かずひたすら持ち上げられ続ける様は下手なホラーより不気味
特に終盤は漫画史上最悪という酷さ
読後感の悪さは天下一品
無駄に長く連載していたので恐らくリアルタイムで読んでいた人ほど
低い評価になりやすいと思われる
最初から最後まで読んだ感想はこの漫画に出会わなければよかった
これのみ
ニセコイを読んだいい子の皆は絶対真似しないように

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-23 18:57:26] [修正:2018-08-23 18:57:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

私が福本作品や『ライアー・ゲーム』や『嘘喰い』なんかを嫌うのは、自分の欲望からそういう馬鹿げたゲームに入っていることなんだよ。
勝ったら莫大な富を得るという、どうでもいいことで大事なものを賭けるという、ギャンブル物なんだよな。
『今際の国のアリス』はそこが違うわけ。「生きる」という当たり前に与えられた命を、生きるために投げ出さなければならない。
つまり、生きるとは死ぬことである、という死生観を彷彿とさせる作品なんだな。

もちろん先鞭がつけられた構造で、理不尽に攫われて命懸けのゲームをさせられるということは既に多々在るんだよ。しかしそういう既存の作品との違いは、登場人物たちがその中でただ生き延びるだけではない、崇高さというものを見せてくれる点にあるんだな。
人間の弱さが前提としてあり、そこから不信も不安も広がっていく。しかし、だからこそ、闘おうとする者たちが生まれてくる。
これは人類がこの世界の理不尽と闘い続けてきた歴史そのものなんだよ。
我々はこの世界に放り出されたような存在なわけ。そして否応無く理不尽と闘わなければいけない。

実はこの我々の世界と、あのアリスたちの世界はまったく同じものなんだよ。
生きるために何事かをしなければいけない。それには仲間と協力しなければいけない。力を得なければいけない。
それを拒絶すれば、あのレーザーのように、自分の死を迎えるしかないんだよ。
欲望でギャンブルをするというものとは、一線を画する作品なんだよな。
あのビーチが都市や国の形成を示すことはわかるな。いろんな人間たちが集まって、一つの規律によって仲間となっている。
そして宗教も生ずるわけだ。
規律というものが大きな集団を形成し、夢というものが大きな力を創造する。
そしてそれを破壊する力もまた現れてくる。

生きるとは何なのか。死ぬとは何なのか。それを眼前に見せ付けてくれることがあの作品の醍醐味なんだよな。
そしてそれは、自分のために生きることではない、という結論が最初から一貫している、ということだな。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-10 11:20:41] [修正:2018-08-10 11:20:41] [このレビューのURL]

10点 火の鳥

[ネタバレあり]

「宇宙」というものだよな。
突っ込んで言えば、『火の鳥』に通底しているのは日本古来の「無常観」というものだよ。
全てのものは必ず滅びるわけ。それがこの宇宙に存在するものの宿命なんだよ。
だから、なんだよな。滅びない「火の鳥」というものを創造し、これと関わることで無常というものを明らめているわけ。

古代日本で宝飾職人であった男が自分の欲望の末に両腕を斬り落とされる。もう職人としては終わるわけだ。しかし彼はサルタヒコとなり、新たな生を受けるよな。
無常というものに対して、人間がどう受け入れるべきなのかということがここにあるわけだよ。
この世の栄華、欲望ではないものが、無常を受け入れることで拓いて行くわけよ。
永遠の命を求める者は、全て滅びるじゃない。だからそうではないのだ、ということだよな。

もう一つの代表作である『ブラックジャック』は、一方の西洋思想というものを表現しているんだよ。人間の力で何でもしていこう、というな。しかしそこにも無常観が見え隠れしていることがわかるの。
何でも出来る天才外科医ブラックジャックが及ばないものがあるわけだよ。

『火の鳥』の場合は、未来にまで話が及ぶじゃない。でもそこでも同じことを繰り返すよな。だから人間存在の基底にあるものを描いた、ということなんだよ。
人間の進歩やなんかはどうでもいいんだ。人間存在には普遍的な重要なものがあるの。
それが無常観を受け入れることなんだよ。死すべきモータルな存在であるからこそ、人間なんだよな。
だからあの作品では、火の鳥を捕獲することに失敗した者達のその後の運命にこそ、その答えが表されている、ということだ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-10 10:47:40] [修正:2018-08-10 10:47:40] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

手塚治虫という人間は、漫画によって子供達に何事かを与えようとした人だな。
漫画が悪であるという時代にあって、闘い抜き、後には漫画というものを社会の中に定着させることに尽力した。漫画を確立した人だから、今も神様と呼ばれているよな。
『ブラックジャック』という作品は彼の代表作の一つに間違いないが、非常に特殊な作品でもある。
『火の鳥』と並んで、命というものを哲学的に追究したものだな。しかも現実の中でだ。
もちろん漫画という非常に制約の多いものだから、自ずと描ける限界はある。でもやろうと思ったわけだ。

この『ブラックジャック』の原点は、山本周五郎の『赤ひげ』だよ。
「医道」というものを体現したあの赤ひげを、ブラックジャックという現代の外科医に投影している。つまり手塚の理想の医師が赤ひげの中にあったんだな。

で、手塚が描こうとしたのは生命というものの姿だよな。
ブラックジャックは外科医の仕事として、何としても患者を助けようとする。つまり生命は生きるべきだ、という哲学通念になっているわけだ。しかし一方で、生命自身の力を見せつける話や、キリコのような死による解放という思想も手塚は呈示している。
本間先生がメスを腹の中に忘れた話なんかは、外科医の必要性を嘲笑うかのようだよな。あれは実話を基にしたものだよ。視覚ではない、知識でもない中で、生命は体内の異物を排除するためにカルシウムで覆って身体を守ったんだよな。そういう実例があるの。
つまり、手塚は超絶の医師に極限の現実をぶつけ、また難問を投げかけて、生命の本質というものを探り出し見せようとしたんだよ。

手塚自身も医師であったんだよな。だからあれは自身への問いと答えであり、まあアランの『定義集』のような自問自答で思索を続ける作品だったんだな。
だから「哲学的」ということだ。

ブラック・ジャック(間黒男 )は非常に一貫したキャラクターだよな。
仕事として治療を引き受け、それを何としてもやり遂げる、というものだよ。
しかし、手塚はリアリズムを強めたから。だから、時には悩み苦しみ失敗することもあるというものだな。
またやはり漫画というものの制約が今以上に強い時代だから、描きたいように描けなかったことも多いとは思うよ。
で、私にはブラック・ジャックは全く性格破綻者には見えないな。たまにそういう人がいるんだけど。まあ現代的な思考として、多額の報酬を要求するのが悪いとか、そういうことで感ずるんじゃないのか。少なくとも生命を弄ぶようなことは一切無いよな。

まあ、私の若い頃には大学病院なんかでは上でのいい外科医に手術してもらおうとしたら、みんな札束積んでたよな。リアリズムなんだよ。
もちろん漫画の中には漫画のリアリズムがあるから、現実離れしててもいいんだけどな。馬と人間の脳みそとっかえたりもしたけど、あれは流石に不可能だから。

まあ最初の方にも書いたけど、手塚はブラックジャックという超一流の人間に難しい問題を突き付けて行こうとしたものだから。だからブラックジャックの主張や思想が正しいとしているわけじゃないんだよ。むしろ手塚の本心とは別なものだよな。だからこそ生きる命に拘る医師であるんだ。
同じくキリコや琵琶丸にも現実をぶつけるよな。主役ではない人物だが、手塚にはああいう思想もあるんだよ。だから問いたださざるを得ないんだ。

漫画だから、非常に編集サイドの意向も取り入れざるを得ないものだ、ということは知っておいた方がいいぞ。だから人気を維持しなきゃならんし、社会規範の影響も大きいんだよ。悪人だからって惨い殺し方は出来ないんだしな。特に昔はな。
ただ現代人はあの超絶の腕前にばかり反応する気がするよなぁ。私なんかは命の哲学に断然興味があるけどな。まあ、現代人の卑しさと闘う話も多いけど、そっちは人気取りの要素だよな。本質は人生、命の話だよ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-10 10:40:42] [修正:2018-08-10 10:40:42] [このレビューのURL]

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