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1点 ONE PIECE

最近の本誌の展開は本当にひどくて目も当てられない。
戦争編では若干突っ込みどころはあったものの自分はまあまあ楽しめた。だが、もう擁護できるレベルではなくなった。
ネタバレになるから、あまり詳しいことは言えないが、
・仲間が全く成長しておらず、むしろひどくなった。
・あるキャラの扱いがひどすぎる。
・新キャラの造形がひどすぎる。
・ギャグとシリアスを悪い形で融合させてしまった。
そして極めつけは、仲間を大切に思っているはずの主人公が、絶対にやってはいけないことをしてしまった。
正直最悪だと思った。
薄々感じていたが、やはり仲間という言葉を振り回しながらただ自分勝手に暴れまわっているだけの主人公だった。

今の展開を見てもそうだが、作者はもうネタ切れっぽい。
この漫画が教科書であってはならない。
喜怒哀楽が詰まった漫画はまだまだたくさんあります。
主人公一味の行動に失望したくなかったら、戦争編で読むのを止めておくことを強くお勧めする。

追記 
はまおーさんへ
何か痛い勘違いをされているようですが、あなたに対しての発言ではありません。
れっきとしたこの作品への批評です。
あなたに構う意味がありませんし、出来れば関わりたくないです。
自分勝手な言い分を一方的に言われ、非常に不愉快です。
個人の意見に口出しをしているのはどちらか、あなた様のレビューを見てもう一度考えてみてください。

ナイスレビュー: 18

[投稿:2011-01-14 11:57:31] [修正:2011-01-27 12:07:53] [このレビューのURL]

3点 ONE PIECE

連載第一話から継続して読んでいます。

その上でこの作品を一言で表すと、「過大評価」。

ジャンプ黄金期の看板であるドラゴンボールに成り代わる作品として、初期から編集部の厚いプロテクトがかかっている所為か、作者の当初の構想を遥かに超える長期連載作品として、冗長なストーリーになってしまっています。これは、作者の引き出しが多いのではなく、単純に構成力が著しく欠如していると感じます。(商業的に長期連載を義務付けられているとはいえ、容認出来る範疇を超えています)

作者自身、初の連載作品で話のテンポや空気間、読者を意識したコマ割など、連載当初は稚拙ながらもそれらを意識しながら描いていた風に見られますが、作家として若く未熟な所を数多く残したまま売れっ子になってしまったが故に、編集の介入をも作者が拒み(作者自身が述べています)、見せ掛けや上辺だけの作りになっていって「後半は中身がスッカラカンの人形劇」を見せられている感覚に陥っています。
※序盤の評価が高いのは、読者をしっかり意識し、作者の若さを表現として武器に出来ていたからだと思います。

最近では、キャラクターとしての魅力を描かずに、外見や口調だけで選別し乱発させる登場人物や、伏線の意味を理解出来ずに無駄に世界観の広がりだけを行い続けて設定崩壊を引き起こしたり、何よりも仲間を重んじている様で結局猪突猛進で自分勝手に対象者を殴り主義主張を貫き通して後先を考えない主人公など、非常に読んでいて違和感を感じる部分があります。


以下、読みながら感じた不満点です。
細かすぎる描き込みで、かえって読み辛い。漫画なのにセリフが多く絵で語れない。友情や家族愛の描写がイマイチ。労せずに新必殺技が披露される。やたらと多く長い回想。明らかに不要なエピソードを何週も執筆する引き伸ばし。長期連載を通して目的地への進捗度合いが一向に不透明。周りの人間をどれだけ巻き込んで大迷惑をかけても、自分らの主義主張は頑として通す。肝要な所で必ず外部から助けが入り、それにおんぶだっこする御都合主義と海賊理念の矛盾性。悪い意味での独自アイデアが目立つ。
などなど。


設定崩壊や矛盾を引き起こす程のアイデアの投下や、ファンタジーとしての独創性は評価出来ますが、いかんせんバランスが悪いです。大衆の支持を得てしまったが為の不完全な内容であると思います。

尚、陸上戦が大半を占めており、海賊としての海上戦であったり略奪や殺人といった部分はテーマ的に抑えられています。
これだけ売れてしまうと一般常識レベルの作品になると思いますが、決してスタンダードであってはならない作品だと思います。

普段必要以上に漫画に触れず、またこれ以外の漫画や近年のジャンプ作品しか知り様の無い世代や衆には、非常にインパクトがある作品でしょう。
ストーリー物としてやたらと長いですが、それに耐えられる方は最低限普通に読めると思います。

ナイスレビュー: 14

[投稿:2010-07-05 18:16:45] [修正:2010-07-05 18:16:45] [このレビューのURL]

ハンター試験〜念修行編:8点
主人公とその周囲の人間成長ドラマという観点で見れば
結構いい出来。この時点まででは各キャラも魅力的で
良作と言って過言でない作品だったと思います。

オークション編:6点
幻影旅団の魅力ばかりが目立った内容で個人的には「?」
敵役としてはあまりにもステキ過ぎるので、
主要ストーリー自体に感情移入し辛い。
この漫画の主役って誰ですか?な内容。

G・I編:5点
内容自体は冒険バトルものとしてはまあまあなのだが、
こっから徐々に主人公ゴンの自己中な面が鼻に付いてきた。
この頃から絵柄も露骨に荒れてきて、私自身のこの作品に対する
評価に疑問が生じてきた。

キメラアント編:2点
単行本は既に買わなくなった。完全に読めなくなった。
下書き丸出しの絵柄といい、説明多すぎな能力バトルといい、
魅力感じない敵役といい、私はもうついてけなくなりました。

…てな訳で総合評価は上記の点数です。

9/26追記:もう一点減点します。以下過激発言勘弁。
私にはやはり最近の展開はダメです。絵も相変わらずやし。
説明的過ぎる能力バトル漫画は私には合いません。

それよりも最近「絵はしょうがないから続きを読ませて」
「単行本では直ってるからいい」というFANの論調が多いのが凄く気になる。
週刊誌だって商売だぜ?それ自体もひとつの商品だぜ?
自分の作品だけ売れてりゃそれでいいんか?
描けないなら月刊誌なり定期休載なりいくらでもやり方あるだろ??
作者の「作家としてのモラル」に激しく嫌悪感を感じると同時に、
こういう所業をさせてしまう編集部、受け入れてしまう今の読者層にも
疑問を持たざるを得ない。特に読者層の甘やかしぶりには警鐘が必要。
「芸術だから容認」なんてダブルスタンダードもいいところ!
公に発表された時点でそれは既にひとつの「作品」なんですから。
未完成の芸術作品など、後付の言い訳に過ぎないと私は思ってます。

先にも書いたが、作者がこれを「作品」として継続・完結させる意思があるのなら
まずはこの歪んだ現状を何とかした方が…
何より若年読者・フォロワーの人格形成に良くないと思いますんで。

ナイスレビュー: 13

[投稿:2005-04-21 01:57:57] [修正:2005-09-26 14:11:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

非の付け所が無い。

サボる?下絵?
だからどうだと言うのだろうか。
天才の芸術作品が、期日が守られないからと言って、卑下されるだろうか。

少年漫画をこえた少年漫画。

ゴンと言う少年漫画の象徴を主人公にすることで、
他のキャラクター達のダークサイドが際立ちまくり。
(その分ゴンの中身はからっぽ)

躊躇無く個性あるキャラクターを排除していく様は、
決して他の作品では見られない。
そう、この少年漫画は「死ぬ」のだ。
肉体的にも精神的にも、こんなにも痛みを実感させてくれる「少年漫画」は他には無い。

とは言っても、子供にはあまり読んで欲しくない漫画。

ナイスレビュー: 13

[投稿:2005-06-06 00:09:17] [修正:2005-06-06 00:09:17] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

ワンピースの登場人物は誰も本当に心の底から苦しんでいないし悩んでもいない。それがワンピースの最大の魅力でもあるし、同時に最大の欠点でもある。

ワンピースは感動できる、泣ける、とよく聞く。しかしそれは50パーセント正解で、50パーセント不正解だ。


夏の甲子園で、優勝したチームの選手達を見て泣けるあなたはおそらくワンピースを見て泣くだろう。その勝利を影で支えてくれた監督や家族や兄妹や友人たち、そして何より選手達の長い長い努力の日々を想像して泣くだろう。思いが報われたことに安堵して感嘆して泣くのだ。

しかし私やおそらくそれに類する人たちは、その優勝したチームの選手達を見ては泣けない。私たちが泣くのはその優勝したチームではなく、それに負けて地面に手をつき敗北の味をかみ締めている選手達を見てだ。勝者の喚起の声では泣けないのだ。敗者も勝者と同様に、監督や家族や兄妹や友人、そして長い長い努力の日々を背負って闘っている。しかし、勝者の前にひれ伏す。現実を知る。努力だけでは誰にも負けない、気持ちだって誰にも負けてはいない。でも負けた。なぜ負けた、なぜ負けねばならないんだ、なぜ、なぜ、なぜ!!!


どんなに努力しても、どんなに強い気持ちを持っていても、絶対に夢が叶うわけではない。こういうことを「不条理」という。

おそらく現実にはこの「不条理」を味わっていない人はいないだろう。好きな女の子にふられた、理由は「顔が気持ち悪いから」、不条理だ。成績が悪い、どんなに勉強しても東大に入れない、不条理だ。世の中は不条理だらけだ。


さて、ワンピースに話を戻そう。改めて、ワンピースの世界に不条理を探してみようじゃないか。

ルフィが今まで負けたのは確かクロコダイルに1回とルッチに1回、細かい話ならシャンクスが腕を失ったときも山賊にボロクソに負けてたからこれもカウントしよう。合計3回だ。しかしルフィはその全てに対してリベンジを果たしている。もちろん仲間の力も借りているが、ルフィは負け知らずなのだ。もちろんこれは仲間にも言えることで、ウソップも、ナミも、サンジも、ゾロも(ゾロは負けたか?)、チョッパーも、本当の意味で不条理に打ち負かされたことはない。仲間の思いは全て報われているのだ。(ゴーイングメリー号だけは残念なことになったけど)

ワンピースは全て勝者の話なのだ。全ての努力、全ての気持ち、全ての汗と涙が報われるようになっている。それは少年漫画としてはもちろんそれでいい。少年には「夢は叶う」と言っておけばそれでいいからだ。
しかし、大人は知っている。夢は叶わないと。どんなに努力してどんなに強く想っていようと、夢は不条理の前に脆くも崩れ去るのだ。
しかし、だからこそ、叶わない思いを抱き続けることは感動に値するし、美談というものが生まれる。敗者の裏に勝者があるように、不条理の裏には真の感動がある。ワンピースには不条理がない、ために真の感動がないのだ。ワンピースを読んで「なんか物足りない」と感じるのはそのせいだ。




ワンピースは3つの側面がある漫画だと思う。
1つは、まだ夢が破れていない、天真爛漫な子どもが読む側面。
1つは、夢破れたが、自分の夢が叶うことを大人がワンピースに託して読む側面。
そしてもう1つは、夢破れ、そして夢とは叶わないものだと信じている大人が読む側面。


前者2つについてはワンピースは満点だ。しかし最後の1つについては点は挙げられない。最高の少年漫画から最高の漫画になるために3点を預けておいて、7点をこの作品に送ろうと思う。


ナイスレビュー: 12

[投稿:2007-02-18 00:33:32] [修正:2007-02-18 00:33:32] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

内容の素晴らしさは既に語りつくされていると思うので、ここはあえて本筋とは関係のないレビューをさせていただきます。

まず、本作はかの名作「デビルマン」をリスペクトし大きな影響を受けていることは、岩明先生が「ネオデビルマン」に一編を寄せていることからも間違いないかと思います。

もし本作が中途半端な作品であれば、「パクリ漫画」と叩かれた可能性も否定はできませんが、いまだ本作は名作と語り継がれています。
その理由は、多くのデビルマンファンが感じた「デビルマン」の本質や真髄を理解し、汲み取っているからではないでしょうか。

永井豪先生がもとより明確な理念を持った上で計算して「デビルマン」を創り上げたかどうかはわかりませんし、偶然により誕生した悪魔的な名作であったかもわかりません。

しかし岩明先生はその「デビルマン」から何かを感じ取り、それを滋養分として漫画家になり、他のクリエイターが成し得なかった「完全版デビルマン」とも言える作品を見事に完成させることで、「デビルマン」の凄さをデビルマンファンの代表として知らしめたのだと思います。

そしてそれと同時に人間の優しさや温かさ、冷酷さを独自の感性で奥深く描いたり、類まれな構成力を見せ付けることで自身の漫画家としての実力や存在感も明確なものにしました。

自分の好きな作品を礎としながらも、自分だけのセンスも100%発揮した作品なのだから、これは間違いなく名作とよべるのではないでしょうか。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2010-01-30 11:12:01] [修正:2010-01-30 11:12:01] [このレビューのURL]

1点 ONE PIECE

漫画に無知な私でもその名を知っているくらいだから、子供たちに人気なのだろう。

ドラゴンボール世代なので、すんなり読めるかなぁと思い読んでみた。

周りの若い奴が感動したというところまで、(購入しちまった手前)


感想は……

薄い、薄っぺら過ぎる


この漫画のレビューをいくつかみて、ちょっと怖さを感じるのは私だけか!?

ハッキリこんな薄っぺッらな話で感動する。それだけ今の若い奴らは、深いものを読みきる力がないのか!?

確かに漫画にも人情や心を揺さぶられる良いものはあると思う。

でもこの漫画じゃないだろう!!!


漫画で育った多くは、本や小説で育ったものより、渇いている

そう感じてしまった

息子には、この漫画に単純な面白さを感じても、この程度で感動を語るような男になってほしくないと思う今日この頃であった





ナイスレビュー: 11

[投稿:2009-02-01 07:02:42] [修正:2009-02-01 07:02:42] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

作者の人間性や創作姿勢と作品の質は無関係という最典型例。

否定的な意見のほとんどは雑な仕事や休載の多さに対してのようだが、勘違いしてはいけないのは、「どんなに丁寧に描いて締め切りを遵守しようとも、作品として面白くなければ漫画や小説といったエンタメの世界では無価値」という事だ。

逆に言えば、下書きレベルでも多くの人間に「早く次が読みたい!」と思わせるほどの作品を描ければそれで良いのだ(画については単行本ではちゃんと加筆・修正されているし、現在のように定期的に休載を挟んでなら続けられるなら、それで何も問題は無いはず。ファンにとっても作家にとっても、もちろん出版社にとっても特にデメリットは無い。無理に連載を強要して駄作を描かれたり、描くこと自体に嫌気がさして連載そのものを止められるよりははるかにマシだろう。そもそも才能のある作家を潰すような殺人的連載ペースや、売れている間は作品の質を落としてでも引き伸ばしを強制する日本の漫画業界の体質にこそ問題がある)。何ならハンター休載中の十週間は有望な新人さんの読み切り作品や短編連載の発表の場として使っても良いだろう。

閑話休題。

ある意味でバトル漫画の最終進化形であり、もはやこの手の「能力バトル漫画」はジョジョと、このハンターが終わらせてしまったと言っても過言ではない(今後、新人漫画家が能力バトルをモチーフとした作品を出すにしても、よほど斬新な設定に推敲を重ねなければ、何をやっても「スタンドや念能力のパクり」と言われてしまうだろう。同時期の「ナルト」ですら「念能力の系統分け」をパクっているし、それでいてジョジョやハンターほど能力の相性や駆け引きを戦いに持ち込めていない)。

多分これ以上設定や駆け引きを緻密にしたら理屈っぽくなり過ぎて、良い意味での単純さを損なうだろうから、「バトルの爽快感」と「駆け引きの妙味」のバランスを考えたらこのくらいが漫画としてベストだろう。

内容的には色々と賛否両論あるだろうけど、バトルシーンだけでなく、特殊な環境で育ったキルアや復讐の事しか頭に無かったクラピカが、ゴンとの出会いで自我や友情に目覚めていく過程など、登場人物の丁寧な心理描写は下手な小説や映画など足元にも及ばないほどよく描けている。

他にもハンター試験や幻影旅団との戦い、ゲーム世界が舞台とされるG.I編などなど、変化に富んだエピソードが多く飽きさせない。特に旅団編はまさに神展開。相手が強すぎるから直接対決が少ない分、緻密な心理戦による駆け引きが多く、そのどれもが緊張感があり、しかも無理が無い。気の抜けない決死の尾行、アジトでのゴンの激しくも真っ直ぐな性格を表す腕相撲、暗闇のホテルでの柔軟な対応、そしてパクノダの死とゴンたちの救出によって復讐から開放されたクラピカ…。よくこんな展開を考えられると思う。

登場回数が少なくても印象に残る魅力的なキャラも多い。特に旅団のメンバーについては「外伝」や「過去編」として別に物語が読みたいほど。

とにかく下書きだろうが、長期休載しようが、最後まで続けて欲しいと思えるほどの漫画を描ける才能を素直に称賛したい。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2008-05-31 23:18:46] [修正:2008-05-31 23:18:46] [このレビューのURL]

クレヨンしんちゃんは傑作なのでは?

アニメでこそ「こどもに見せたくないアニメ」のトップに輝いてる悪名高い作品ですが・・・
私にはどうもそう思えない。

この作品の評価が悪いのはその「お下劣」なギャグと内容でしょうね。確かに内容は大人向けだし子どもに見せたくないと感じる親御さんの気持ちには納得いきます。私だって子どもに「見てほしい」なんて思わないですし。

ただ、作品からは不思議とあたたかさが感じてくるのです。
それはこの作品に流れる「家族の持つあたたかさ」ではないでしょうか。

サザエさんでは家族そろって食事をする風景がよく見られます。

波平は怖いけど頼もしい父親像。
フネは優しい母親像。
それに悪ガキのカツオなど。
いってみれば古き良き時代と言われたころの家族像がそこにはあります。
サザエさんの根底に流れるものはそういった古い時代の家族のあたたかさです。

ではクレヨンしんちゃんはどうか。
しんのすけはともかくとして、
飲んだくれでエッチなものに目がないひろし。
口うるさく格好いい男の前ではデレデレのみさえ。

およそサザエさんで描かれている父親像・母親像とはかけ離れています。「親としてしっかりせねば」という厳格な姿勢はほとんどない。
ひろしもみさえもとっても等身大で人間的です。
ただ、人間的だけどしっかりしんのすけと向き合って生活してるんですよね。

クレヨンしんちゃんの作品としてのよさはそこにあると思います。最近って虐待とかの話が多くて子どもを持つよさなんてあんまり語られないじゃないですか。
でもクレヨンしんちゃんって「格好悪くて頼りにならなそうな親でもいいんだよ」って語ってくれてるんですよね。

人間的でいいじゃない。
バカみたいでもいいじゃない。
家族の幸せってこういうものだよ。

って語ってくれている作品はなかなかないです。
サザエさんが「昔の」理想の家族像だとすれば
クレヨンしんちゃんは「今の」理想の家族像。

ギャグだけじゃなくて、そういう思想も感じ取れる。
したがって、この作品に8点。

ナイスレビュー: 11

[投稿:2006-02-04 16:44:49] [修正:2006-02-04 16:44:49] [このレビューのURL]

こんなにも「完璧」な主人公が他にいたでしょうか?

普通、漫画の主人公はダメダメだったり一般人だったり、優れていても欠点をもつものです(例えば井上雄彦先生も、主人公には必ず一つ欠点をもたせて描くそうです)。そしてそうした主人公が、努力や修行をして強くなるのが、漫画のセオリーでありヒットの方程式なのだと思います。

ナウシカは、苦悩も葛藤もしますし、絶対的な強さをもっているわけではありませんが、間違いなく「完璧」という形容がふさわしいキャラクターです。1巻の果たしあいでは憎しみに支配されますが、それ以降は深い慈愛の精神・様々な道具を使いこなす知性・力・圧倒的なカリスマ性を備えた、モーセやジャンヌのような預言者的な才覚を発揮します。

この物語を読んで、もっと努力や修行のシーンが欲しいと思う読者はいないでしょう。それは、この物語が主人公の成長譚ではなく世界を知る冒険譚であるからであり、また、主人公の成長を楽しむものではなく主人公の完璧さを楽しむ漫画だからです。ナウシカの強さ・優しさ・思考は、僕らが一度は夢見る「完璧な人間」の理想像だと思います。特にその優しさには、癒され、心温まります。敵も蟲も動物も、腐海さえも愛するその包容力は、母性からくるのでしょう。青年誌には珍しい女性主人公なのもそのためで、全ての生物に対する母親としての優しさが、心地よい温かさを読者にくれるのです。
そもそも武力解決をしようとしないナウシカが、戦う力を求めて修行や努力をする必要がないですしね。

ナウシカの魅力を最大限に引き出している、緻密で完成された世界観も魅力です。国家関係、歴史、メーベを始めとした飛行機械、人間にとって毒ながら実は人類を救うための腐海、腐海を守る蟲…複雑ながら矛盾のない、リアリティとメルヘンとSFを含んだ世界。最近は作品の世界観を作中で全ては教えてくれない漫画が多いですが、この作品ではほぼ100%見せてくれているのも嬉しいところです。

ナウシカの最後の選択は、様々な経験に裏付けられたとはいえ独断であり、人間にとって正しいことだったのかわかりません。ハッピーエンドのように見えて、その後が描かれていないのが怖いです。ナウシカの選択が間違ったものであれば、人類は滅び、ナウシカの力は魔女のそれと変わらなくなります。圧倒的なカリスマ性が、人々を盲信的にさせたかのごとく。逆に正しければ、ナウシカは英雄として扱われます。独裁者と英雄は紙一重なんですね。
ただ、ナウシカの選択が善でも悪でも、ナウシカの人間性は紛れもなく善である。この作品の重要なところはそこなので、その後を描かないあのENDは秀逸だったと思います。

この作品を知らない人は、まず映画版を見ることを勧めます。漫画からだと、映画を楽しめなくなるかと。
映画を見た方は、原作であるこれをぜひ読んでみてください。画が苦手でも、紙質が嫌でも、内容についていけなくとも、シリアスさに耐えられなくとも、ただナウシカの優しさに触れるだけで、この作品を読む価値があると思います。

ナイスレビュー: 10

[投稿:2010-02-20 12:19:42] [修正:2010-06-20 13:50:46] [このレビューのURL]

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