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5点 BLEACH

セリフだけで見れば↓のように熱くて好みのものが多いんだが、
漫画の中で読むと空虚なものに思えて仕方が無い。

大ゴマ使って迫力出せばいいでしょ、なんて考え方は甘い。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2008-06-17 12:43:07] [修正:2008-06-17 12:43:07] [このレビューのURL]

この作品に対しても漫画としての見方を無視して、無意味な突っ込みをする人が多いが、注意すべきなのはリアルとリアリティは違うという点だ。

異種格闘技やストリートファイトを描く漫画の肝は「ロマン」であり、そこに必要とされるものは「リアリティ」であって「リアル」ではない。逆に言えばリアルに拘ってもロマンが出る訳ではないのだ。作者の格闘理論もネット上で批判されているほどおかしい部分は無いし、仮に現実世界では実現が困難な技でも作中で説得力を感じられるならそれは「あり」。

この手の漫画に対してよくある反論として、「体格で優っていて、顔面打撃の経験もある人間が、顎を引いて打たれる覚悟で前に出てくるのをジャブ(作中ではフリッカーなど)で止めるのは無理、それが出来たら総合に出る打撃屋は誰も苦労しない」というような突っ込みをする人がいるが、それなら作中で「打撃でタックルに対処出来ないヘタレ主人公」なんかを出して、それで漫画として面白くなるのかと言いたい。そんなにリアルに拘りたいなら現実の総合格闘技の試合を見ていれば良いではないか。だが、そんな総合格闘技がつまらなくなっていったのは、リアルであるが故に技術体系が均一化して、戦い方に個性の入り込む余地が無くなったからではないのか?

異種格闘技戦においては、ボクサーがタックルをパンチで対処しなければボクサーとして戦っている「意味」が無いのだ。ボクサーが総合の戦い方になってしまったら、そいつはもうボクサーじゃない訳で、そうなればその地点で「異種格闘」のロマンは消えてしまう。同じようにあくまで空手家は空手で、柔道家は柔道で、プロレスラーはプロレスで戦うからこそ異種格闘にはロマンがあるのだ。

リアルをリアルに描くつまらなさを知ってるからこそ幻想を求めるという心理を許容する程度の柔軟性は欲しい。この作品はそうした異種格闘の持つロマンを出来るだけ現実に則した理論で抽出し、格闘技ファンの幻想を汲み取った佳作のひとつと言えるだろう。

そもそも、この作品の本質は格闘部分よりも、戦いを通じての人との出会いや繋がり、各登場人物の挫折と成長などがテーマであり、格闘はそのテーマを浮き立たせるための手段。「自分のアイデンティティ」や「存在理由の希求」といったテーマは青臭いながらも終始一貫しており、悩みながらも成長していく登場人物たちの群像劇が上手く描かれている。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2008-05-31 21:36:42] [修正:2008-05-31 21:36:42] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

不快である。実に不快な傑作である、

これまでも闇金を描いたマンガは多く、特に「ナニワ金融道」や「ミナミの帝王」などが有名だが、同じ闇金マンガでもこの「闇金ウシジマくん」は前者などとはかなり趣を異にするマンガだ。

まず、「ナニワ〜」と「ミナミ〜」はタイトルが示すように大阪が舞台となっており、いかにもな関西弁が乱れ飛びエゲツなくともどこか憎めない雰囲気があった。主人公達も人情を解する心があり、「ナニワ〜」の灰原は慣れぬ闇金業に苦闘する傍らで顧客である多重債務者の借金返済プランを考えてやったりもするし、「ミナミ〜」の萬田は善人では無いものの時折ブラックジャック的な活躍で金にはびこる悪人どもを成敗したりもする。読者がカタルシスを味わったり共感したりする余地があったのだ。

それに比べてこの「ウシジマくん」は、とにかく渇いている。人も街も殺風景で即物的、カタルシスなどあったものではない。
舞台は現代の東京、いわゆる下流格差云々が注目され始めた紛れも無い現代だ。獲るか獲られるかと問われれば躊躇せず獲るほうを選ぶ、と豪語する闇金のウシジマの行動には一切の迷いも人情も無い。そして獲られる者達にせよパチスロ依存症だのニートだのヒモだの…と、一様に情け無く溶解したような連中ばかりである。しかしながらそんな腐った連中であれやはりその末路は哀れに活写されているものだから更に始末が悪い。

このように非常に不快な話が多いのだが、一方で我々読者は本作を読んでまた安心する部分もあったはずだ。上記のように闇金に破滅させられる奴らの多くは世間的にも”下流”な、どこか別世界に思える人間達であり、「世の中下には下がいるもんだ」と思ったりもしただろう。どーせ俺は闇金のお世話になんかならねーよ、と。
しかし、現在ビッグコミックスピリッツ誌上で連載中の長編「サラリーマン編」は、そんな我々の”普通である安心”すら破壊してみせる。同誌のメイン読者層である20〜40代のサラリーマン層を仕事始めの毎週月曜日に暗鬱のどん底へ叩き込み、現代の閉塞感すら浮かび上がらせるイヤなイヤなイヤなこの物語は、しかし困った事にマンガとしてあまりに面白いものだから始末に悪すぎる。

全くもって不快な傑作である。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2008-04-08 22:32:49] [修正:2008-04-08 22:32:49] [このレビューのURL]

よく「今の少年漫画には熱い男気が欠けている。昔は男塾とかがあったのに。」という文脈で引き合いに出される漫画だが、忘れてはならぬのは本作が人気だった80年代後半〜という時代においてももはや男気やら根性やらはアナクロだったという点だ。これらの美徳が少年漫画上で衒い無く描き得たのはやはり本宮ひろしなどの活躍した70年代の事であり、80年代においては男気や熱血はある程度ギャグ的な表現をはさんで緩和しつつ描かれる事が増えていた。
作者の宮下あきらもその辺は熟知しており、初期の作風は時代錯誤を意識的に過剰演出した軍国主義パロディ学園ギャグとして本作は描かれ、この路線を貫徹すれば好事家にひそやかに愛される隠れた傑作のような位置に収まったかもしれない。しかし、ジャンプ漫画の常として、人気獲得のために早々とバトル路線にシフトして以降、作品としての完成度を無視した本作の真の暴走は始まり、奇怪な魅力が前面に開花した。
元々絵柄が原哲夫や本宮ひろしの影響から抜けきれず、そのご都合主義の塊のようなバトルストーリー構成はキン肉マンの亜流の様でもあったが、そんな本作に唯一無二の個性を与えたのがご存知「民明書房」に代表される作中引用される架空文献の数々だ。作中登場する数々の奇妙な奥義、武具、奇習を一見本物であるかのように見せかけつつ演出したこれらの架空書籍群は不思議な説得力があり、当時の読者の多くは結構マジメに信じたのだが、これは80年代〜90年代前半という時代までなら通用しえた最後の荒業だった。
大昔の少年誌は、漫画などの他にも巻頭に歴史絵巻や科学啓蒙のグラビアなんかを載せて、ただの娯楽以上のものを与えようとする姿勢があった。その中にはいい加減でいかがわしいものもあったが、子供達にとっては「ただ漫画を読んで笑ってるだけじゃないんだぞ!」という自負心を与える効果もあっただろう。現在ではマガジンの社会派読切やサンデーの欄外一行雑学なんかに細々と継承されるこの姿勢の奇形変化した姿が、実は民明書房だったのではないかと最近は思っている。結局は嘘であったが、確かに純真な知的好奇心に訴える力はあったし、そのご都合主義的な展開にも適度に”泣き”も入っていたので同じく純真に泣いて笑って固唾を飲んだのである。ちょっと考えれば馬鹿馬鹿しく非現実的でギャグそのものだが、もうそういう地平にしか「男気」を描きえる土壌は残されていなかったのかもしれない。
だが、90年代以降は読者の目も肥えたのか、こういうご都合主義的な物語展開に素直に酔うのではなくニヒリスティックに生暖かく読む姿勢が一般化し、インターネット等の情報化の発達は民明書房などの存在を不可能にした。ググれば一発であれがネタだと小学生でも気がついちゃうわけだ。本作が90年代初頭に終わったのも必然だったのかもしれない。しかし、この在りし日の少年漫画として先鋭化したあまり奇形化した感のある本作を、今でも嫌いになれない自分がいるのである。
もしこれから本作に挑んでみようとする方がいらっしゃるならば、文庫版よりも断然往時のジャンプコミックス版がお薦めだ。巻末に収録された当時の少年達そして少女達(!)からの応援のお手紙には圧倒される事必定也!

付記:最近スーパージャンプ誌上で本作の続編である「暁!!男塾」が連載されているが往時ほどの面白さは無い。理由は数あれど、作者がもうハナから民明書房を完全にネタと割り切って描いてしまっているため、あの妙な説得力あるギリギリ感が失われてしまったためではないかと思われる。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2007-02-04 23:24:44] [修正:2007-02-04 23:24:44] [このレビューのURL]

現実感、浮遊感、夢、乖離、服従、嘘、真実、邂逅、離別、日常、
空虚、破壊、終末、そしてエロス。
これらフラグメンツ(断片)によってこの漫画はできていると思った。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2006-05-01 21:30:42] [修正:2006-05-01 21:30:42] [このレビューのURL]

9点 リアル

井上雄彦はいい奴だ。スラムダンクで売れた名前を、車椅子バスケの知名度向上のために使うなんて…
大抵この手の障害者を扱った作品は説教っぽくなったり、変に感動ドラマっぽくなったりして一般層からは干されるのがオチなのだが、この作品はそうなるのを上手く避け、普通に読めるヒューマンドラマとして描いている。
笑いもある。感動もある。スポーツの興奮もある。魅力的なキャラクターも多い。
俺は障害者を扱った作品でここまでレベルの高いものを初めて見た。流石だ。

俺は障害者について描かれたものにはあまり客観的になれないので、極個人的な視点から9点をつけさせていただく。
それにしても、井上雄彦はいい奴だな。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2005-05-13 20:26:42] [修正:2005-05-13 20:26:42] [このレビューのURL]

完結の告知を大々的に出していたのに、(掲載紙の事情もあるとは言え)しれっと連載を続けていたり、その割に数年間にわたり支離滅裂な展開でグダグダやっていたり、もはや全盛期の面白さが嘘のような駄作に成り下がってしまった。
せっかくの登場人物の魅力も、作者自ら潰していっているので、キャラ萌え要素すら薄れてしまっている。
もはや魅力的な要素が絵柄しかない。
10年くらい前は大好きな作品だったため、非常に残念である。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2017-08-11 23:18:22] [修正:2017-08-11 23:18:22] [このレビューのURL]

【2014/8/10 例の騒動を受けて加筆あり】

(※猛烈なネタばれを含みます。作品解説の都合上とは言えいつにも増してゲームネタ多数のため注意ください。)

 冴えない庶民の少年と深窓の令嬢とのほのかな恋というよくある題材を扱ったラブコメ作品だが、特異なのはそんな二人の逢引の場が学校行事や部活動ではなく、ゲームセンター、カプコンの対戦格闘ゲーム「ストリートファイター2」の爆発的ヒットでアーケードシーンが非常な盛り上がりを見せていた90年代初頭の、あの頃のゲームセンター、この設定にまずヤラれた。
 作者は押切蓮介。『でろでろ』などの怪奇色を売りにしたホラーコメディで知られる人だが、自身のゲーム体験をノスタルジックに扱った作品もこれまでにいくつか上梓している。

 バブルの狂騒と湾岸戦争に日本と世界が揺れ動いた1991年、矢口ハルオは勉強もスポーツもからきしダメ、人より秀でているのはゲームの腕前だけという冴えない小学6年生の少年だった。ハルオ少年にとってゲームセンターはそんな己の存在意義そのものの証明する神聖なる場所だったのだが、ある日彼のそんな聖域は、異世界より降り立った一人の異邦人に蹂躙された(と本人は思い込んでいる)。
 異邦人の名は大野晶。ハルオとクラスこそ同じなものの、成績優秀容姿端麗、無口で何を考えているのか分からないお人形のような良家のお嬢様。ハルオなどとは住む世界の違うそんなお嬢様は、しかし常軌を逸した凄腕のゲーマーだった。スト2で最難キャラとされたザンギエフを易易と使いこなし対戦は連戦連勝、ダルシムの弱キックのみでCPU戦をクリアし、横スクロールアクションの傑作「ファイナルファイト」をやらせればコンマ数秒の精妙な操作を要求される“錬金”(アイテム取得時に高得点アイテムを出現させる技)を目押しで行うなど、無言無表情に次々と凄まじい腕前を見せつける晶に対し、当初は「ここはお前なんかくるべき世界じゃねーんだよ」と忌々しさを感じていたハルオだったが、そんな鬱憤は次第に「そもそも良家のお嬢様がどうしてゲーセンなんかに?」という疑問、そしクラスの他の誰も知らない煌めくようなアーケードゲーム体験を共有していくという連帯意識へと変わっていき、そして…。
 

 今も昔もゲームセンターで遊ぶのは楽しいものだが、昔と今で明らかに違うのは、ゲーム産業におけるアーケード業界の占める地位である。家庭用ゲーム機の性能が著しく向上し、また携帯電話を使ったソーシャルゲーム市場が急拡大を遂げる現在、ゲームセンターは昔と比べても安全できらびやかな老若男女(最近は特に老人)の社交場として機能してはいるが、ゲーム全体を揺るがすような革新的作品がアーケード業界から生まれる機会は明らかに減った感がある。
 かつてタイトーの「スペースインベーダー」(1977)、ナムコの「ゼビウス」(1983)、セガの「スペースハリアー」(1985)など様々な革新的作品が薄暗くヤニ臭いゲームセンターから生まれ人々を魅了してきた。ゲーセンのゲームはファミコンなど家庭用ゲーム機のそれと比べてもグラフィック・サウンド・過激さ・そして難易度いずれをも圧倒的に凌駕しており、ファミコンしか知らなかった自分自身初めてゲーセンに行った時それはそれは仰天したものである。特に本作でも多く描かれるスト2の影響力は凄まじく、アーケード・家庭用問わず“対戦格闘”というジャンルは90年代を通じて猛威を奮うこととなった。その他にも(1巻では描かれないが)3Dポリゴンを使用した「バーチャファイター」(1992)など、革新的技術の実験場の役目もアーケード業界は担っていたのだ。

 本作がゲーセンを舞台にしたラブコメとなっているのには、単なるマニア趣味の発露以上のものが感じられる。魑魅魍魎の跋扈するヘルでカオスなあの頃のゲーセンを賑わしていた高揚、狂騒、異質さ、背徳感、そして切なさ。それはいずれも確かにあの日々の初恋の味と重なる部分があるのだ。住む世界の異なる少年少女が、ゲームという共通言語(待ちガイル込み)を通じて心を通わせていく。家庭での躾教育が厳しくゲーム機なんか買ってもらえないお嬢様はゲーセンにそのはけ口を見出し、片や庶民の息子ながらPCエンジン(アーケードゲームの移植作多数)を所持する少年はゲームの腕前は敵わなくとも少女に様々なゲームの世界を指し示す。言葉はいらない、二人だけの一時はこうして紡がれていく。狂気の携帯ゲーム機PCエンジンGTの燃費は単三電池6本でおよそ3時間……。

 79年生まれの作者と自分の年齢が近いせいか、作品の雰囲気には本当に引き込まれる。また、怪奇マンガを多く描いてきた作者らしく二人を87年で時が止まった今は消滅したはずの場末のゲーセンに迷い込ませるというオカルト風味の話も挿入する事で世代的にカバーしにくい80年代中期のアーケードシーンの一端も描くなど、ゲームへの愛が強く感じられるのも良かった。そして何より心震わされたのは、1巻終盤に炸裂する圧倒的な切なさだ。今だからこそ、今であるからこそ、これには心震わされた。

 スト2の大ヒットに始まった90年代のアーケード業界も、次第にゲームの最先端の場からは後退していく。格闘ゲームブームが到来する一方で作品のマンネリ化も始まり、かつては性能的に格下だった家庭用ゲーム機の性能も向上、1998年セガがドリームキャストを発売する頃には家庭用ゲーム機の性能は下手なアーケードゲームのそれを上回るまでとなった。アーケードシーンを牽引してきたゲームメーカーの多くは吸収や合併で社名を変え、倒産したりゲーム業界から撤退したものも少なくない。(巻末のSPECIAL THANKS欄を見ると泣きたくなる…)

 1巻終盤、家庭の事情でアメリカに旅立つ晶をハルオは追う。今から見ると貧相なドット絵で描かれた無数のゲームキャラに背を押されるように勇気を奮い立たせ空港へと奔り、そして相変わらず無口無表情な晶を前にして、

「俺の予想だとこれからどんどんゲーセンは盛り上がってくるぞ。俺達が予想もつかないようなものがどんどん出てくると思うんだ!!」

 
 ………………………………………!
 今や遠い過去となったあの頃の高揚。この切なさは、たしかに初恋のそれそのものだ。

 2巻以降もハルオは90年代のアーケードシーンをバトル&サーキットしていくこととなるのだろう。その結末を、コインいっこと言わず何枚でも積み重ねて見届けていく所存である。作者には安駄婆に代わって心の底から「ありがたや」と言いたい。

 紛うことなきおっさんホイホイであり、若い読者にはあまりお薦めしにくいのが最大の欠点と言えば欠点だが、そんなことすらどうでもよくなるほど個人的に愛すべき作品となる予感に溢れている。きっと少年だったハルオは今でも日本のどこかのゲーセンでスパ4やダライアスバーストなんかを一人(二人?)で遊び狂っていることだろう。


【2014/8/10 以下加筆】

 既にwebニュース上などでかなり大々的に報じられているのでご存じの方も多いと思われるが、現在本作は存続の危機に立たされている。
 90年代のアーケードゲームシーンを題材とした本作には当然ながらカプコンのスト?をはじめ様々な実在のゲーム作品が描かれ、単行本巻末のSPECIAL THANKS欄を見るに当然ゲーム各社の許諾を得ての上だと思われていたのだが、なんと「餓狼伝説」や「サムライスピリッツ」「キングオブファイターズ」などの作品権を持つSNKプレイモア社の了解は得られていなかったらしく、著作権侵害の疑いにより発行元のスクウェア・エニックスが刑事告訴を受けるというとんでもない事態に至ってしまった。
 連載はどうにか継続の方向で調整中のようだが、事がスクエニ本社の家宅捜索にまで及ぶという状況下、既刊の単行本は自主回収が決定しており、作品の存在そのものが危ぶまれる状況になってしまった。決定していたアニメ化ももはや絶望的であろう。

 作者の押切蓮介が著作権交渉にどれほど関与していたかは知らないが、今回一番責められるべきはスクエニサイドであることは間違いない。通常は民事で争われることも多い著作権ビジネスに関わるトラブルが刑事告訴にまで及んだという事態そのものに本作の制作側のいい加減さ、SNKプレイモア側の怒り爆発っぷりが表れており、我々としては今後の展開をおとなしく見守り、スクエニ側が相応の制裁を受けることを甘受するより他はない。

 ところで、今回の騒動で一番ワリを食ったのは誰だろうか。

(著作権交渉を編集サイドに任せていたとすれば)ハシゴを降ろされた作者も被害者だろうし、そもそも自社が権利を持つキャラクター達を勝手に使われたSNKプレイモアも当然被害者である。そんな事情など知ったことではなく、素直に作品を楽しんでいた多くのファンも勿論そうだ。
 しかしそれ以上に自分が不憫に思うのは、矢口ハルオや大野晶など作中のキャラクター達の今後だ。

 漫画を愛する人ならだれでも実感できると思うが、漫画のキャラクターたちはみなそれぞれ作品内において確かに生きている。時に単なるフィクションを超えた存在感を放つことがある。90年代のアーケードシーンという自分にとっても身近な舞台背景を持つ本作においては、そんなキャラクター達の存在感は更にひとしおであった。

 ハルオや晶達だけじゃない。本作に登場する無数の往年のゲームキャラクター達。

 リックも、ダムドも、ラスプーチンも、ベガも、サブゼロも、ビックバイパーも、カラテカも、ビシャモンも、フォボスも、平安京エイリアンも、安駄婆も、そして何よりガイルとザンギエフが…。みな本作のもとでキャラクターとして確かな生命の輝きを放っていた。それは今回著作権侵害でスクエニを告訴したSNKプレイモアのキャラ達…不知火幻庵やユリ・サカザキらも例外ではなかったのだ。

 自分が何よりやりきれなく思うのが、作中のキャラ達の有り様とは全く違う次元の問題により、彼らの存在が全うできなくなることだ。
 厳然としたビジネスの世界の問題である以上、「善意のオマージュだから固いこと言わずに大目に見ろ」などとSNK側に要求するなど虫がよすぎる事は百も承知。だが、本作のやり方も間違いなくゲームやキャラクターの文化を守り受け継ぐという趣旨に沿うものではあった。そして、90年代のアーケードシーンを舞台とする以上、当時カプコンと人気を二分したSNKの存在を無視することもまた不可能だった。

 だからこそ必要な手続きを疎かにした制作サイドの不手際には唖然とさせられるし、今後本作の存立がどのような顛末を辿ろうと我々はそれを受け入れるしかないが、それでもコンマ1%の願いを込めて言いたい。

 ハルオよ、晶よ、小春よ、そしてあまたのゲームキャラ達よ、生きていてくれ!
 

 どんなカタチでも良い、何年かかろうと良い、コンティニューしてくれ!


ナイスレビュー: 5

[投稿:2012-02-26 23:04:51] [修正:2014-08-10 20:16:31] [このレビューのURL]

作者の創作への姿勢が最悪
自分の作品を完成させて世にだすというプロ意識の低さが目立つ

長期休載が非常に多く、週刊漫画でありながら年に一度巻数がでるかでないかとう状況が何年も続いている
いくらなんでも真面目に連載している他の作者に失礼

とくに作画の手抜きが凄まじい
序盤の頃から一つの絵を拡大・縮小して貼り付けただけのコマが頻繁にみられ、また背景や構図が雑なコマが多々あり、完成しているとは言えないコマも多かった
さらに連載が進むにつれて下書き掲載が多くなっていき、単行本が発売されてもなお仕上がっていない、最新刊など見るに堪えない出来栄えになっている
これでは不良品を読まされてるようなものだ

これらの手抜きが原因で戦闘シーンの迫力も感動シーンなどの描写も台無しになってしまっている

物語としても風呂敷を広げ過ぎて畳めるようには思えない
幽遊白書のラストも打ち切りかと思える程悲惨だったが今作はそれ以下の出来になりそうだ






ナイスレビュー: 5

[投稿:2014-04-15 14:10:14] [修正:2014-04-15 14:10:14] [このレビューのURL]

5点 ONE PIECE

今更書くまでもない「世界中で読まれている」漫画。
読まれているから名作、名作だから多く読まれる訳ではないのだろう。
でもここまで大きくなったら、この路線で突き進むしかないでしょう。

多くで語られるように、これからありとあらゆる布石を拾っていくそうですが、それにしてもあまりに長い。拾いきるまで、何年かかるのかなあ。

人物も、突っ込みどころも多い。
絵は込み入り過ぎて疲れてしまいますが、キャラがたってて、ところどころ笑える。
仲間というキーワードがくどいほど出てくるのは、そういう仲間が希薄な世の中だから?

感動しまくる人がこんなにいるのかと思うと、やはり今は安っぽい話で涙を流せるんだなあと思う。簡単なものだなと正直思ってしまう。

ごちゃごちゃした絵の書き込みも、キャラの多さも、いかにそういうのが好きな読者にいろいろ探させてあれこれと推理させたりするため、と思ってしまう。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2011-04-14 23:15:39] [修正:2011-06-18 12:17:10] [このレビューのURL]

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