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8点 ONE PIECE

 所々(主にキャラクターの部分)に不具合が見られ、十点をつけられるほどの完成度では無いということを踏まえた上で……

 これほど点数をつけるのが難しい漫画は他に無いかと思う。

 まず第一に、この漫画の知名度があまりにも高すぎるという点。
 これだけ売れていて、読んだことも無いのにキャラの名前を知っているような漫画になると、どうしても「一体どんなもんやろ」と構えながら読み始めてしまい、意地悪感情(アンチ感情とも言う)が前に出て粗を探す読み方になりがちになる。
 そうなると、完成度においては今一つなこの作品の悪いところばかりが目に付いてしまい、素直に味わうことが出来なくなる。
 上記の理由により「売れている作品」は「非の打ち所の無い作品」であることが求められがちになり、決して「完璧さ」だけが売れる理由では無いというごく当たり前のことを私達に忘れさせる要因になっている。

 そして第二に、ジャンプの黄金期をよく知る世代が今、二十代後半から四十くらいの年齢であるという点。
 ワンピースとよく比較されるドラゴンボールをジャンプで読んだ世代ならば、その多くがドラゴンボールの方が面白かったと言うだろう。私もその一人である。
 しかし、ドラゴンボールを読んだ私は当時小学生で、当然ながら子供の感性をしていた。そして、今ワンピースを読んでいる私は大人で、当然ながら大人の感性をしている。
 少年誌が、子供の時代に読んだ方が面白いのは当たり前の話(読んで字の如く少年向けに作られているから)だから、私がドラゴンボールの方が好きなのは言わば仕方の無いことと言える。
 だからこそ、気をつけなければならないのは、私と同じような世代の人がこの作品に評価をつける時には、同じように大ヒットしていたからといっても決してドラゴンボールは比較の対象にしてはならないということ。ここを踏まえずに評価をすると総じてワンピースの評価が下がる要因になる。
 両者を比較して良いのは最近までドラゴンボールを読んだことが無かった大人であるか、今まさに現役で子供の人に限る。

 以上二つが、なかなか点数がつけにくい理由である。
 ここから先は極力間主観的な私的見解を含めて。

 まず短所
 
 1.結構な比重を占めるギャグが軒並み寒い。
 普通に笑えたのはそげキングがゾロに刀にされるところだけだった。
 
 2.見せ場に「ドン!!」が多すぎる。正直他に無いんかと思った。
 
 3.絵が雑然とし過ぎてかなり読み辛い。
 少し気を抜いてページをめくると何が起きていたのか分からなくなる時が多々ある。
 
 4.キャラ、設定が所々破綻している。
 (1)動じない性格でクールさが売りのゾロが、いつの間にか要介護状態になっている。目の前の階段が分からないのはあまりにもひどい。らしさを出したかったのだろうが、ただ格好悪いだけだった。
 (2)でんでん虫を奪われたことに気付かないクロコダイル。サンジの声で分からないのはまだ許せる。だが、喋り方で気付け。お前は普段から部下にあんな喋り方を許しているのか? ストーリーに絡む所にああいう矛盾点を残すと話が白けてしまう。
 (3)そげキングの正体に気付かないルフィ。ネタでやっている分にはベタながらもまだ許せた。タチが悪いのはノリでそのまま続け、話のかなり重要なところまで食い込んで行ってしまったこと。繰り返しになるがストーリーに絡む所で矛盾があると話が白けるからやめて欲しかった。ここで読むのをやめた人もかなりいるのではなかろうかと思う。
 ゴーイングメリー号を感動的にファイガする方法は、何もそげキングを出さずともあっただろうに、なぜこの展開を選んだのか理解に苦しんだ。

 次に長所

 1.破綻している所を除けば、キャラの心情がしっかりしている。
 村を人質に取られ現実と良心の間で葛藤を見せるナミ、土下座をしながらレストランを去るサンジ、ミホークに負けた直後のゾロ。場面場面でのキャラの心情が真っ直ぐ入ってきた。ドクターの最後のセリフ「良い人生だった」は本当にそうだったんだろうなと素直に思えた。
 
 2.要所要所をきちんと締めるルフィの主人公力。
 基本おかしげな主人公だが、要所要所はきちんと締めている。チョッパー編で攻撃された海賊旗を支えながら「ほら折れねえ」は痺れる啖呵の切り方だった。

 3.ここ一番での演出力。
 伏線がこの作者の最大のウリであろうが、中でも一編まるごと使う大伏線には他の作者の追随を許さぬ力がある。
 雪に咲いた桜や、流されたメリー号が姿を現すシーンなど、ここ一番、今がその時という所の盛り上げ方をこの作者はよく知っていると思う。
 その中でも圧巻だったのがアラバスタの最後のシーン。
 仲間を識別するための包帯が、実は包帯を取ってペケを見せるというのが正解でしたという伏線に見せかけて、最後の最後、国を出る時のシーンに使うとは恐れいった。
 振り向かず、無言で、ただ腕を突き上げただけで、どんな言葉よりも「仲間」への想いが伝わってくる、鳥肌の立つワンシーンだった。
 この演出力こそがワンピースが売れている理由、つまりワンピースの最大の魅力なのだと思う。

 そして、グレーなところ

 1.覇気の後付けについて。
 覇気という言葉を使ってから物語が大きく変わったのは確かだが、覇気の設定が後付けかというとそうでもない。結構早い段階からシャンクス達が名前を出さずに覇気らしき物を使っていたことを考えると、極力後付け設定に思われぬよう気を使った作者の努力が垣間見えるので、後付けと批判するのはいかがなものかと。

 最後に

 点数をつけるのが難しいので、このサイトの平均が6点半ばであることを基準にし、最初に述べた理由で下がっている分を考慮して7点とした。

 そして、もう一つ考慮したことがある、それは作者の意欲である。
 
 この作者は億単位で単行本が売れて、もう描かなくても一生困らない立場にある。それでも質を落とさずに続けているのは作者の熱意であると思いたい。
 多少のマンネリはあるかもしれないがそれでも、フリーザを軽く切り倒したトランクス、ラオウを倒した後のケンシロウのような異質感は無い。
 六十巻を超える長さで、且つ、ストーリー物でこれだけの質ならばむしろ上出来であると言える。
 人気のせいでやめられずに描いている作者の作品ではなく、六十巻を越えた今となってもまだ読者を楽しませようという気概を感じさせる作品であり作者であることを私は素直に褒め称えたい。

 以上により、最終的に私はワンピースを8点とした。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2011-06-14 17:20:52] [修正:2011-06-14 17:20:52] [このレビューのURL]

主人公が好きになれない漫画ですね。

原作・作画のコンビでジャンプ漫画家をやる主人公をはじめとして、ライバル漫画家や編集者など、いろいろ登場人物がいますが、主人公2人に感情移入できないというのは致命的です。

何が一番嫌悪感を抱くかというと、
彼ら(特に作画担当)にプロ意識が感じられないところですね。
例えば、
・「人気は低めだが、子どもの支持は得ている」と編集に言われてるのに「今の作品は自分達に合ってないから、続けたくない」→本当にやめる

・自分達の連載作品が「アニメ化は難しい」と編集に言われると、もう次の作品のことを考え始める。アニメ化は彼らの大きな夢であり、目標だと作中で強調はされてますが…。

自分の思い通りにならいと仕事であっても簡単に拒否するんですか?さらにこの主人公達は作品を読んでくれている人たちのことを全く考えておらず、常に自分達のことだけを考えています。率直に言って最低です。

それ以外にも、演出も非常にあざとく、それでいてヘタクソです。
・ラストページで作画担当が「ジャンプでの連載をやめようか」と宣言し、
原作担当がめちゃくちゃ驚いた表情&ハデな効果線で引きを作っておいて、次の回ではあっさりと、それはもうあっさりと撤回する。など

他にも、
・恋愛パートが公私混同で、しかも面白くない、イタい。
・あまりにご都合的で説得力に欠ける、自作品の人気上昇展開
挙げていったらキリがありません・・・。


人間関係や心理の描写が非常に多いのに、人物に感情移入ができないという、読むのが苦痛な作品。人にお勧めはしかねます。

追記:点数をさらに下げました。最近は特に作者の性格の悪さがにじみ出ていますね。以下は分かる人向けの蛇足です。
中井「こんなやり方間違っている…!」→「え?俺は最初からピザの心配しかしていませんが、何か?」
サイシュー「10週で打ち切りにしてやる!潰してやる!」→「え?俺達は最初から直接勝負する気なんかありませんが、何か?」
本っっっ当に前と後でキャラの言動が一致しませんなぁ。ハチャメチャギャグマンガだったラッキーマンでは許せても、一応現代日本が舞台のバクマン。では、引きと結果がつながってなかったら不快に思うだけですよ、ガモ…大場大先生。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-09-28 01:36:55] [修正:2011-05-15 23:01:12] [このレビューのURL]

10点 蟲師

 一般的な生物の体系から遠く離れた原初の生命群「蟲」、人や自然にそれらが及ぼす超自然的で奇怪な現象の数々。本作『蟲師』は、江戸と明治のあわいに位置する架空の時代の日本・近代のちょっと前の日本を舞台に、それら蟲の及ぼす怪異から人々を守り逃がす事を生業とする「蟲師」ギンコを主人公とする奇談集である。

 非情に大雑把に物語の基本を説明するとこのようになるのだが、実際にはとにかくどう分類するべきか悩ましい作品でもある。土俗的な日本風の世界観で超自然的な怪異を描くという意味では『ゲゲゲの鬼太郎』や諸星大二郎の『妖怪ハンター』シリーズのようでもあるし、主人公のプロフェッショナルっぷりと深い思索性は『ブラックジャック』的だ。時々見られる人情噺やユーモアや説話性などは『まんが日本昔話』のようなお伽噺を彷彿とさせ、一転してしばしば登場するダークな話にはサイコホラーやミステリの趣すら漂う。その独特の画風と世界観から、とりあえずそういう雰囲気を押し出した“雰囲気マンガ”という評もある。

 古来より東洋の人々が獣や鳥とも植物ともつかぬ下等な、しかし多様な生物相を「蟲」として捉えてきた事と同じように、本作もまた多様な読まれ方のできる作品である。上にあげたどのジャンルにも分類可能であり、そしてそれら全てを包括してなお捉えきれない豊饒な何かでもあるのだ。椀一杯の海水・一塊の土に宿る無数の生命のように。

 正直に言って最初の数話の段階では、作者はこの魅力的なモチーフを持てあましていたように感じた。絵や設定は魅力的で物語も独特だったが、そういう特異な雰囲気を醸し出す事ばかりに専心している感は否めず、いまいち物語に深く没入しきれないでいた。そのままいけば、まぁちょっと独特な個性のあるただの雰囲気マンガで終わったかもしれない。

 しかし2巻収録の名篇「やまねむる」を誌上で読み、静かな静かな感動を味わったのをきっかけに、回を追うごとに本作に引き込まれていき、そしてその後確信した。本作は確かにファンタジーだが、その背景には歴史的・土俗的・原風景的なしっかりとした土台がある事を。実に様々なものの“あわい”に出現した稀なる名作であることを。

 白とも黒ともつかない微妙なあわいの上に本作は奇跡のように鎮座している。そこからにじみ出てくるのは比類のない豊饒な世界の息吹だ。そしてこの白と黒の間の灰色の世界のあり様は、かつて我々のご先祖が抱いていた自然観にも通じるものがあり、歴史的な記憶のにおいさえ漂わす。キャラクターデザインなどは泥臭さを払拭してこぎれいではあるが、作中登場する有名無名の人々の生きざまや様々な蟲のもたらす怪異には古い伝統や風習(美しいものばかりではない)や伝承に着想を得たものが多く、単純な善悪論などでは捉えきれぬものも多い。ただ得体の知れない余韻のみを残す話もある。

 作画表現にしても淡い色彩やペンによる点描を駆使した淡泊ながらも濃密な作画がそういう雰囲気を見事に表現。特に山霧・海霧によって天地の境界すら曖昧になったような海や山里の描写は強烈な印象を与える。作品のテーマ表現的にも、現実の自然描写としても見事と言う他無い。

 何より圧巻なのが種々の蟲の描写だ。本作の根幹をなす存在である蟲は、生命の最も原初的な場所に位置するものと捉えられ、それらが引き起こす怪現象はまさしく幽霊や妖怪や精霊によるもののように描かれる。
 …ここまでなら普通の妖怪モノの一変異種だが、本作の凄いところはそんな蟲の描写を、顕微鏡で観察される原生生物や菌類のような姿で表現している点だ。ここには単なるファンタジーに留まらない近代的な視点も導入されている。
 第1話でギンコは生物を動物や植物など5つに大別し、それらを五本指になぞらえて蟲とは何かを説明する。一般的な生物が五本の指なら、蟲とはそれらが一つにたばさって更に腕をさかのぼった先の心臓の部分にある存在というたとえだが、この語り口一つにしても、ファンタジーの文脈だけでなく博物学者ダーウィンの進化系統樹や五界説などの生物分類学的な見地から解釈しても面白いものになっている。こういうところにも蟲師のユニークさは現れている。

 そして、そんな本作の立ち位置をもっとも雄弁に物語るのが主人公である漂泊の蟲師「ギンコ」のキャラクターデザインだ。少年時代に経験した蟲との遭遇による怪異の影響で右目を失い、残った左目は緑に、髪は真っ白に染まったこの異様な人物は、どこか鬼太郎やブラックジャックを思わせる風貌をしている。そして「江戸と明治の間の架空の時代」という設定のため、周りのキャラ(大半は貧しい農民や漁民)がそろって和装の中、ほぼギンコだけが洋装なのである。この世界においては、ギンコは(どちらかと言えば)我々読者の住む近代的世界に近い立ち位置におり、他とは一線を画した屹立した存在として表現されるが、同時にそれは物語内において他の人々とは遂に全てを分かち合うことのできない孤独な異端者である事の表れでもある。洋服を着た彼自身もまた人々からすれば怪異なのだが、そんな彼が主人公であるからこそ、我々は既に遠い世界となってしまった郷愁の彼方の古の世界と邂逅できる。ギンコは蟲(≒自然)と人のあわいを取り持つ存在であり作品と読者のあわいに立つ存在でもある。
 作者いわく、ギンコには放浪の民族学者「宮本常一」や博物学者「南方熊楠」などの実在の人物が投影されているそうだが、共に民俗学や博物学(生物学)といった近代的な学問を用いつつも、日本の土俗的な世界へ深く分け入って行った人物として知られている。そういう周縁部分にも、本作の持つ豊饒な読後感の一端が垣間見える。

 自然と人間、生と死、有機と無機、人情と世間、一般と個別、土着と普遍、海と大地、大地と空、海と空、いにしえと近代、人為と天為、現実と奇想、生きることの美しさと、そして残酷さ。
 …これら相反する諸要素の数々は、本作では不思議なバランスの上に混交を遂げる。“調和”というほど大袈裟では無く、“混沌”というほど荒削りでも無い。ただただ奇跡のようなあわいの美しさ。こういう作品を漫画として読む事が出来る事は、本当にありがたいというしかない。漫画もまた、絵と文字のあわいに生まれた蟲だからなのだろう。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-09-30 23:01:34] [修正:2010-10-11 20:20:07] [このレビューのURL]

でた!問題作!というか問題作家!
なんか漫画の外まで念が飛びまくってます。

私はこの作品を「行列のできるガンコ親父のラーメン店」と位置付けてます。

並んで並んで待たされたあげく最低の接客態度でもここのラーメンがやめられない!と言う人もいるでしょう。

いくらうまいラーメンでも何時間待たせる気だ!これならマックでブリーチバーガーでも食べた方がましだ!
という人もいるでしょう。

好みにあわせてどちらでも良いと思います。
ちなみに私は大食いなのでどちらも食べます!
さらにデザートでナルトアイスもいっちゃいます!

最後に

この作品は確かに面白い。何度もうならされました!

この作者は神でも天才でもない。
休載せずに面白い作品を描き続けるのが天才だと思います。

所持巻数 26巻まで

ナイスレビュー: 5

[投稿:2009-07-17 00:52:30] [修正:2010-05-29 22:05:19] [このレビューのURL]

今の少年漫画の中では明らかに群を抜いた存在。
王道的な展開を否定しながらも、また違った切り口で王道を突き進む作品でもあります。
敢えて足りないとすれば、「幽☆遊☆白書」や「レベルE」では辛うじて描かれていた
ラブコメパートぐらいでしょうか。
と言うかこの人もともとラブコメ作家だったような気がしますが。まぁそれはさておき。

ストーリー、世界観、表現力、演出、心理描写、テンポ、バトル、構図、
作者の得意な斜め上を行く展開。
すべてがオリジナリティに溢れ、それぞれが高次元で融合しています。
なにより凄まじいのは、次の回、次のページ、次のコマで、いつどの登場人物が死ぬかもしれない、
という圧倒的な緊張感、緊迫感。
本当に強い敵と対峙したときの力の差、絶望感。
こういう感覚を味わえることにもうとにかく脱帽です。

作者の姿勢を問題視する人が多いのも理解できますし、その批判ももっともだと思います。
ただ、それでも続きを楽しみに待ち続ける読者もここにいるわけで。

ずっと読み続けたい作品ですが、続けるのが難しいのであれば、
せめてきれいな形で終わらせてほしいです。
そう心から願いつつ、毎年コミックスを待ちわびています。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-04-29 22:43:25] [修正:2010-04-29 22:43:25] [このレビューのURL]

少年漫画の最高傑作。
誰が何と言おうと、私の中でこれを超える少年漫画は存在しません。
『ドラゴンボール』も『スラムダンク』もついでに『ジョジョ』やその他もろもろの名作たちも、『うしおととら』には敵わないです。もちろん異論は受付中。

さて。本作のレビューとは無関係ですが、私はこのサイトで他の方のレビューを見るとき、その人が10点をつけた作品に注目するようにしています。
なぜなら10点はその人が「最高評価」を下した作品であり、その人のひとつの評価基準となっていて、その人の感性や趣味趣向が一番色濃く表れていると思うからです。
そして10点がつけられた作品を眺めながら、「この人とは趣味が似てそうだな、参考にしよう」とか、「これが10点か、うーん・・・」とか、好き勝手な感想を抱いたりしているわけです。
私の10点は『うしおととら』です。胸を張って言うことができます。自分の中で絶対の評価基準となるべき漫画は、この作品しかありえません。


『うしおととら』の何が素晴らしいのか。語りつくすことは不可能でしょうが、時間が許す限り列挙していきたいと思います。

まずはタイトル。何を置いてもタイトル。覚えやすい、響きがいい、本編に合う、最終回後はタイトルを見ただけで感動できる。

次に主人公。蒼月潮、中学2年生。イケメンとは言い難い丸顔に太い眉毛に短髪という顔の造形。しかしどこまでもまっすぐな瞳。
性格は一本気で嘘が嫌いで涙もろい。少年漫画の主人公とはまさにかくあるべき。行く先々でモテモテなのも納得。・・・いや、やっぱりちょっとだけ納得いかない。半分くらいは俺によこせ。真由子と小夜だけでもいいから。

さらにもう一人の主人公。雷獣とら。500年間獣の槍に封じられていた大妖。いつか潮を食うために潮にとりつく。そのくせ成り行きで潮を助けたり、現代の文明に翻弄されっぱなしなので憎めない。香水でくしゃみが止まらなくなるところとかガムを踏んでるところとかが超かわいい。ハンバーガーを食べてるところも最高。でも決めるときは決める憎いあんちくしょう。真由子がベタ惚れなのも納得。・・・いや、だから真由子は俺によこせよ。

そして何より最終決戦。33巻に渡る作品のピークがラストにあるというのはそれだけで驚嘆に値する。今までのエピソードひとつひとつが思い出され、読んでる方も潮たちとシンクロして「お前たちの旅は無駄ではなかった」状態。脳からアドレナリンや変な汁が出っぱなし。白面の最後も切ないんだよなぁ・・・。本当にいいラスボスでした。
とらのあのセリフには、何度泣かされたことかわからない。

それからついでにおまけ漫画。読者を少しでも楽しませようという藤田先生の心意気に脱帽。てゆーか藤田先生の方が楽しんでますよね。そうですね。
超難解クイズではいつも頭を悩ませていました。
1 真由子に変身
2 木に変身
3 ほふく前進
3番のギャグがわからんようではまだまだだな!
「秋葉流!」の登場シーン3連発とかも最高。


・・・勢いだけで挙げてみるとこんな感じです。書いてるだけでテンションが上がってきて、『うしおととら』を再読したくなったので一旦終了。登場人物の生き様とか死に様とか、他にも見所はたくさんあります。ネタばれになるので名前は伏せますが、あの人とかあの人の最後はもう・・・
「今帰ったよ、あけとくれ・・・」
「ああなんだ、風がやんだじゃねぇか・・・」
涙なしには語れないですね。あ、凶羅は最高のツンデレキャラだと思います。


少年漫画の金字塔『うしおととら』。
連載終了から10年以上経った今でも色褪せることのない、文句なしに不朽の名作です。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2008-08-28 20:05:39] [修正:2010-04-09 22:01:19] [このレビューのURL]

1点 BLEACH

なんでしょうかね。最近の少年漫画家に多いのが『〜編』まで
面白いエピソードや展開が考えられるのに、それが過ぎて新章へ
突入するといきなり面白くなくなる漫画になってしまう。つまり、
オチが思いつかないのか、作者自身はマジ面白いと思っているのかの
どっちかですね。この漫画もルキアを助けるまでは良かったのですが
織姫を助ける展開はハッキリ言えば使い回しです。それなら、雨竜の
『死神VSクインシー』編を作って、裏切る展開の方が読者の興味を
引けると思います。女を助けて、次はライバルが第三勢力に説得されて
戦う羽目になるとか少年漫画的に燃える方向性を無視して、作者が
織姫萌えの展開を無理に押した結果、読者が離れてしまったのかなと。
たぶんルキアに嫉妬した織姫が、藍染を好きになって裏切る展開を
作者自身がベタだと思ったのでしょう。余計泥沼にハマってズルズルと
話を引き延ばしてしまった感じです。読んだら時間の無駄でしたね。

あとですね、下の方で自分の好きな作品が低い評価をつけて貶められる
筋合いは無いと叫んでいらっしゃいますが、それはエゴだと思いますね。
俺も好きな漫画、特にハンター×ハンターやワンピースに対しては全然
内容に触れず、絵とかで気持ち悪い、話が糞で下手など腐る程コメントを
見ました。それはもう、個人の自由ですし、嫌いな作品はやっぱり批判
されるんです。それをレビュアーがどうこう言うのは変だし、批判した
人を非難して自分の妄想をぶちまけるのは・・・ちょっと。それなら最初に
見る人に断って反論するんじゃなくて、ほっとけばいいんです。他人に
文句を言われようが、買うのは自分です。読者が作者を信じているから、
世の中に受け入れられると思います。それにネットで叩かれても、未だに
連載が続いているし、このブリーチも最初が良かったから、思い入れがある
読者が率直な意見を言っているかと。以上、長文で申し訳ありませんでした。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-04-05 18:41:08] [修正:2010-04-06 02:28:33] [このレビューのURL]

もともと我が家に2冊ほど置いてあった。ある時それを読んだ息子は次の日から大騒ぎ。
「次(続刊)買って、次買って!」
やはり大ヒット漫画ともなるとただ者ではない。何年経っても通用するなにがしかの魅力があると言う事であろう。

私自身もそうなのだがレビューする時に形から入ってしまう。絵がどうたらストーリーがどうたらと。
しかし知識の無い故に白紙の状態で読書に挑む子供にこそ感じられるものがある。
区別のつきにくいキャラクターややりすぎな身体能力必殺技の奥に潜んでいる、煮えたぎるようなマンガパワーをである。

新人作家(当時)である高橋先生ががむしゃらに描いたそのマンガは日本サッカー界をけん引し世界の子供たちを楽しませている。
そして小学生くらいなら現在も充分楽しめる作品であると私の息子が証明してくれた。

子供だまし、という言葉がある。お子様向け、という言葉がある。
良い意味に使われる事がほとんど無いのが残念だ。

人によっては老若男女、すべての人に愛される作品が素晴らしいという。
無差別級の王者が1番強いと言われればその通りかもしれないが軽量級のチャンピオンだってフェザー級の王者だって称えられるべきものではないだろうか。
幼児向け、子供向けの作品ももっともっと評価されていいものだと私は思っている。

ところでキャプテン翼レビューのきっかけはあるテレビ番組であった。
雨が降ったの降らないのなどという名前の芸人が司会のトーク番組だ。その深夜番組は毎回テーマを決めてタレント達(ほぼ芸人)が語り合う。
テーマのジャンルは多彩でマンガ作品の場合も有りその回は「キャプテン翼」だったのだ。

結論から言うと良く出来た1時間だった。感心した。
出演者も芸人らしくおちゃらけながら作品の歴史や影響力を分かりやすく魅力的に語ってくれた。

その中で必殺技等をちゃかすコメントも度々あったのだが、超人マンガ肯定派の私でも楽しく視聴する事が出来た。
なぜならそこには「作品への愛情」が感じられたから。

その中に「何も知らない子供をうまく騙しているマンガ」のようなニュアンスはなかった。
少年時代を盛り上げてくれて夢中にさせてくれてありがとう!という熱い感謝の気持ちが伝わってくるのだ。愛情が。

さすがプロの作る番組であり取り上げる作品への敬意や配慮に感服した。
影響力とか関係なしにしても素人レビューじゃかなわない部分かな。

インターネットによりズブの素人の私ごときでさえ他人さまの作品にモノ申す事ができるようになった。
だが果たしてそれが良い事なのか悪い事なのか。

私のレビューに、そしてあなたのレビューに。

「愛」はあるか。






ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-03-14 13:14:12] [修正:2010-03-14 22:46:31] [このレビューのURL]

<所持歴:無し(漫喫で数冊読んだ)>

「ギャグマンガとしては最高」というレビューがあります。
(勿論、揶揄してるんでしょう)

そのぶっ飛んだ内容に対し、多くのレビューサイトが誕生し、
その中で面白おかしく、そして容赦ないツッコミがされてました。
それを読んでると確かに面白いです。

例えば漫才で「ボケ」と「ツッコミ」がありますが、
「ツッコミ」があってこそ「ボケ」が生き、笑えるのであって
「ボケ」だけを延々と見せられてもウザイしイタイだけ。

で、本作を考えると、
テニプリという作品が「ボケ」でレビューサイトが「ツッコミ」
という関係が成り立ってると思います。

ということで、ツッコミを入れてるレビューサイトを含めれば
笑えるギャグマンガとして見ることも吝かではありません。
しかし、本作単体で見るなら、ホントにもうイタイだけ。


なので、本作への得点付けは、何をどう考慮しても0点以外にありません。
(単純に「嫌い」という個人的趣向が入ってることも勿論ありますが)

ナイスレビュー: 5

[投稿:2008-03-13 19:30:22] [修正:2010-01-26 23:47:32] [このレビューのURL]

 めちゃくちゃ面白いです。特筆すべきは、集団対集団のバトルです。幻影旅団編、グリードアイランド編は天才としか言いようがないです。絶対お勧めです。
 今後、このクオリティを保ちつつうまく最終回を迎えることができれば最高ですが、作者もなかなかいいアイデアがでないのか、最近連載が滞っています。そこだけが心配です。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-01-04 12:15:18] [修正:2010-01-04 12:15:18] [このレビューのURL]

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