「friendstudio」さんのページ

悪夢のような内容だった(笑)イノ○ンスの所見から一年。ようやく原作を読む機会を得ました。複数のエピソードからなる本作の舞台は2029年の日本。ネットやサイボーグ、AIやテロリズムから発生する様々な犯罪を防衛する「攻殻機動隊」の活躍を描いた作品です。
まず、こーれは完全に誤解していたのですが、結構エンターテイメントに仕上がっていたのは驚きました(笑)ヤッパリイジョウナノハイxセンスダケデスネワハハ!!やっぱり難解な舞台設定(というか、無理矢理こんがらがせようとしている作り方にも感じたり・・・)や場面転換などは頭の悪い僕には(笑)ついてけない部分も多かったので、そこは勿論マイナスですが、それでも意外な黒幕や緊張感あるアクションシーン、時折挟まれるギャグ(というよりユーモア、かな?)も面白く、エンターテイメントであるマンガとしては十分成立していました。ドラマチックな息の詰まる展開はなかなか捻られていて、様々な意味での「近未来」を現実に即した形で上手く描き出されていたと思います。
驚いたのは、このマンガの初版は1991年、連載開始は1989年だったこと!現在では一般的なネットワーク、情報化社会、人工樹脂やAIなどなどの多くの設定は今読んでもまったく色褪せていません。この筆者の先見性の高さは高く評価できるのではないかと。この作品で取り上げている多くの問題は、決して今では過去のものとなったものではありません。素子やバトーたちが遭遇する、現代社会、あるいは「このまま進んだ先の未来」が引き起こしかねない事件、事故には、15年前から発せられていた作者の警告とメッセージが込められていました。決して架空のSF設定として無視されてはならないほどの世界観の完成度の高さはもちろん、決して「設定厨」にならずにある程度消化できていた点も「おー、いいじゃん!」なんて思えたりしました。
今はもうこの作品は「古典」と呼ばれてるのかな。読む前に抱いていた「15年前の\"オタクたち\"が好きだったマンガの最前線」って偏見はあながち間違ってはいなかったけど、それでも・・・。「オターな人がぎゅんぎゅん反応しそうなマニアックなメカや舞台設定」と「情報化、ハイテク化の波に飲み込まれていく現代人へ、静かに語りかける『人間という存在』へのメッセージ」というテーマの両立(後者が弱めなのは否めないけど)。「ああ、きっとこの奥の深さが15年たった今でもファンを離さないんだろうなぁ。」とジンワリ思えたりもしました。僕は「オターな人が反応しそうな・・・」には全く反応しない人種ですけどね・・・
エログロもぎゅんぎゅんなので万人にはオススメできませんが、まぁ、上の文章を読んで「おっ」と思った方は手に取っとかないと勿体無いかな。少なくとも、「俺これ大好きなんだよ!」って言ってたリアル友人には「良かったよ!」と笑顔でこの本を返却したいな。P146の部長さんのセリフにしみじみしました。

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[投稿:2006-11-19 21:02:15] [修正:2006-11-19 21:02:15]