「こみっくは」さんのページ

「カンタレラ」の毒薬で有名なボルジア家、チェーザレの人生をすごく丁寧に描いた作品。

画力が高く美しく、建物や洋服が忠実に再現され、漫画というより芸術作品的な雰囲気です。

史実を知らない私でも、当時の情勢や宗教観が書かれていて、分かりやすいし好奇心がそそられます。
説明的なセリフも多いですが、エピソードを交えて伝える場面も多いのでわかりやすいと思います。

特にチェーザレの通う大学の生徒の相関で国の情勢などが解るのが面白い。
フランスが当時周りの国から「野蛮」と思われていたのは意外でした。

これを読んでから、塩野七生著のチェーザレの小説を読んだのですが、
この漫画の方が、わかりやすく、感情移入ができ、迫力がありました。

話がゆっくり進み、激動の展開というものがないので、物足りなく思う方もいるかもしれません。
個人的には、丁寧な描写によって、今の生活と離れた中世ヨーロッパの雰囲気に違和感なく溶け込めて好きです。


この作品、漫画大賞とかで好かれそうな気がする、と思っていたら2009年惜しくもノミネート届かず、だったらしい。
けど、ちょっと漫画らしさが少ないのかもしれません。


日本、中国の歴史漫画は多いですが、それ以外の歴史漫画は少ないように思います。

中世ヨーロッパは同じ名前、似たような名前の人がうじゃうじゃいるので、絵のない小説だと混同しなように読むのにちょっと疲れる。

今後、漫画でこういった歴史ものが増えたら面白いなぁと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-01-08 00:02:02] [修正:2011-01-08 00:07:37]